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ポルシェ911GT3 RSのリザードグリーンはこうやって開発された!「ニューモデルのボディカラーは先代モデルと似たものであってはならない」

2020/05/19

| ポルシェはボディカラーに特段のこだわりがあるようだ | 

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さて、ここ最近ポルシェが推しているのが「グリーン」。

現在ラインアップされているのは991世代の後期型911GT3 RSとともに登場した「リザードグリーン」ですが、ポルシェによれば、このカラーは911GT3 RSのために調合された特別な色だそう。

この色の開発に携わったのは、ポルシェにおいてニューモデルや派生モデルのカラー開発を手掛けるバーバラ・ジカさんとダニエラ・ミロセビッチさん。

この二人いわく、「911GT3RSのスペックはポルシェにおけるトップレベルであり、ボディカラーも同等レベルでなくてはならない」。

加えて女性らしい観点にて、「ボディカラーは人間に例えるならばドレスのようなもの」と表現し、そのクルマの特徴を理想的に演出する役割を持っている、とも述べています。

目立ってこそのスポーツカー

このリザードグリーンは(おそらくはバイパーグリーンに比較して)黄色が少し入っているそうですが、「非常に外交的な色であり、スポーツ性や俊敏性、そして優れた操車性を表現しており、リザードグリーンは911GT3RSを象徴するボディカラー」と表現。

ただ、グリーンは好みが極端に分かれる色であることも十分に承知しており、多くの人が選ぶ色ではないということも挙げ、「しかし目立ってこそのスポーツカー」だとも続けています。

さらにリザードグリーンはコミュニケーションカラーであり、これは”特定のモデルを宣伝していくためにいつも使われるカラー、すなわちその車種を代表する色”で、つまり911GT3RSのプロモーション期間中を通じて使用される”イメージカラー”。

そして好みが分かれることは問題ではなく、多くの人に気に入られるかどうかよりも「比類ないポルシェの世界観を強調すること」「人々の目に焼き付けること」のほうが重要だと捉え、このカラーを採用したようですね。

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ポルシェの塗料は高い品質的用件を満たしている

なお、ポルシェのボディカラー開発にはかなり時間がかかるそうで、これは耐候性試験を含む様々な試験をクリアする必要があるため。

つまり天候によって色あせたりしないかどうかということですが、新しいボディカラーは、金属板に塗られた上で24ヶ月太陽光にさらされる、とのこと。

たしかにポルシェの塗料は非常に強く、古い空冷モデルであっても「色あせたり、剥離したり」といったことがほぼ無いように思われます(一般に、赤みの強い色は紫外線に弱く、よく褪色したり、白っぽくなったり、光沢が無くなっているクルマを見ることがあるが、ポルシェにはそれがない)。

そのほかはホイールクリーナーやケミカル、塩水、ポルシェならではの問題として「飛び石」にも耐えうるものでなくてはならないとしており、これに長い時間(数年単位)が必要になる、とのこと。

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ポルシェのボディカラー開発プロセスは3段階

ポルシェのボディカラー開発プロセスは3段階あり、ひとつは「その車両の歴史を振り返る」。

過去を知らねば未来は創造できないとしており、そのモデルごとのコミュニケーションカラー(イメージカラー)を、そのモデル誕生時から全て分析するのだそう。

その上で”現行モデルの色は先代モデルと似たものであってはならない”としています。

そして二段階目のプロセスは、カラーデザイナーが固めたアイデアを販売部門と協議し、その車両の特徴に合致するのはどんな色なのか、そして現在開発中のモデルが市場に出る数年後にはどんな色が流行っているのかを予測する、とのこと。

なお、参考としているのは「家具業界」で、なぜなら家具業界はずっと前から色調の研究開発を行っているため、と述べています。

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そして最後の段階では、アイデアをどんどん絞ってゆき、そこにメタリックやパールを加えて「表情」をつけ、実際に金属板にペイントしたカラーサンプルをもって、製造部門や技術開発、デザイン、販売、マーケティング部門からよりすぐったチーム内で検討し、技術的な可能性、さらにはインテリアとのマッチングについても話し合ってゆくようですね。

たしかにポルシェのインテリアは、外装色に合わせたメーターやシートベルトが選べる他、様々なカラーのレザーが用意され、かつパネルの素材もウッドやカーボン、アルミニウムと多岐にわたるため、それらとマッチする必要があるのだと思われます。

どんなカラーが流行るのかは予想できない

ただ、ポルシェは「どんな色が、なぜ流行るのかは予測が難しい」とも語っており、加えて「流行にはサイクルがある」とも。

たとえば991世代の前期型911GT3RSに用意されたラバオレンジは中国でなぜか爆発的にヒットし、中国内での人気カラー「ベスト3」に入るほどに(他の国ではそこまで人気はないと思う)。

そしてホワイトは1970年代に人気化し、2000年には「タブー」、そして2010年代に再び人気化したとのことですが、この数年で中国での販売が極端に伸びたため、ポルシェ全体における人気カラー比率も大きく変わってきたのかもしれません。

なお、下の画像は上述のカラーデザイナーたちが「お気に入り」として挙げるボディカラーで、左上から「シグナルイエロー(911 S 2.7 クーペ/1972年)」、右上「スタールビー(911 カレラ RS 3.6 クーペ/1992年)」、左下「ブラッドオレンジ(911 S 2.4 クーペ/1972年)」、右下「バイパーグリーン(911 T 2.4 クーペ/1972年)」。

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ぼく個人に限っていうと、1990年代のポルシェに採用されていたカラーがけっこうお気に入りで、スタールビー、スピードイエロー、リビエラブルーあたりが強く記憶に残ります。

VIA:Porsche

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