| カムリは2022年、アメリカで5番目に売れたクルマである |
日本におけるカムリとアメリカにおけるカムリは全く違う捉えられ方をしている
さて、トヨタが「新たな夜明けがやってくる」というキャッチコピーとともに一枚のティーザー画像をドロップ。
現時点ではこのモデルについてなんら言及はなく、しかしその車高、後部座席にヘッドレストが見えることを考慮すると、「後部座席を備えたセダンもしくはハッチバック」であるのは間違いなさそう。
あるいはウワサの「GRプリウスか」と考えたりしますが、薄っすらと見える「ヘッドライトとフロントフェンダー」との境界線がプリウスとは異なり、よってこれは「ブランニューモデル、もしくは既存モデルのモデルチェンジ版」だと考えられます。
もっとも濃い線は「新型カムリ」だが
そこで様々な選択肢を考慮してみたとしても、これは「新型カムリ」と考えるのがもっとも妥当。
というのも新型カムリについては北米にてすでにティーザーキャンペーンが開始されているためで、トヨタとしては同時期に複数モデルを登場させて話題を分散させたくないのだと考えられるため、現在は「カムリに集中した」プロモーションを展開していると捉えるのが自然です。
参考までに、北米市場においてカムリは非常に重要なポジションを占めており、2022年通年だとカムリはなんと「5番目に売れたクルマ」にランクイン(4位はRAV4)」。
よってトヨタとしては新型カムリに対して全身全霊を注ぐであろうことは容易に想像が可能です。
北米ではなぜか「セダン」の人気が高い
なお、北米では「SUVとトラック」がよく売れており、もっとも人気が高いということが報じられていますが、それに次ぐ人気なのが「セダン」。
しかも「4位のRAV4、5位のカムリ」を見ても分かる通り、他の国や地域ほど「SUV/トラックとセダンとの」人気の格差が大きくはなく、つまりセダンは”売れている”ボディ形状だと言って良いかと思います。
そして北米でセダンが人気なのは「スタイリッシュで若々しい」からだと言われていて、これは日本とはある意味で真逆のイメージかもしれません。
ただ、これには北米らしい理由があり、それは「現代の若者にとって、SUVやトラックは物心ついた頃から家に停まっており、よってそれらは父親たちが乗る”オッサンのクルマ”であって、むしろセダンのほうがスマートで都会的に見えるから」。
そう言われるとなんとなくそのような気もしてきますが、たしかにトヨタは北米にてカッコいい「カムリTRD」をリリースしていたりして、北米のカムリには「オッサン臭い」イメージはないのかもしれません。
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アメリカではやっぱりクルマがステータスシンボル
なお、日本ではその地位を失って久しいものの、アメリカではやはり「クルマはステータスシンボル」。
ミュージックビデオにクルマがよく登場したり、ハリウッド映画でも「出世したらいいクルマに買い替えて、職を失ったらボログルマになる」という描写が多いことを示すように、クルマはその人の所得のみならず地位をも示すことが多いようです。
そしてこれについてもアメリカならではの理由があって、「アメリカでは、ローンを組む際に、社会的地位が審査に影響を及ぼす」という事実。
日本だとほぼ誰でも(定職に就いていれば)高額ローンを組むことができるものの、アメリカでは収入に加えてその「ポジション」の重要性が高いといい、よって日本のように「無理してローンを組んでいいクルマを買う」という例は一般的ではなく、ローンが組める範囲で購入できるクルマに乗るため、そのクルマのランク=収入と社会的地位をダイレクトに表していると言われます。※さらには、いかに収入が多くとも、自営業の場合はローンを組むことが難しいようだ
たしかにアメリカの求人市場では、日本ではほとんど存在しない「上級管理職のマーケット」が存在しており、つまりは役員やCEOの転職が活発であり(日本ではこれらは基本的に生え抜きで構成される」、さらには「会社に所属」というよりは「自分のスキルを生かした仕事をしている」という感覚が強く、よってローンの審査においても「どこで働いているか(会社名)」よりも「何をしているか(どういったスキルを持ち、それを生かしたポジションに就いているか」が重視されるのかもしれませんね。
よく言われる話として、日本人に「仕事何しているの?」と聞くと勤め先を答えることが多いそうですが(たしかにそうかも)、アメリカ人に同じ質問をすると「エンジニア」「営業」「会計」など職種を答えるのが通常だといい、そして職種と収入もある程度リンクしている可能性もありそうです。
随分話がそれたものの、「アメリカではクルマが一種のステータスシンボル」である以上、出世したらいいクルマに買い替えるのが通例だといい、そしてカムリは「ちょっと出生したら買い替えるクルマ」としてアメリカでは確固たる需要があるもよう。
その先にあるのは「レクサスES」だそうですが、これについても「課長クラスになったらレクサスES」という一定のイメージがアメリカにはあるとされ、よってカムリやレクサスESはアメリカだと非常に売りやすいクルマだと言われています(逆に、日本だとそれらにどういった人が乗るのかピンと来ない。だからカムリは販売が終了するのかも)。
もう一つ参考までに、トヨタが日本でウィンダム(懐かしい。当時の北米におけるレクサスES)を発売した時、アメリカ式の「こういった役職や仕事の人がこういったクルマに乗る」というプロモーションを展開していて、それはなかなかに面白かったという記憶も。
なお、今回のティーザー画像については、トヨタの北米法人のみが公開しており、日本のトヨタはこれに触れていないため、新型カムリの日本導入は望めない、と考えてよいかと思います(日本のトヨタは、日本に導入する可能性があるクルマであれば海外仕様であっても国内でプレスリリースとして配信するが、今回はそうではない)。
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参照:TOYOTA