
| マセラティMC20フォルゴーレはそもそも「発表すらされていない」状態ではあった |
その段階で計画がキャンセルされるとは、よほど反響が薄かったのであろう
マセラティは2022年半ば、「フォルゴーレ(Folgore、イタリア語で“稲妻”の意)」というEVラインアップを展開すると発表し、完全電動化を目指す計画を公開しています。
この計画に従うと、その後3年間で6台の新型EVが導入され、そのうち2台は完全新設計のモデル、残る4台は既存モデルの電動バージョンとなる予定だったわけですね。
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計画と「現実」とは大きく異なった
しかしそれから3年が経ち現実が見えてきたというのが現在の状況で、EVの販売は減速し、多くの自動車メーカーがEV計画を見直し、完全にキャンセルしたり、ハイブリッド開発へシフトしたりしています。
マセラティの状況はといえば、「フォルゴーレ」として登場したのはグレカーレ、グラントゥーリズモ、グランカブリオの3モデルだけで、いずれも既存のガソリン車の電動版。
一方で、クアトロポルテ「フォルゴーレ」の発売は延期され、完全新設計の2モデルも未発表のまま。
そして今回、もう1台の”フォルゴーレ”モデルが日の目を見ることはないことが正式に確認され、その「キャンセルだれた」最新”フォルゴーレ”とはマセラティMC20で、2020年に(フォルゴーレ板の計画が)発表されたものの、需要の低迷と財政的な問題が重なり、正式発表される前にキャンセルされることとなったのだと報じられています。
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マセラティの2024年の世界販売台数は前年の26,600台から11,300台へと57%超の大幅減少を記録しており、この結果として親会社のステランティスはマセラティへの大型投資計画を撤回したのは既報の通りですが、その一部として「MC20 フォルゴーレは需要がない」という判断がなされたようですね。
実際のところ、MC20自体の販売も苦戦しているとされ、一部では値引きや長期在庫も報じられているものの、マセラティとしてもMC20そのものを見捨てるわけにはゆかず、MC20フォルゴーレをキャンセルする代わり、既存のガソリンバージョンを改良する計画が進められているとも報じられていて、この続報には期待したいと思います。
一方、その他のモデルについての「今後」もまた不透明であり、2017年に登場し大幅な改良がないままのレヴァンテの先行きもわからず(次世代モデルは2027年に登場予定だとされるが、計画通りに進むとは思えない)、さらには(ギブリの廃止によってモデルラインアップの中心となるはずだった)新型クアトロポルテについても当初は2024年に登場予定だったものの、その発売が2028年まで延期されているといった状態です。※もしかすると同門のアルファロメオでも33ストラダーレ「電動版」の開発が中止となるのかもしれない
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参照:Autocar, Jalopnik