| ときどき、こういった車両がたまらなく欲しくなる |
軍用メルセデス・ベンツGクラスのカスタムカーが公開に。
これはエクスペディション・モーター・カンパニーが公開したもので、1992年製のGクラス(250GD)をベースにレストモッド(レストア+カスタム)しています。
なお、メルセデス・ベンツGクラスのルーツはもともとが「軍用」。
NATO軍に採用されていた「ゲレンデヴァーゲン」をメルセデス・ベンツ・ゲレンデヴァーゲンとして1979年に民生用として発売したのが源流となります。
ちなみに製造しているのはオーストリアのマグナ・シュタイヤー(マグナ・シュタイア)で、これは新型トヨタGRスープラを製造しているのと同じ工場(ここは多くの自動車メーカーから開発や生産を請け負っている)。
マグナ・シュタイヤーのルーツは銃器工場
マグナ・シュタイヤーのルーツはかなりややしく、モトをたどると1864年にヨーゼフ・ヴェアンドルが1864年に設立した銃器工場がその発祥のようで、1926年にシュタイヤー・ヴェアク、1934年にはシュタイヤー・ダイムラー・プフと組織が変更され、この際に「ダイムラー」の資本が入ったものだと思われます。
参考までに、映画「ブレードランナー」でデッカードが使用した拳銃、通称「デッカードブラスター」はシュタイヤー・ダイムラー・プフの製造となっていますが、これは劇中でそういった設定だったわけではなく、映画の小道具担当がロサンゼルスの銃砲店で入手してきた「ベースモデル」がシュタイヤー・ダイムラー・プフ製であったためだと考えられます。↓銃身にSTYER-DYMLER-PUCHの刻印がある
話がそれましたが、その後会社は吸収合併を繰り返して巨大化し、カナダのマグナ・インターナショナルに買収された際に「マグナ・シュタイヤー」となった模様。
そんなわけでシュタイヤー・ダイムラー・プフで開発され、製造されているのがメルセデス・ベンツ・ゲレンデヴァーゲン、のちのGクラス(改名によってGクラスとなったもので、別モデルやモデルチェンジ版ではない)。
今に至るまでモデルチェンジを行わず(2018年に登場した”新型”Gクラスはフェイスリフト扱い)、38年も販売され続けているという異例中の異例モデルだと言えますね。
カスタムに要したのは延べ1000時間
そして今回の「モハーヴェ・シルバー」にペイントされたGクラスですが、この車両はいったん車体を完全分解し、そこからレストアを行いつつ組み上げたもの。
エンジン、トランスミッション、アクする(車軸)、デフ、ブレーキ等は新品へと置き換えられ、事実上の新車ということになりそうです。
さらにはウォーターポンプなどの補機類は「アップグレード」されている、とのこと。
そして「アップグレード」は機械的な部分のみにとどまらず内外装にも及んでおり、LEDヘッドライト、グリルやバンパーなどはオリジナルデザインに。
ボディカラーの「モハーヴェ・シルバー」はマット仕上げのメタリックグレーのようですが、ホイールやモール、バンパー類はブラック、インテリアはブラウン。
わかりにくいものの、ホイールにはレッドの細いラインが入っているようです。
テールランプも「LED」採用の最新デザインに。
ルーフは「キャンバス」で取り外しも可能。
ヘビーデューティーなシュノーケルつき。
フロントアンダーにはロックガード。
リアのジェリカンがなんともナイス。
ホロはレトロな固定方法を採用しており、エレガントな雰囲気すら感じられますね。
サイドを巻き上げるとこう。
インテリアはシンプル&ゴージャス
インテリアは当時の仕様に倣い非常にシンプルで、しかし使用される素材にこだわることで上質さが感じられる仕上がりに。
レザーのほか、ウッドも使用されていますね。
ステアリングホイールはシボのあるレザーで巻かれ、ステッチにはブラウンが採用。
LED照明も内蔵。
フロアの一部はウッド。
耐水性を考慮したものだと思われますが、レザーも「ウォータープルーフ」なのかもしれません。
なお、金属部分はサンドブラストっぽいザラついた仕上げを持ち、高級感が感じられるとともに耐スクラッチ性も向上させているものと思われます。
なお、仕上げを見ても分かる通り、この車両の価格は当然安くはなく、販売価格は約1000万円~(仕様によって価格が異なる)だそう。
ほかにもクラシックGクラスのカスタムが存在
そしてこのエクスペディション・モーター・カンパニー以外にもクラシックGクラスのカスタムを手掛ける会社がいくつか。
意外ですが、(イカツいカスタムベンツで知られる)ロリンザーがこういったGクラスのカスタムを披露したことも。※こちらは500万円くらい
レガシー・オーバーランド(ディフェンダーのカスタムも得意)からはやはり軍用メルセデス・ベンツGクラスをカスタムした車両が登場しています。