| トヨタのデザインオフィスは現在3つ、それぞれの見識を活かしつつトヨタのクルマはデザインされる |
キャルティのデザインは「丸みが強い」のが一つの特徴
さて、トヨタの北米におけるデザイン拠点「キャルティ(Calty Design Research Incorporated)」が今年で50周年を迎え、一つの節目として”これまでに陽の目を見ることがなかったコンセプトカー”がいくつか公開されています。
まず上の画像の赤いスポーツカーは「MX-2」と命名されたもので、ディヘドラルドア、キャノピー型のリアウインドウ、そしてロングテールが大きな特徴。
なお、ステアリングホイールは「(メルセデス・ベンツ・ウニモグのように)左右にスライドできる」スイング式を採用しているのだそう。
キャルティは80スープラのデザインを提案するも「ボツ」に
こちらはMX-2の数年前に制作された「MX-1」。
MX-2同様にエンジンは車体リアミッドにマウントされていますが、これとは別にMR2の市販化が決定し、そのため(MR2と重複するので)MX-1は開発承認がおりずお蔵入りとなってしまった、と紹介されています。
結構未来的な印象もあり、またMR2とは異なる雰囲気を持っているので、これはこれで市販してほしかったという気もしますね。
そしてこちらはキャルティの考えた第四世代(80)スープラのデザイン。
ちょっと三菱エクリプスに似ていますが、一般に北米ではこういった「丸い車体」が好まれると言われます(とくに西海岸は日差しが強いので、角ばったデザインだと陰影が強く出過ぎてしまい、ディティールの判別が難しくなるからだとという説がある。今はそうではないものの、たしかに80年代のアメリカ車、北米専用車は丸かった。キャルティはカリフォルニア拠点であり、いっそう日差しが強い地域にある)。
「直6」搭載を強調したデザインを行ったためにボンネットの盛り上がりや長さを強調していますが、実際にこのデザインは採用されず、しかしヘッドライトなど一部の要素は80スープラに引き継がれています。
参考までに、現在トヨタのデザイン拠点は「東京デザイン研究所」「キャルティ・デザイン・リサーチ」「トヨタ ヨーロッパ デザイン ディベロップメント」の3つで、多くの場合はこれらからデザイン案を集めてコンペを開き、しかしその中から選ばれたものをそのまま採用するのではなく、他に提出された案からも様々なディティールを拾い集め、いわばマッシュアップ的なデザインが最終的に採用されることが多いようですね。
そのほかにはこんな「お蔵入り」コンセプトカーも
そしてこちらはトヨタが以前若者向けに展開し、しかし今は閉鎖してしまった「サイオン」ブランドから発売を目論んだシティカー。
提案としてはかなり面白いとは思うものの、「発売しなくてよかった」たぐいのクルマなのかもしれません。
そしてこちらはFJ40企画時のモデリング。
ランドクルーザの源流は「BJ」にあるものの、これは「B型エンジンを積んだジープ」を意味していて、1950年代にトヨタが米軍(GHQ)から警察予備隊(自衛隊)用の高機動車両の開発を依頼されて製作したクルマに端を発します(結果的に三菱案が採用され、初代BJは民生用としての道を探り、それがランクルに発展する)。
そう考えると、FJ40開発段階の試作モデルが「ジープに似ている」のも納得ですね。
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参照:CALTY