| こういった前例ができてしまうと今後の価格も上がらざるを得ない |
1970年製のS30型日産フェアレディZ(北米ではダットサン240Z)がなんと1400万円で落札。
これまでもフェアレディZは非常に人気の高いクルマではありましたが、この1400万円という金額は異例中の異例です。
なんか特別なZなの?と思ったりしますが、とくに「希少」なクルマではなく、特別なのはその「経歴」。
節目において重要な役割を果たしたフェアレディZ
今回、競売形式で販売されたのは自動車売買サイト「Bring A Trailer」上で、出品時の説明によると「1990年代にレストアを実施し、オリジナルカラーでもあるオレンジに再塗装され、ニューヨークにあるホイットニー美術館にされたほか、フェアレディZの生みの親である片山豊氏が1998年に米国自動車殿堂入りする際にも同伴した」個体だそう。
さらにはコレクター向けのグッズを販売するフランクリン・ミント(Franklin Mint)が製作した(同じシャシーナンバーを持つ)ミニカーのベースにもなった、と紹介されています。
走行距離は53,108キロとのことですが、レストア後の走行距離は不明。
ただ、どこからどう見ても「53000キロ走った」クルマには見えないほどの美しさを持っていますね。
ラゲッジルームの美しさも完璧で、レザレット製のストラットカバーも破れなし。
エンジンは2.4リッター直6、出力は151馬力。
エンジン本体はもちろん、エンジンルーム内も新車並みのコンディションですね。
インテリアもやはり新車並みコンディション。
ダッシュボードにもひび割れはなく、ウッド製のステアリングホイール、シフトレバーもクラックなし。
フェアレディZは1969年に登場しており、今年で50周年を迎えるクルマ。
つい最近も50周年記念モデルが登場したところ。
4代目のZ32が販売終了となった後、フェアレディZはいったんそのライフが途切れますが、カルロス・ゴーン氏が日産CEOに就任した後、ファンからのフェアレディZ復活要望を受け、GT-Rとともにそのラインナップに再度加わることに。
それまでフェアレディZ、GT-Rは継続して販売が減少しており、合理的に考えると「日産にとってのお荷物」。
よって販売終了となっても仕方がない車種ではあったものの、カルロス・ゴーン氏は「ファンから作ってくれと言われるクルマを持つのは容易なことではない」とし、ツルのひとことでこれらを復活させているわけですね。
復活後も「採算が取れている」とは言いがたいと思いますが、それでもこれらがなければ日産のスポーツイメージは「ゼロ」で、ブランドイメージ的にはほかのどの車種よりも日産に貢献しているのかもしれません(利益を抜きにしてもスポーツカーをラインアップする意義がある、というひとつの例)。