| 今年中には欧州にて販売開始、その動向には注目したい |
さすがはボルボやロータスを同系列に持つだけのことはある
さて、現在ぼくが最も注目する中国の自動車ブランド、Zeekr(ジーカー)。
これはメルセデス・ベンツ最大の株主である李書福氏が創業した吉利汽車(Geely)傘下にあるブランドで、同社はこの他にもボルボ、ポールスター、スマート、ロータスなどを傘下に収めます。
多くの中国の自動車メーカー(第一汽車やGACなど)は外国の自動車メーカーとの合弁企業展開を通じて技術移転を図る傾向にあるのですが、吉利汽車の場合は合弁ではなく「買収」によって企業規模を拡大し、そして買収したブランド間の横のつながりを活用することで(それぞれのブランドの)製品の性能や品質向上を図るという戦略を持っています。
よって、実際に「ロータスと、ボルボと、そして吉利汽車自社のブランドであるLynk&Coとで車体を共有する」場合も見られ、例えば「ハンドリングはロータス、デザインは北欧(ボルボ)、製造は(コストが安い)中国、そしてコネクティビティやインターフェースも(デジタル化に強みを発揮する)中国」という、それぞれの強みを持ち寄った製品の展開をグループ挙げて行っているように思われます。※ロータスが「エレトレ」を開発できたのも、吉利汽車グループのシナジー効果によるものだと考えられる
-
ロータス/ボルボの親会社「吉利汽車」のEVブランド、ZeekrよりカッコいいEV「X」登場!このデザイン、そして割安な価格となると既存自動車メーカーは相当に苦戦しそう
| 「必要に迫られて」EVを購入することが多い欧州の消費者であれば、コストパフォーマンス優先で中国産EVを選んでもおかしくはない | ルノーやプジョー、シトロエンなど普及価格帯のクルマを扱うブランドは ...
続きを見る
Zeekr Xはこんなクルマ
そこで今回、ユーチューバー「ホイールズボーイ」が中国よりZeekr Xのレビューを届けてくれているわけですが、もし日本でこのZeeker Xが販売されていれば(中国製ということを気にせず)買ってしまうだろうなとも考えているぼくにとっては非常に興味深い内容に。
まず、このZeekr Xは吉利汽車の持つサステイナブル・エレクトリック・アーキテクチャー(SEA)をベースとし、シングルモーター(268馬力)とデュアルモーター(422馬力)の2種類のパワートレインを用意するコンパクトクラスのピュアエレクトリックカー。
ちなみにこのプラットフォームはスマート#1、ボルボEX30と「共通」で、ボディサイズは全長4,450ミリ、全幅1,836ミリ、全高1,572ミリ、ホイールベースは2,750ミリ。
Zeekr Xの全モデルには、NMCケミストリー製となる66kWhのバッテリーパックが搭載され、シングルモーターでは1回の充電で最大560km、デュアルモーターだと1回の充電で最大512km走行できるとしています(いずれも中国のCLTCテストサイクルによる計算値)。
このCLTCサイクルは”甘め”の数値を持つものの、このバッテリーサイズはなかなか大きく、スタンダードなテスラ・モデルY(5,834,600円)のバッテリーが57.5kWhであることを考えるとけっこうな”大判振る舞い”だと思います。
ただ、このZeekr X最大のセールスポイントはデザインだと考えられ、これは同じ吉利汽車傘下にあるLynk&Coからリースされている各モデルと高い共通性を持っており、しかしZeeker向けに「シャープな」ディティールへと改められているようですね。
-
立ち上げから6年、中国のLynk & Coが累計生産80万台を達成したと発表!最大のウリはそのデザイン、さすがにボルボやロータスを傘下に収めた吉利汽車の自社ブランドだけはある
| もともとはEV専用の予定だったがガソリン車として出発し、2025年には完全電動化を目指す | 実際に見た印象も悪くはなく、むしろ魅力的だと考えている さて、ぼくがもっともイケてると考える中国の自動 ...
続きを見る
動画を見ても、細かいところまでけっこうよくできてるな・・・という印象。
リアハッチの開口部は(ボディ剛性確保のためか)小さめで、大きな荷物の出し入れは難しいかもしれません(シートを立てた状態での容量は362リットル)。
フロントフード下にも収納スペースがあり、バッグや衣類程度であれば収納できそう。
インテリアはシンプルでオシャレ、そして中国市場で好まれるローズゴールドのアクセントつき。
なお、物理スイッチがほとんど存在しないデザインです。
1.2平方メートルの面積を持つパノラマダブルペインガラスキャノピーが備わり頭上も広々(ガラスの採用でルーフの厚みが減っておりヘッドルームが広くなっている)。
Zeekr Xは4シーターもしくは5シーターを選択できますが、動画に登場するのは4シーターバージョン。
シートの座面を跳ね上げることができ(なんと電動)、後席用アームレストを外してさらに広い空間を確保することも可能です(外したアームレストはリアカーゴスペースに収納できる)。
そしてちょっと面白いのは、前席用として温冷庫を持つことで(15度から50度に調整できる)、そしてこれはなんと取り外し式(おそらくはバッテリーが内蔵されていないと思われるので、温度をキープするにはこの温冷庫そのものの保冷機能に期待するしかない)。
実際にZeekr Xで走ってみたらこんな感じ
そしてホイールズボーイは実際に公道にてこのZeekr Xの試乗を行っていますが、とくにハンドリングについては「非常に印象的」だと語っていて、車線変更を非常にスムーズに行うことができるほか、速度感応式ステアリングを採用しているので、低速でも高速でも違和感なく操作できるようですね(同ユーチューバーは多数の中国車に試乗しているが、中国車の多くはハンドリングに弱点を抱えていると指摘しており、しかしこのZeekr Xは例外であるようだ)。
そのほか、加速に関してもギクシャクするする部分はなく、「滑らか」かつシームレスに加速してゆくとコメントしていて、EVにありがちな「加速を誇張するような」設定ではない、とのこと。
さらにサスペンションにも快適な味付けがなされ、緩やかな路面のうねり、鋭く尖ったスピードバンプであってもしっかりと衝撃を吸収するしなやかさと快適性をもっているそうですが、同時に引き締まった印象も受けると述べており、ハンドリングや足回りにはロータスやボルボの技術が反映されているのかもしれません。
このZeekr Xはシングルモーターモデルだと189,800元(現在の為替レートで367万円)、デュアルモーター版であっても209,800元(405万円)という求めやすい価格に設定されていますが、この価格は中国内でも非常に競争力があるもよう。
2023年中には欧州市場に上陸するとも言われていますが、フォルクスワーゲン、プジョー、ミニ、そしてフィアットがすでに投入しているEVの「協力な」ライバルとなるかもしれませんね。
Zeekr Xの試乗レビュー動画はこちら
合わせて読みたい、Zeekr関連投稿
-
中国ZEEKRが高級電動ミニバン「009」を発表!トヨタがアルファードで開拓した市場に続々中国製電動モデルが参入し、トヨタは大きく出遅れることに
| 乗降時には車高が下がって乗降を助ける「尊貴上下儀式」オプションも | もはやトヨタがこの分野で存在感を発揮することは難しいだろう さて、現在スマート、ロータス、ボルボなどを傘下に収める中国の吉利汽 ...
続きを見る
-
このカッコいいEVが367万円!中国からZeekr Xが衝撃プライスで登場、親会社はロータスやボルボ、スマートを傘下に収める吉利汽車
| テスラはもちろん、BYD、ヒョンデもかなわないほどの(EVとしての)価格性能比を持つようだ | おそらく中国や欧州では「テスラキラー」として大きな人気を博することになるだろう さて、今年2月にその ...
続きを見る
-
回転式はもう古い?中国Zeekrが「左右にスライド可能、助手席にも移動できる」センターモニターを導入。まるでSF映画のようだ
| これからの自動車のトレンドは「中国発」となるのかもしれない | 一部の中国自動車メーカーは非常に高いオリジナリティを誇っている さて、現在ぼくがもっとも注目している中国の自動車ブランドといえばZe ...
続きを見る
参照:Wheelsboy