| 中国には「自動車」の概念を超越したトンデモカーが存在する |
文字通り自動車の概念が多様化しており、これもまた新しいジドウシャのあり方なのだと思われる
さて、現在中国内では「中国の自動車メーカーの販売比率が増加している」といいますが、その理由はスマートフォン同様に「中国のメーカーは、中国の市場が望む製品を作っているから」だと捉えています。
その市場にはその市場なりの特性があり、日本のように(軽自動車など)コンパクトなクルマやミニバンが好まれたり、アメリカではトラックやパワフルなクルマが好まれたりとその傾向はまさに「バラバラ」。
そして中国では自動車を選ぶ際に品質や走行性能よりも「テクノロジー」「デザイン」を重視する傾向にあるようで、そのテクノロジー、そしてデザインについては、自動車本来の機能や走行性に直結していなくも問題はなく、つまり中国の人々の多くは、自動車を(日米欧の人々が捉えるような、これまでの概念での自動車としてではなく)、ガジェットやデジタルデバイスとして捉えているのかもしれません。
要は、日米欧の自動車メーカーが重視する要素と、中国市場が求める要素にはギャップがあり、そしてそれを埋めたのが中国の自動車メーカーであり、そこが中国車の躍進につながっているのではないか、とぼくは考えています。
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中国には非常に独特なクルマが存在する
現在のところ、中国の自動車メーカーは玉石混淆であり、まだまだモノマネから抜け出すことができないメーカーが多い反面、BYDのように独自の技術を身につけるメーカーもあり、そしてLynk&Co、そして今回紹介するHiPhiのように全く新しいデザインをもって市場にその存在意義を問うブランドも。
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そこでさっそくこのHiPhi Z(ハイファイZ)を見てみたいと思いますが、これは見てのとおり、既存のいかなる「自動車」とも異なる外観を持つクルマ。
ヘッドライト付近は「R35 GT-R似」と言われることも。
ボディサイズはけっこう大きく、全長5,036ミリ、全幅2,018ミリ、全高1,439ミリ、搭載されるエレクトリックモーターは前後に2つ、バッテリー容量は120kWh、最高出力は600馬力、最大トルクは820Nm、一回の満充電あたり航続可能距離は705km(ちょっとユルめのNEDCサイクル)、0-100km/h加速は3.8秒というスペックを誇り、価格は日本円換算で約1180万円という高価なクルマです。
ちなみにリアホイールステアリング、エアサスペンションも装備されている、とのこと。
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車体形状としては4ドアクーペ、ということになりそうですね。
ホイールには無意味にSF的なデザインを採用しています。
ちなみに車体に内蔵されるLEDの数は4,066個だとされ、あちこちが「光る」仕様(各アッセンブリーに内蔵されるLEDの数が多く、一個でも球切れを起こしたらアッセンブリー交換になるものと思われ、修理費用がかなり高くなりそう)。
ルーフにはLiDARセンサー、そしてドアミラーの下にはカメラが装着され、高い自動運転レベルを実現しているものと思われます。
なお、ボディサイドの黒い帯にもLEDが内蔵されており、ここでは文字の表示を行うことが可能(現在の中国市場では唯一、アルファベットが表示可能な車種らしい)。
リアにはLEDライトバー、そしてバンパーにも多くな面積を誇るディスプレイが装着され・・・。
シーケンシャル点灯などアニメーション表示が可能です(リアをぶつけると修理代金がかなり高くなりそうだ)。
そしてドア開閉は「スイッチ式」とこれまた先進的。※もちろん押せば光る
Bピラーが存在するものの、観音開きを採用しており、優れた乗降性を確保しているようですね。
ハイファイZ(HiPhi Z)のインテリアはこうなっている
そしてこちらはハイファイZのインテリア。
先進的ではあるものの、エクステリアに比較するとまだ「普通」な部類かもしれません。
ただし中央のディスプレイは縦横斜めと自由に動き、角度調整も可能です(画面に写される映像の天地を保持することもできる)。
このモニターの角度調整は4本のシリンダーにて行うことになり、この動作にもSFっぽさが感じられますが、こういった(一見して不要な)演出が現在、そして未来のクルマには重要なのかもしれません。
後席はかなり広め。
こういった「大きなグラスルーフ」は中国にて非常に好まれる装備の一つです。
今回ハイファイZを紹介しているユーチューバー、ホイールボーイ(Wheel Boy)によれば、このクルマは「中国車にしては珍しく」しっかりしたボディとダイレクトなステアリングフィールを持っているといい、非常に良く出来たクルマなのだそう。
現時点ではどのくらい売れているのかはわかりませんが、それが事実だとそれなりの販売台数を確保することができるのかもしれず、こういったクルマが増えると、中国の景色もこれまでとは違うものとなるのかもしれませんね。
中国きってのSF電気自動車、ハイファイZ(HiPhi Z)を紹介する動画はこちら
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参照:Wheelsboy