| トヨタは軽量性を追求するため、「軽量実験車」の外板にアルミニウムを採用 |
1977年のクルマにしては「けっこうレトロ」
さて、トヨタは現在世界中にいくつかのデザインオフィスを設置していますが、先日は50周年を迎えた北米のデザイン拠点「キャルティ(Calty Design Research Incorporated)」より、いくつかの「ボツになったコンセプトカー」が公開されています。
そして今回、トヨタが過去のコンセプトカーを振り返る(正確に言うならば過去のイベントで展示したクルマを記録する)コンテンツを公開し、その中の一台がちょっとした話題に。
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トヨタは1977年に車体重量わずか450kgのコンセプトカーを発表していた
そのコンセプトカーとは1977年に発表された「Aluminium Body Experimental Vehicle」なるクルマで、日本語にすると「軽量実験車」。
現代では車体の主要構造やボディパネルに用いられることが多い軽量なアルミニウムですが、当時はハイパフォーマンスカーなど「コストに優先する目的を持つ」クルマに使用されることはあっても一般車に使用される例は非常に少なく、しかし当時トヨタはこの素材を全面的に採用した「軽量実験車」を製作し、1977年の第二回東京モーターショーへと展示しています(F110なる高級セダン、CAL-1と命名されたセリカXXのピックアップトラック、クラウン・エアポートリムジンなどが同時に展示されている)。
なお、トヨタがこのクルマを製作し、軽量化の可能性を追い求めることになった理由は「エネルギーと天然資源の節約を求める社会的要請に応えるため」。
目標は「燃費を向上させる軽量な車を作ることで、「その開発は、最大限の仕事に対して最小限の消費という原則によって導かれた」と紹介されています。
そしておそらく、この背景にあったのは1973年からはじまった第一次オイルショックであり、これが世界中にて「石油が枯渇する」「石油の価格が上がり、今までの用に消費できない」という恐怖を抱かせることになり、よってこの時代には様々な規制が誕生したり、それに対応するクルマ、そしてさらに未来を見据えたコンセプトカーが登場しているわけですね。
そしてこのトヨタ「軽量実験車」を見てみると、長いボンネットにコンパクトなキャビンを持つワゴンボディといったデザインを持っていますが、おそらくは軽量性の他に空力も追求されているものと見え、コーダトロンカ風のカムテールを見るに、アルファロメオ「TZ」シリーズに影響を受けているのかもしれません。
参考までにですが、「ワゴン風ボディ(ロングルーフ)」が空力的に有利であることはずいぶん前から知られており、マツダも1970年にはワゴンボディを持つコンセプトカー「RX500」を発表したことがあって(軽量実験車の7年前に登場しているが、こちらのほうがずっと近代的に見える)、しかしワゴンボディを持つスポーツカーが実際にはほぼ存在しないのはちょっとナゾでもありますね。
Japanese companies were particularly proud of their concept cars and often featured them in publications. In the late 1970s Toyota was experimenting with an aerodynamic, all-aluminium body. The rather aesthetically-challenged result was featured in a 1978 corporate brochure, pic.twitter.com/Z3ZLhVD8Jr
— Car Brochure Addict (@addict_car) October 22, 2020
なお、トヨタ「軽量実験車」に搭載されるエンジンはわずか547cc、そしてドアはスライド開閉、そして乗車定員は2名、ドアは「スライド式」。
全長は3,560ミリ、全幅1,492ミリ、全高1,156ミリというコンパクトなボディを持ち、仮に時速60kmで走行した場合、その燃費はリッター35kmを記録すると紹介されています。
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