
| フェラーリ296スペチアーレの価格は「スモールフェラーリ」としては前人未到の域に達するだろう |
自動車メーカーの「最終目的」は「いかに少ない台数で、いかに最大の利益をあげるか」である
さて、フェラーリ296GTBの受注が終了する、あるいは終了したと思われる時期ではありますが、これは同時に296GTBのスペシャルバージョン(296GTB VS、あるいは296GTBスペチアーレと称されるモデル)が発表される頃合いであることを意味します。
フェラーリはここ数世代にわたり、そのモデルのライフが尽きる頃にスペシャルモデルを発表し、そのスペックを引き継ぐ形で次世代モデルへと移行するというスタイルを採用していますが、296GTBについても同様の流れを汲むものと見られ、よって296スペチアーレ(出願されている商標から推測するに、この名称を採用する可能性が高い)を発売し、296GTB後継モデル(296ムジェッロ?)へとそのテクノロジーが引き継がれることになるのかもしれません。
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いったいフェラーリ296スペチアーレの価格はいくらになるのか
そこで気になるのが296スペチアーレの「価格」。
そもそも仕様もわからないので推測のしようもないのですが、これまでに公開されたスパイフォトやスパイビデオを見るに、296GTBのレーシングカー、「296GT3」に近いルックスを持つように思われ、となるとSF90 XX同様に「公道を走るレーシングカー」的存在となるのかもしれません。
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であれば296スペチアーレの価格は「SF90ストラダーレに対するSF90 XX」のようにドカンと跳ね上がることが予想され、「296GTBにアセットフィオラノパッケージ(415万円。今はもうちょっと高くなっているかも)を装着し、ちょっと軽量化とパワーアップを施した」レベルでは収まらず、根本的なアップデートによって一気に8000万円くらいまで上がってしまうんじゃないかとも考えています(この予想が悲観的であることを祈るが、逆に楽観的にすぎる可能性も否定できない)。
フェラーリのスペシャルモデルの価格はこんな感じ
そこでざっとフェラーリの標準モデルとスペシャルモデルの価格を拾ってみたのですが、新しいモデルになればなるほど「標準モデルからの上げ幅」が大きくなっていることがわかり(ただし標準モデルの価格は発売当初の価格であり、その後のインフレ等を反映した改定価格ではない)、SF90 XXでは「ほぼ倍」というレベル。
フェラーリのスペシャルモデルの価格
フェラーリF430・・・新車価格2467万円
フェラーリ430スクーデリア・・・新車価格3026万円
フェラーリ458イタリア・・・新車価格2830万円
フェラーリ458スペチアーレ・・・新車価格3290万円
フェラーリ488GTB・・・新車価格3126万円
フェラーリ488ピスタ・・・新車価格4036万円
フェラーリF12・・・新車価格3730万円
フェラーリF12 tdf ・・・新車価格5230万円
フェラーリ812スーパーファスト・・・新車価格4128万円
フェラーリ812コンペティツォーネ・・・新車価格6819万円
フェラーリSF90ストラダーレ・・・新車価格5542万円
フェラーリSF90 XX・・・新車価格9800万円
たしかにフェラーリのスペシャルモデルは代を重ねるごとにその(標準モデルからの)変更範囲が大きくなっていて、「軽量化に足回りを固めて少しパワーアップ」という”昔ながらの”ハードコアモデルのて採用されてきた領域を完全に超えるようになり、大幅なエアロパッケージの変更、冷却構造の変更、スリップコントロールのアップデートなど、「事実上の大幅フェイスリフト」とも言えるレベルに達しています。
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そしてこの変更が後のモデルにも一部反映されるといえど、数量が限定されるスペシャルモデルのためのデザインや機能も少なくはなく、その開発や製造コストを考慮するならば、「フェラーリのスペシャルモデルが高額になってしまう」のはやむなしなのかもしれません。
近年の「ハードコアモデル」は以前のハードコアモデルとはまったく違う
参考までにですが、ポルシェにもこの理論が当てはまっていて、かつてのポルシェのハードコアモデルは「軽量化に足回りを固め、ちょっとパワーアップ」というのが定番として用いられていた手法であり、つまりハードコアモデルは標準モデルに比較して「簡素」であったため、一部のハードコアモデル(968)では標準モデルよりも安価であったほど。
996世代の911 GT3においても「軽量化に足回りを固め、ちょっとパワーアップ」がその主な変更点であったものの、991世代、992世代になると、「より速く走るためにテクノロジーを用いるように」なり、つまりハードコアモデルを開発するためには「引き算」ではなく「足し算」を用いるようになってゆき、よって足し算のぶんだけの価格がプラスされているわけですね。
これは現代のスポーツカーの考え方が「テクノロジーをもって物理の法則を超える」という方向へとシフトしていることを表していて、「メカニカルグリップとパワーウエイトレシオ」が速さを定義する種要素であった時代から、「トラクションの確保」「発生したパワーをいかに有効に路面に伝えるか」「いかに車両の姿勢を制御するか」という時代へと移り変わっていることを意味し、つまりは「パッシブ」から「アクティブ」へと(サスペンション、エアロダイナミクス、トルク制御、車体制御などが)移り変わっているのだとも考えられます。
そうなると、最新のハードコアモデルには「多大なるコスト」が注ぎ込まれ、その結果として必然的に高額になってしまうことも理解はできるものの、そういったクルマを購入する消費者としては「ちょっと勘弁して・・・」となってしまいますよね(引き続き、ぼくはポルシェ911GT3 RSを待っているが、順番が回ってくるかどうかはわからない。992.2世代ではとんでもない額になりそうだ)。
フェラーリは「生産量を絞り、単価を引き上げる」方針か
参考までに、フェラーリの「周年限定モデル」の価格推移は以下の通りで、最新のF80だとその価格が大きく跳ね上がっていることもわかり、しかしそこに盛り込まれるテクノロジーも非常に高度なもの。
フェラーリの記念限定モデルの価格
フェラーリF40・・・新車価格4650万円
フェラーリF50・・・新車価格5000万円
エンツォフェラーリ・・・新車価格7850万円
ラフェラーリ・・・新車価格1億6000万円
フェラーリ F80・・・新車価格6億円
よってこの価格は納得性が高い設定であるとも考えていますが、最近のフェラーリの動きを見るに、「生産台数を増やさずに車両単価を引き上げる」方向にあるように思われ、これは主に中古市場のコントロール(流通する台数が増えすぎたように思う)、そして希少価値の維持を目的としているんじゃないかと推測しています。
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となると今後、限定モデルでなくともフェラーリの新車は「価格が非常に高く、そして受注枠が少なく」なり、なかなか買えなくなるんじゃないかとも予想しているのですが、これによって中古市場が活性化する可能性が高く、そして中古相場の上昇がもたらされるのかもしれません(フェラーリは新車販売と中古市場を常にセットで考える)。
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そして今後、フェラーリのエントリーモデルの価格が「5000万円や6000万円」になってしまった場合、一体誰が買うのかと考えたりするものの、日本はもちろん、新興国含む世界中では毎日多くの富豪が誕生しており、その誕生するスピードよりも少なく(フェラーリが)生産台数を抑える限り、フェラーリの価値は上昇し続けるのだろう、とも考えています。
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