| フェラーリは常に「楽しく、安全に、そしてなによりも速く」走ることを考えている |
意外とフェラーリは電子制御には熱心である
フェラーリはかなり早い段階から電子制御可に取り組んでおり、その代表的なものだとドライブモード「マネッティーノ」。
このステアリングホイール上に設けられたスイッチを操作することで快適なプレミアムカーからサーキットウエポンにまでその性格を変貌させることが可能となっていますが、そのほかにも電制デフ等の投入により、最新の技術を取り入れることで常に「より楽しく、より安全に、より速く」走ることを追求してきたわけですね。
そしてフェラーリは「ファン・トゥ・ドライブ」を決定する要素を数値化しているといい、つまりは運転していて楽しいと感じる要素を指標として定め、それらの追求によってドライビングの楽しさを演出しているということになりますが、こういった楽しさの視覚化はなかなか他のメーカーには真似できないかもしれません。
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フェラーリはエレクトリック時代でも楽しさを失わない
そして今回フェラーリが出願した特許が「ドライバーへのフィードバックを維持・改善」するための構造。
図面から見るとエレクトリックカーを対象としており、その内容はまず「(1)ホイールの回転数(速度)、ヨー角、ステアリング角のセンサーからの数値をもとに、スタビリティ・マネジメント・システムによって各駆動輪のグリップ量と、タイヤのスリップ角を計算する。(2)スタビリティ・マネジメント・システムは、次に何が起きるかを予測する」。
ここまではランボルギーニの採用するLDVI(Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata=ランボルギーニ·ディナミカ·ヴェイコロ·インテグラータ)とよく似たロジックだと思われます。
ただ、今回のフェラーリの特許の場合は追加で「(3)グリップの限界に達したことをドライバーにリアルな触覚で知らせる」という機能を持っており、限界に達した際、トラクションコントロール含む車両制御システムが単にブレーキをかけたり、パワーを制限したり、トルク配分を変えたりするのではなく、スタビリティ・マネジメント・システムが作動していることをドライバーに知らせるための方法を考案していており、具体的には電気モーターへの供給電圧を変化させ、ドライブトレインに明確な振動を与えるもよう。
現代のクルマでは、すでに電子制御が介入していることすら気づかない
なお、こういった電子制御が登場し始めたころだと、その介入が明らかにわかる場面もあり、敏感でスキルの高いドライバーであればそれを「気持ち悪い」と表現したりしたものですが、現代の電子制御は介入自体がまったくわからず、とくにフェラーリが採用する電制デフは非常に自然であり、まるで自分のドライビングスキルが向上したかのように錯覚させられることも。
そしてこういった電子制御は確実に限界領域を引き上げているので、限界を超えたときにはもう「いかんともしがたい」状態となるのは目に見えており、そして今後「強力なトルクを発生させ、かつ瞬時にトルクが立ち上がる」エレクトリックモーターを搭載したスポーツカーの場合はより顕著になるのかもしれません。
簡単にいえば、エレクトリックスーパーカー、エレクトリックハイパーカーでは、人間の常識や経験値を容易に越えるパワーとレスポンスを持つため、事故が起こる可能性がガソリン車に比較して高く、しかしだからといって出力を抑えるのは本末転倒のようなものであり、エレクトリックパワーを安全に、そしてピュアさを損なわないままに楽しめるように、というのが今回の特許の趣旨かもしれませんね。
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参照:Carbuzz