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フェラーリ296GTB雑感。「ハイブリッドはスーパーカーの可能性と楽しみを伸長させる」。ボクがそう考える理由とは

フェラーリ

| スーパーカーにとって「非日常的なスタイリング」は必須だと考えているが、だからといって「乗りにくいクルマ」である必要はない |

安心して気を使わずに乗れてこそ、そのクルマ本来の良さが見えてくる

さて、先ごろは「納車されたフェラーリ296GTBの乗りやすさと快適さ」について紹介しましたが、今回もその続編です。

前回は主にハイブリッドパワートレインのパフォーマンスについて述べており、しかし今回伝えたいのはその「扱いやすさ」について。

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ハイブリッドパワートレインはパフォーマンスのみならず「日常性」をも伸長させる

ぼくはフェラーリ296GTBに積まれるハイブリッドパワートレインを高く評価していて、それはパフォーマンス面のみならず「日常性」においても同じです。

スーパーカーに乗っておいて日常性とか気にするなと言われそうではありますが、スーパーカーの性能を楽しむには日常性が伴っていなくてはならないとも考えていて、まず「ガレージから出し入れする際のハードルが高ければ、それだけで乗るのが億劫になるから」。

たとえばこれまでに乗ってきた「ガソリンエンジンオンリー」のスーパーカーだと、そのエキゾーストノートは他には代えがたいものの、コールドスタート時のサウンドの大きさもまた半端ではなく、よって休日の早朝にクルマを出すことが(周囲に気兼ねして)ちょっと難しかったのもまた事実。

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ただ、フェラーリ296GTBはプラグインハイブリッドパワートレインを採用しているので、充電さえ行っておけば、ガレージから「ガソリンエンジンを始動させず」にクルマを出すことができ、住宅街を抜けるまでエレクトリックモード(人工的な接近警告音以外は無音状態)にて走ることが可能です。

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これはけっこう大きなメリットであり、つまるところ「乗りたいと思ったときに、乗れずに悶々とすることもなく、すぐに乗れるから」。

もともとスーパーカーはしょっちゅう乗ることができるたぐいのクルマではなく(乗せる人数やモノ、行き先での駐車場事情に左右される)、しかし「乗れる」機会がようやく巡ってきたときに「乗れない」のはちょっと残念。

しかし296GTBだと、そういったチャンスを最大限に活用することができ、これは実際にスーパーカーを所有する身にとっては「ストレスから大きく開放される」ところでもあるわけですね。

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ハイブリッドシステムならではの「スムーズさ」も見逃せない

そして乗りやすさについてもう一つ言及しておくと、「クリープがある」こと。

デュアルクラッチを採用するフェラーリの多くは「クリープ」がなく、アクセルペダルを踏み込むことでクルマが動き出しますが(反面、ランボルギーニやポルシェだとDCT車にはクリープが備わる)、これは狭いところでクルマを駐車する際には意外と不便であり、とくに「傾斜している道路環境でちょっとだけ動かすという動作を何度も繰り返す場合」はかなり神経をすり減らすという状況に陥ってしまいます。

しかし296GTBだと軽いクリープがあり(ガソリンエンジンによるものというよりも、エレクトリックモーターによるもの。EVモードでもクリープがある)、かつアクセルペダルを踏んで車両を動かすときにも「ガソリン車ほど急激に飛び出さず」繊細なコントロールが可能となるため、「比較的タイトな」駐車スペースに保管している人にとってはありがたいところかもしれません。

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フェラーリといえども「質感」は重要である

そのほか、現時点でぼくがフェラーリ296GTBに感じている「実際に運転していて優れていると感じる部分」は”内装の建てつけの良さ”。

これもスーパーカーでは云々する部分ではないかもしれませんが、内装の組付けがイマイチで低級音を走行中に発生させてしまうと、せっかくの楽しいドライブそして快音も台無しになってしまい、しかし296GTBでは(今のところ)そういったノイズは聞こえておらず、よってサイレントなEVモードでは非常に快適に走行できているわけですね(ポルシェ、ランボルギーニはこのあたりちょっと弱く、けっこう色々な音があちこちから出ていた)。

実際に内装パネルなどを叩いてみても「ガッチリと組み付けられていることがわかる」音が返ってきますが、もしかするとこのあたり、フェラーリは「(EVモード走行時では社内が”静か”になる)PHEV」ということを考慮して296GTBの内装を「ノイズが出にくいよう」考えているのかもしれません(プロサングエにおいては確実にそういった”高級車的”思想が取り入れられているはずである)。

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スーパーカーやスポーツカーにおいて、こういった内装の質感に言及すると、すぐに「スポーツカーやスーパーカーに乗る資格はない」と言われてしまうのですが、実際のところフェラーリは随分前から「内装の質感や快適性の向上」を図っていて、古くはコノリーレザーやスケドーニ、そしてポルトローナフラウ製レザーを採用してきたこと、現代でもテーラーメイド・プログラムにて様々な高級素材を使用していることからも「フェラーリにふさわしい、高いレベルの内装品質」を目指してきたことがわかります。

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さらには近代においてフェラーリを大きく成長させることになった立役者である元CEO、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏は「フェラーリは手の届かない美女のような存在でなくてはならない」と語った反面、乗り心地や品質、さらには利便性の向上に注力しており、消して乗りにくいクルマ、簡単に扱えないクルマをして「手の届かない存在」と表現したわけではない、とも捉えています。

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加えてフェラーリはこれまでにも数々の「快適な」装備を取り入れており、走行性能はもちろん、スーパーカーセグメントにおいて「快適性」すらもライバルを凌駕する必要があるのだとも考えている可能性が高く、新しいモデルになればなるほどその考え方が顕著にあらわれているようにも。※ローマ発表時には、「高級サルーン」のオーナーをも取り込むと発言している

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  • この記事を書いた人

JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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