| 「ジュネーブ・モーターショー」とは言っても実際の会場は中東・カタールである |
状況は流動的、強の戦略が明日も正しいとは限らない
さて、ランボルギーニが「カタールグランプリと同時期である、10月5日から14日まで開催されるジュネーブ国際モーターショー・カタールに出展することを決定した」との報道。
こうやって見るとジュネーブなのかカタールなのか良くわからないといった状態ですが、この状況は2021にまで遡ることができ、当初の計画では、スイスのジュネーブとカタールのドーハの両方で「ジュネーブ・モーターショーが」開催される予定であったものの、今年はジュネーブでの開催が中止されたため、ドーハのみでの開催となってしまったわけですね。
一時期、ランボルギーニは「メジャーなショーには出展しない」としていたが
なお、かつては(いずれの自動車メーカーにとっても)東京モーターショー、デトロイトモーターショー、フランクフルトモーターショー、パリモーターショー、ジュネーブモーターショーといったメジャーな自動車展示会にて新型車を発表することが通例でしたが、現在ではインターネット経由のほうが情報の質・速度ともに優れており、そのために「何十億円もかかる」と言われるメジャーな自動車イベントへと出展する機会が徐々に廃れ、多くの自動車メーカーがオンライン経由にてニューモデルを発表するというのが現在の主流。
さらにはコロナ禍においてショーの開催自体が敬遠されるようなった後、この傾向にさらなる拍車がかかったものの、そのちょっと前からランボルギーニは「メジャーナーショーに出展しない」という方針を打ち出しており、その理由としては「不特定多数の人が集まるショーに出展するよりも、クローズドイベントにて限定された顧客やポテンシャルカスタマーを呼んだ方が購買に繋がる可能性が高いから」。
実際にランボルギーニはその通りに活動を数年続けてきたわけですが、直近ではマイアミにて開催されたアートバーゼルに初出展するなどやや方向性を変えており、こういった変化は「いままでにアピールできていなかった」顧客の獲得を狙ったものだとも考えられます(これはランボルギーニと同じグループに属するポルシェ、ベントレーといったプレミアムブランドも同様である)。
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つまりは「オープン」から「クローズ」へ、そしてまた「(ちょっとだけ、しかし以前とは異なる方面での)オープン」へと向かっており、そして今回の「カタールにて開催されるジュネーブ・モーターショーへの出展」もその流れの一つだとも考えられます。
カタール投資ファンドはフォルクスワーゲン・グループの株式14%を所有
ただ、ここで認識しておかなければならないのは「カタールの政府系ファンドの投資部門であるカタール・ホールディングスが、フォルクスワーゲン・グループの株式14%を所有していること」。
よって、今回の”カタールにて開催されるジュネーブ・モーターショーへの出展”につき、この投資ファンドの依頼によるものが大きいのだとも考えられます(実際に、フォルクスワーゲングループの全ブランドがこのショーに参加すると報じられている)。
この度の出展につき、ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏は中東がランボルギーニにとって重要な市場であることに触れ、しかし「このようなイベントに長期的なコミットメントはできない」とも。
モーターショーがどのように発展していくかを1年ごとに見て、それから決断しなければなりません。最近、私たちはモーターショーについて長期的なコミットメントをすることはありません。観客動員数が減少し、プレスも来ないのであれば、行く必要はないからです。
その一方、カリフォルニアで開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンス(プレミアムカーメーカー中心のショーであり、来場者もアッパークラスばかりである)は、多くの現オーナーや潜在的なオーナーを惹きつけることを理由に「ランボルギーニにとって最も重要な自動車イベントであると」と述べており、今後はこの場でのニューモデルの発表が見られるかもしれませんね。
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参照:Autocar