Image:Maserati
| イエローはモデナ市のカラー、そしてブルーはおそらく現地伝統のサッカーチームのカラーではあるまいか |
そしてモデナをスーパーカーの聖地たらしめたのはおそらくマセラティの功績である
さて、マセラティはつい先日「V8エンジンを積む最後のクルマであるクアトロポルテ」「虹にインスパイアされたMC20」を公開したところですが、今回は間を置かずに”マセラティ本社所在地であるモデナに敬意を評した”ワンオフモデル、MC20トリブート モデネーゼを公開することに。
この「MC20トリブート モデネーゼ」を製作したのはマセラティのパーソナリゼーション部門「フオーリ・セリエ」ですが、同部門は最近数々のワンオフモデルや限定シリーズを発表しており、相当数の顧客がこれを利用していることを伺わせます。
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マセラティがワンオフ仕様のMC20「アイリス」を公開。内外装には虹をテーマにしたカラーが用いられ、同社の伝統と未来を示すデザインそして素材が用いられる
Image:Maserati | マセラティはここ最近、パーソナリゼーション部門を立ち上げワンオフや少量生産モデルの展開を積極的に行っている | そして今後も様々な特別仕様のマセラティを見ることができ ...
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マセラティ MC20トリブート モデネーゼはこんなスーパーカー
そこでこのMC20トリブート モデネーゼを見てみると(マセラティは公式プレスリリースにおいて、このクルマについてあまり深く解説していない)、ボディカラーは座やかなブルーにイエローアクセント、そしてブラックのグラデーション。
この「ブラックのグラデーション」はフロントフード上の三叉の銛(トライデント)を浮き上がらせるようにデザインされていますが、フロントグリル内のトライデントがイエローに彩られるのもまたユニーク。
なお、この「イエロー」はモデナ市のカラーでもあり、よって同郷のフェラーリのエンブレムもまた「イエロー」。
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フェラーリが公式にそのエンブレム誕生を語る。エンツォとミラノの芸術家によって作られ、文字の上で「馬が跳ねているように」というのはエンツォの指示だった
| フェラーリが公式にエンブレムについて語るのはおそらくこれが初だと思われる | フェラーリの「馬」は現在に至るまでに「スリム」になっていた さて、フェラーリは自動車業界でもっとも印象的なエンブレムを ...
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じゃあこのブルーは何なのということになりますが、これはおそらく「モデナのサッカーチームのカラー」をイメージしているのではと推測します。
ものの本によると、実際にモデナのサッカーチームのカラーは鮮やかなブルーだといい、そしてエンツォ・フェラーリ(将来なりたい職業の一つとしてスポーツ記者を挙げており、サッカーに対しても強い関心を持っていた)が一時自社工場内のユニフォームに採用していたのもこのブルー。
よってこのMC20トリブート モデネーゼの「ブルー」も同じルーツを持っているんじゃないかと考えているわけですね。
ちなみにですが、この「モデナ」はフェラーリ創業の地としても知られ、ほかにはマセラティ、そしてドゥカティもこの地で誕生し、少し離れた(50-60kmくらい)ボローニャにはランボルギーニが(今も)活動しています。
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「レッド」の前には「ブルー」だった。フェラーリは1960-1970年代にレーシングドライバーのスーツ、スタッフのユニフォームにブルーを使用していたことがある
| 当時のフェラーリのレーシングカーのシートも「ブルー」である | フェラーリのエンブレムにも「ブルー」が採用される可能性があったとも言われ、エンツォ・フェラーリは”ブルー好き”であったのかもしれない ...
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さらに現在だと(フェラーリやポルシェ、メルセデス・ベンツのコーチビルドで知られる)アレス・モデナもその名の通りモデナを拠点に活動し、パガーニもやはり同じ地域に本社を構えているほか、中国の紅旗がスーパーカーを製造するために新たに拠点を構えたのもまたモデナ。※現在のブガッティの前身にあたるブガッティ・アウトモビリも同じ地域(エミリア・ロマーニャ)にて創業されている
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その理由はひとえに「モデナとその近郊には昔からスポーツカーメーカーが多く、よってモデナには優秀な人材やサプライヤーが集中しているから」で、実際にフェラーリやランボルギーニを辞して自らの自動車メーカーやレーシングカーファクトリーを立ち上げた人物も少なくはなく(ジャンパオロ・ダラーラやジオット・ビッザリーニなど)、ATS(アウトモビリ・ツーリスモ・エ・スポルト=Automobili Turismo e Sport)もフェラーリ卒業組がモデナにて立ち上げたブランドです。
ただし歴史を遡ってゆくと、「モデナでスポーツカーを作り始めた」のはマセラティがほぼ最古の部類であると考えられ(1914年)、フェラーリ(1947年)やランボルギーニ(1963年)はそのずっと後。
よって、モデナをスーパーカーの聖地たらしめたのはマセラティである可能性が高く、よって今回のMC20トリブート モデネーゼほどマセラティの歴史を端的に表す存在はほかにないのかもしれません。
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参照:Maserati