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フェラーリ最後の「クラシカルで優雅なデザイン」を持つグランドツアラー、275GTB/4が競売に。一時は日本のオーナーによって保管される

フェラーリ最後の「クラシカルで優雅なデザイン」を持つグランドツアラー、275GTB/4が競売に。一時は日本のオーナーによって保管される

| この後継モデルであるフェラーリ365GTB/4デイトナ以降、そのデザインは一気に近代化 |

「ゴールドが似合う」フェラーリもこの世代が最後かもしれない

さて、フェラーリはもともとレーシングチームとして創立されており、使用済みのレーシングカーを公道走行ができるように改修して顧客に販売することからそのビジネスをスタートさせています。

ただ、その根本的なスタイル自体は現在も変わっておらず、フェラーリの基本は今でもF1はじめとするモータースポーツであり、そのモータースポーツ参戦のための資金を賄うために行っているのが市販車の販売だと捉えています。

よって、市販車を売るための「広告宣伝活動」はフェラーリ本社としては一切行わず(フェラーリ・ネバー・アドバタイズ)、フェラーリの名を広く知らしめるのはモータースポーツにおける勝利のみというスタンスを貫いているわけですね。

Ferrari (14)

一方、市販車はセレブの人気を集める

なお、フェラーリの名が世界に知られるようになったのはル・マン24時間レースでの勝利だとされ、というのもこのル・マン24時間レースは、それまでフェラーリが参戦していた、欧州の自動車メーカーのみが参加するレースとは異なり、「世界中から」チャレンジャーが集まったため。

よって、ここで勝利を収めるということは「世界を制した」と同義であり、そして世界中に広く勝利が報道され、その名が知られるということを意味します。

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そういった「レースで勝つことで」その存在を知らしめ、その名の持つ重みを増していったフェラーリですが、なぜか貴族やハリウッドスター、成功した実業家、はては様々な国の王侯貴族に支持されるようになり、その理由はちょっとナゾ(モータースポーツとは関連性のないジャンルの著名人も惹きつけている)。

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もちろんフェラーリ以外にもル・マン24時間レース、そのほかのレースで勝利した自動車メーカーは多々あれど、なぜかフェラーリだけが「セレブ認定アイテム」となってしまったわけですが、ぼくとしてはその理由は「クルマの美しさ」にあるんじゃないかと考えています。

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実際のところ、フェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリは(レーシングカーであっても)その美しさにこだわったといい、美しくないスタイリングを持つフェラーリの改造車(ブレッドバンなど)に対しては容赦ない攻撃を行ったと言われていますね。

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フェラーリ275GTB/4はこんなクルマ

すっかり前置きが長くなったものの、今回紹介したいのはこのフェラーリ275GTB/4。

1966年製の275GTB/4がオークションハウス、RMサザビーズ主催の競売へと出品されることとなっていますが、このフェラーリ275GTB/4はいくつか「フェラーリにとって重要な」意味を持つモデルとしても知られています。

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まず、フェラーリ275GTB/4は1964年にフェラーリ250GTルッソの後継として発売されたクルマであり、メカニズム的なところだと「フェラーリのロードカーではじめてトランスアクスルレイアウトを採用したFR車」「やはりフェラーリの市販車ではじめてリアサスペンションを独立懸架としたクルマ」。

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さらにボディは(見ての通り)250GTOを模したラインを持っており・・・。

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リアエンドもスパっと切り落としたカムテール。

ボディのデザインはピニンファリーナ、製造はスカリエッティが受け持っています。

ボディはスチール製、しかしドア、ボンネット、トランクリッドをアルミ製とすることで重心を下げ、ロールセンターを最適化していますが、オールアルミボディを持つ個体も数台存在するようですね。

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275GTB/4は登場からわずか1年でアップデート(フェイスリフト)を受け、その際にはよりロングノーズが強調されたデザインに。

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今回出品されるフェラーリ275GTB/4はフェイスリフト後のモデルであり、搭載されるエンジンはジョアッキーノ・コロンボが開発したショートブロック3.3リッターV型12気筒(ティーポ213)で、4本のオーバーヘッドカムシャフト、競技用ドライサンプ潤滑、6個のウェーバー40DCNキャブレターを備えるなど、大幅な改良が施されています。

なお、シャシーはティーポ563(後期型は563/66)が採用されています。

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275GTB/4のホイールは標準だとアルミ製(2種類あった)ですが、オプションとしてこのクラシカルなボラーニ製ワイヤーホイールも選択可能。

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このフェラーリ275GTB/4は、後継モデルである365GTB/4デイトナの持つシャープで近代的なデザインへと移行する前の「最後の」エレガントで有機的なラインを持つV12フェラーリとしても認識されており、クラシックなフロントエンジンV型12気筒グランドツアラーの最後のイテレーションとして、フェラーリにとっての黄金時代の終わりを象徴するモデルとしても知られています。

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今回出品される個体のシャシーナンバーは10337で、1966年から1968年にかけて製造されたわずか330台の275GTB/4のうちの1台であり、1967年9月にフェラーリの工場から出荷された後、ローマに拠点を置くMotor S.a.s. di Carla Allegretti e C. を通じて最初のオーナーへと納車。

ただしイタリアで過ごした時間は短く、1974年にはカリフォルニア州サンノゼに居を構えるオーナーへと売却され、1988年まで同じオーナーによって保管されることに。

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翌年にはカーショップ、モデナ・スポーツ・カーズにてレストアを受け、オリジナルの「チェレステ」をロッソに再塗装したと説明されていて、1994年には日本に輸出され、2009年まで日本で過ごした後、別の1人のオーナーの手を経て、2011年に現在のオーナーのコレクションへと加わっています。

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そして現在のオーナーのもとでこの美しい「オロ・キアロ外装に、ペレ・ネッラ内装」へと仕上げられることになりますが、このカラーリングは、現オーナーが最初にコレクションとして購入したフェラーリ275GTB/4と同じものなのだそう(ただ、残念ながらそのフェラーリ275GTB/4は盗まれてしまう)。

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2014年9月、この車はフェラーリのクラシックカー部門、フェラーリ・クラシケによって認定されていますが、「レッドブック」については紛失してしまっているので、再発行についてはフェラーリに「要問合せ」となっています。

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ボディ、シャシー、エンジン、ギアボックスは(新車時から交換されてない)マッチングナンバーを持ち、工具など付属品も一通り揃うということでコレクション価値も非常に高く、そのため予想落札価格は最高で330万ユーロ(現在の為替レートにて約4億8400万円)というエスティメイトが出されています。

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参照:RM Sotherby's

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