「 ドイツメーカーは開発中の新型車を走らせているが、我々トヨタが今走らせているのは販売の終わったスープラだ」
Sankeibizにて、新型トヨタGRスープラ復活の舞台裏を紹介する記事が掲載に。
東京オートサロンでは、新型トヨタGRスープラが「Gazoo Racing」名義にてニュルブルクリンク24時間に参戦するということが発表されたそうですが、新型スープラは「Gazoo Racing」の手がけた初のクルマ。
Gazoo Racingそのものは「社内プロジェクト」だと紹介され、「道が人を鍛え、クルマを鍛える」をモットーとしている、とのこと。
きっかけはトヨタの前マスタードライバーの悔しさをにじませた発言
そして新型スープラですが、その開発が始まったのは既報の通り2012年。
新型GRスープラの開発責任者である多田哲哉氏が「明日ミュンヘンに行け」といきなりトヨタ本社から指示を受け、そこでBMWへ向かった、という例の話から始まっています。
なお、トヨタがBMWを提携の相手として選んだのは「直6エンジンを持っているから」で、というのもスープラも代々直6エンジンがそのアイデンティティのひとつであり、その時点でBMW以外はこのエンジンを持っていなかったためだと語られています(今ではメルセデス・ベンツも直6を復活させた)。
そして記事によると、新型スープラの復活をもっとも望んだのは豊田章男社長であったとのこと。
豊田章男社長は新型スープラのマスタードライバー(テストドライバーのトップ)であるということがスープラ発表時にアナウンスされていましたが、トヨタのマスタードライバーを務めていた(事故によって殉職)成瀬弘氏が豊田章男氏に対して「ドイツメーカーを見てみろ。開発中の新型車でニュルのサーキットを走っているだろ。それに引き換え、トヨタは既に生産が終わったスープラだ。
いつかニュルで開発中のマシンを走らせたいなぁ」とつぶやいたことがあまりにも悔しく、そこでスープラ復活を心に誓った、とのこと。
なお、この成瀬弘氏という人物は、豊田章男社長に対して物怖じしない人であったようで、 「運転のことも分からない人に、クルマのことをああだこうだと言われたくない。月に一度でもいい。もしその気があるなら、俺が運転を教えるよ」と言い放ったそう。
そして新型スープラについては、その成瀬氏の最後の弟子であるベルギー人の開発ドライバーがそのセッティングを完成させたとのことですが、この作業にも豊田章男社長が関わったようですね。
そして豊田章男社長は、新型スープラでニュルブルクリンクを走った際にこう呟いていますが、そのときの心境は本人でないとわからないのかもしれません。
「 成瀬さん、とうとう新型スープラでニュルに来ましたよ 」。