｜ やはりクルマはイジってナンボ ｜
HKSが7月4日から開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて「HKSトヨタ・スープラ・ドリフトカー」を公開する、と発表。
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは毎年イギリスにて行われるマニア向けのカーイベントですが、驚くべきは、このイベントは「デューク・リッチモンド公爵が、自分の敷地で開催する」ということ。
完全に趣味が高じたという例ですが、毎年その規模が拡大して数十万人規模のイベントとなっています。
トヨタは2年連続でスープラを持ち込むことに
なお、昨年のグッドウッドではトヨタが自ら「A90スープラ」を公開していて、今年はこのHKSトヨタ・スープラ・ドリフトカーが登場するということに。
ただしこのクルマについてはトヨタ（というよりはGazoo Racing）が全面的にバックアップを行っているようです。
トヨタはスープラのデビュー前から「スープラには改造の余地があること」「チューナー大歓迎」という意向を示しており、先日も斎藤太吾選手およびそのチームとのタイアップにてドリフトマシンを披露したばかり。
そして斎藤太吾選手のマシン、今回のHKSスープラ・ドリフトカーともに「ドリフト」がメインのキーワードとなり、つまりトヨタは「スープラ＝ドリフト」という図式を成立させたいとも考えられ、それは走り屋に訴求するためなのかもしれません。
なお、トヨタはこんな感じで「ここが改造できる」ということも紹介していますね。
エンジンを2JZ-GTEへ換装、そしてHKSお得意のビッグタービン
そして今回のHKS製トヨタ・スープラ・ドリフトカーの目玉は「2JZ-GTEエンジンへの換装」。
つまり先代である80スープラに積まれるエンジンを90スープラに載せたということになりますが、これもまた「トヨタが推奨しているモディファイ」のようにも感じられますね。
なお、非常にポテンシャルが高いと言われるBMW製のB58エンジンではなく2JZ-GTEエンジンを搭載する理由としては、2JZ-GTEのほうがチューニングのノウハウやパーツが豊富であること、そしてB58エンジンのチューンをBMWが快く思わないであろうこと、があるのかも。
2JZ-GTEに組み合わせられるタービンはHKS製のGTIII-4Rで、これによって出力は690馬力へ。
エンジンスワップやチューニング、サスペンションのセッティング含めて全面的にHKSが担当しており、ワイドボディやリアウイング含めて悪魔的な外観にまで変貌を遂げています。
HKSは日本のチューニングにおける第一人者
なお、HKSは古くから（1973年創業）日本のチューニング業界を盛り上げてきたといっても良く、とくに1990年代に入ってからはR32 GT-Rはじめターボチューンでその名を世界に轟かせることに。
過去にはなんどか不祥事を起こしているものの、その実力は間違いなく、こうやってトヨタが起用するのも納得です（HKSは、過去に600馬力を発生する日産GT-Rのコンプリートカーを製作したこともある）。
チューニングというビジネスはR32 GT-R登場後にようやく単独として成立するようになったと言われるものの（それまでクルマをカスタムするのはごく一部の人々だった）、しかし現在のクルマはイジる必要もなく、またイジりにくくなっているのでチューニング業界は縮小しており、しかし今回のスープラの登場によって大きく流れが変わるのかもしれませんね。
そのクルマが人気が出るかどうかは「オーナーがいかに愛情を注げるか」にかかっているとぼくは考えていて、「改造しなくてもいい」ほどの高いポテンシャルを持つのはもちろんですが、改造したくなるような魅力、改造しようと思ったときにカスタム/チューニングパーツが多数揃うことも「人気」の条件だと考えています。
この意味において、新型スープラは「人気化する要素を（価格以外で）すべて持っていると考えてよく、供給の問題はあるものの大きなヒットになりそうですね。
なお、HKSは市販用のスープラ向けチューニングパーツの開発にも取り組んでおり、こちらも発表が待たれるところ。
