| ここまでテスラCEOが他社経営陣と接近した例は他にない |
さて、先日はテスラCEO、イーロン・マスク氏がドイツを訪れ、フォルクスワーゲン会長であるハーバート・ディエス氏と仲良くVW ID.3に試乗して談笑する様子が(VW会長個人のSNSに)投稿されていますが、その後ハーバート・ディエス会長がテスラ・モデルYにフォルクスワーゲン社員と一緒に試乗したことを明かしつつ、「モデルYは驚くべき性能を持っており、我々にとっては規範となるべきクルマである」と追加で投稿。
むしろぼくにとってはこの投稿の方が驚きですが、ここまでお互いのクルマを褒めている様子を見ると、世間で言われるように「テスラとフォルクスワーゲンとの提携もあるんじゃないか」と考えてしまいますよね。
フォルクスワーゲン会長はモデルYのこんなところに驚いた
そして「驚いた」内容や、規範とすべき内容はユーザーエクスペリエンス、アップデートの容易さ、運転に関する機能、そしてトップレンジにおいてはそのパフォーマンス。
加えて充電インフラ、航続可能距離についてもテスラ・モデルYはアドバンテージを持っているとしており、さらにプラットフォームについても「テスラはEV専用設計だが、多くのEVはガソリンエンジン車と共用の車体を持っており、よってベストなEVとは言えない」とコメント。
たしかにマツダMX-30、ミニクーパーS E、トヨタが中国で販売するいくつかの電気自動車などはガソリンエンジン搭載を前提に設計されているものも多く、設計や製造に関して「無駄」があるのかもしれません。※そのぶんコストを下げることができているとも考えられる
他社がテスラに追いつけない理由とは
なお、サイバートラックが発表された際には、テスラとは無関係のエンジニアが「サイバートラックのコストは、同クラスにてガソリンエンジンを積むフォードF-150の1/7」という見解を出し、イーロン・マスクCEOがそれに対して「だいたい合ってる」とコメントしたことも。
さらにテスラは直販体制を取っているので流通網にも無駄がなく、サービス体制についても極力無駄を廃しているため、製造だけではなく販売コストも非常に安い、と考えられます。
加えて開発にかかるコストも(車種が少なく共通パーツが多く、そしてEVしか作っていない会社なので無駄が少ない)既存の自動車メーカーより少ないものと思われ、後発の利点を十分に生かしたのがテスラだと言えそう。
フォルクスワーゲンも今後はEV業界にて地位の確保を図るが
ただ、フォルクスワーゲンとて黙ってはおらず、IDシリーズではEV専用のスケートボード型プラットフォームを採用してスケールメリットを出しており、さらには他社にもシャシーを供給する意思を見せ、つまりは大量に生産することでコストを引き下げようということなのだと思われます。
なお、フォルクスワーゲングループの採用する「スケートボード型シャシー」や「予約販売」そのものもテスラが先鞭をつけたものであり、それを考えると、フォルクスワーゲンが「テスラは規範」と述べるのは今に始まったことではなく、ずっと前からだったのかもしれません(理詰めにて考えると、EVはスケートボード型シャシーになるというのも間違いないとは思いますが)。