| 元サーブ親会社からのバックアップを得て大きくステップアップ |
ブガッティ・シロン・スーパースポーツ300+に対抗するスーパースポーツを発表すると見られていたケーニグセグですが、なんと驚きの「4人乗り」となるジェメラ(Gemera)を発表。
ただしそこはケーニグセグだけあって、並み居るスーパースポーツを凌駕する「1700馬力」を誇り、ケーニグセグCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏はこのジェメラにつき、”まったく新しいカテゴリのクルマであり、我々はこれをメガGTと呼ぶ”とコメントしています。
エンジンはなんと3気筒
さらに同氏は「ジェメイラは、広々としたインテリア、高い環境対応性能を持つ」とも語っており、それを実現するのは「2リッターガソリンエンジンと、3モーターハイブリッド」というシステム。
コンパクトなエンジンをリアに押しやり、バッテリーをフロアに、モーターをリアに2つ、そしてエンジンに1つ組み込むという構造を持ちますが、ケーニグセグはこれをTFG=タイニー・フレンドリー・ジャイアントと呼んでおり、さしづめ「小さな巨人」といったところかもしれません。
ちなみにガソリンエンジンそのものは600馬力を発生し、残る1100馬力はエレクトリックモーターが担当。
ケーニグセグのバッテリー技術は非常に高く、ケーニグセグはハイブリッドカーの「レゲーラ」においても、本来はモーターだけでも十分な走行性能を得られるが、「サウンド」のためにガソリンエンジンを積んだ、ともコメントしていますね。
車体のデザイン自体はケーニグセグらしい「ラップアラウンドウインドウ」そして「ヘルメットルーフ」、さらにはセンターワイパーを持っていることがわかります。
ただ、その印象は他モデルのように「過激」ではなく、むしろエレガント。
このあたり、ケーニグセグはモデル間にて統一された雰囲気を出しながらも、そのモデルにマッチしたデザインを選択しているということがわかりますね。
ホイールベースは3メートルと相当に長く、そのホイールベースのほとんどを「ドアが占める」という特殊なデザインを持っています。
排気は上方から。
これによってリアエンドのデザインの自由度が増したものと思われます。
搭載されるエンジンはケーニグセグ得意の”カムシャフトレス”フリーバルブ機構を持つ3気筒。
これだけでも600馬力、そして600Nmのトルクを発生するというのは驚きです。
ちなみに燃料はガソリンのほかエタノールも使用可能。
パフォーマンスとしては0-100lm/h加速なんと1.9秒、そして最高速度は400km/h。
この1.9秒というのは、1900馬力を誇るピニンファリーナ・バッティスタ、リマックC_Two、2000馬力を標榜するテスラ・ロードスターと同等です(ただしいずれも未発売)。
エレクトリックモーターのみでも300km/hまでの加速が可能だそうですが、EVモードでの走行距離は50kmにとどまる、とのこと。
そしてドアの開き方も「やっぱりケーニグセグ」。
この大きさのドアを動かすには相当にパワフルなモーターが必要なのかもしれません。
このドアの高さを見るに、掘り込みガレージにこのクルマを収めるのは難しそう。
オフィシャルフォトに採用される車両のボディカラーは都会的なグレー、そしてブレーキキャリパーやホイールのセンターロックナット、ドアの「Gemera」文字、インテリアにはオレンジ。
なかなかに刺激的なカラーリングを持っていますが、これにはケーニグセグに新しく参加したデザイナー、サシャ・セリパノフ氏が貢献しているのでは、とも考えています(ブガッティ・シロンや、ランボルギーニ・ウラカンのデザイナー)。
ケーニグセグ・ジェメイラのインテリアはこうなっている
そしてこちらはケーニグセグ・ジェメイラの内装。
かなり余裕のある4シーターといった印象ですが、シンプルなダッシュボード、そして薄いシートバックによって空間を確保しているようですね。
ドライブシャフトを持つためにセンタートンネルが存在しますが、ここには収納スペース、カップホルダーやモニターを効率よく配置。
カップホルダーは見たところ前席に4つ、後席に4つ。
つまり乗員の数よりも多いということになりますが、これは最近のスーパーカー/ハイパーカーでは珍しいことではなく、たとえばマクラーレンGTは乗員2名に対して3つのカップホルダーが設けられています。
ダッシュボードには大きなモニター、左右にはドアミラー代わりのカメラが捉えた映像を映し出すモニター。
ワイヤレススマートフォンチャージャー、Wi-Fi、11スピーカーオーディオシステムを備え、アップルカープレイにも対応します。
ダッシュボードやステアリングホイール、シートにはカーボンファイバーがふんだんに使用されていることもわかります。
このジェメイラの価格について正式発表はなく、ただし1億1000万円程度だと見られていて、となるとケーニグセグとしては、そして1700馬力のメガカーとしては「格安」。
これが売れるようであれば、ランボルギーニやブガッティは、「凍結した4ドアサルーン計画」を解凍すべく再考を迫られるのかもしれません。
なお、ケーニグセグはちょうど1年ほど前に、サーブの元親会社であるNEVSとパートナーシップ契約を結んで新会社を設立済み。
この意図としては、ケーニグセグ本体だけだと生産設備やスタッフが足りず、開発や生産を思ったように進めることができないため、NEVSのリソースを活用してそれらを推し進める、というもの。
今回のジェメイラについてはこの提携の成果「第一弾」だと思われますが、今後も第二弾、第三弾が登場する可能性もありそうですね。
VIA:Koenigsegg , Supercar Blondie