| バカラルの仕上げはほぼ手作業、750個ものパーツが専用に設計・製造される |
さて、ベントレーが1台2億2000万円の限定モデル、「バカラル」の納車に先駆け、その試作車を公開。
これは「カーゼロ」と命名された個体ですが、ベントレーは1920年代の「ブロワー」を復刻するためのプロトタイプにも「カーゼロ」の名を与えているので、これからのベントレーにおいて、試作車もしくはプリプロダクションモデルに「カーゼロ」という名称が与えられるのが通例となるのかもしれません。
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ベントレー・バカラルはこんなクルマ
ベントレー・バカラルはちょうど1年前に発表された、わずか12台のみの限定モデル。
コンチネンタルGTをベースとし、ベントレーのパーソナリゼーション部門「マリナー」が生産を担当する、とアナウンスされています。
そのルックスは先にベントレーが発表したコンセプトカー、「EXP100GT」に近く、現行のベントレーとは大きく異るルックスを持っているようですね。
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なお、「マリナー」とはベントレーのカスタム車両生産部門であり、ベントレーの企画、もしくは顧客の要望に応じた特別仕様車の製作を主な業務としますが、もとはというと1559年に創業した馬具メーカー。
その後、交通手段の主役が馬からクルマに変わってゆくにあたりコーチビルダーへとその性質を変化させてゆき、1923年の英国国際モーターショー出展用車両として、ベントレー初となる2シーターモデルの製作を担当したのが(マリナーと)ベントレーとのなれそめ。
そしてこのバカラルも2シーターであり、「(現)マリナー初の」市販車は、1923年に作られた2シーターモデルへと回帰したものだと言えそうです。※バカラルとは、美しい海で知られるメキシコのリゾート地
マリナーはベントレー傘下に収まった後、現在では3つの事業を担当しており、ひとつは現行モデルのスペシャルペイントや内装のカスタムを行う「マリナー・コレクションズ」、もうひとつは現在ブロワーを製造している「クラシック」、そして最後はバカラルのような少量生産モデルを製造する「コーチビルド」という構成です。
ベントレー・バカラル12台はすでに完売済み
限定台数の12台はすでに完売済みで、その人気の高さが伺えますが、なぜかベントレーはこれまでにこういった「少量生産、そして”億”のプライスタグを掲げる」モデルをリリースしておらず、ここはアストンマーティンやフェラーリ、ランボルギーニ等に遅れを取っていた部分ですね。
ただ、ブロワー、そして今回のバカラルといった具合に、最近になって急激に特別モデルの展開をはじめているので、これからも同様の特別モデルの発売が期待できるのかもしれません。
ベントレー・バカラルは何が特別なのか
なお、バカラルはベースとなるコンチネンタルGTCコンバーチブルの7倍以上の価格ではあるものの、今回その「理由」についても公開。
ベントレーによると、750個ものパーツがバカラルのため新規に設計・製造されているそうですが、その多くは「2シーター化」のためだと言えそう。
ベントレーが最初に2シーターを製造したのは上述のとおり1923年代で、しかしその後ずっと2シーターを製造しておらず、よってバカラルのために多くを新設計したということになりますね。
一方、インテリアも多くが変更され、フラットボトム形状を持つステアリングホイール、ポルシェのRSモデル風のドアオープナー(プルタブ)など、レーシーな印象も。
さらにメーター内に表示されるグラフィック、非レザー素材なども通常のラインアップとは異なる「バカラル専用」。
なお、ダッシュボードに使用されるウッドはイングランド東部にて5000年もの間保存してきたリバーウッドだとアナウンスされています(ベントレーはこういった歴史のある素材や、かつてのレーシングカーから外した部品を再利用することを好む)。
ベントレーによると、驚くべきことに「ホイール1本をペイントするのに要するのは1週間」。
仕上げにはサテン、ポリッシュ、グロスがあるそうですが、そこには想像を絶する手間がかけられていることも推測できます。
ベントレー・バカラルはそれぞれが異なる仕様を持つ
そしてベントレー・バカラルの価値を高めているのは、2台として同じ仕様を持つクルマが存在しないこと。
オーダーした12人と慎重に協議を重ねてボディカラーの重複を避け、よってイメージカラーの「フレームイエロー」をオーダーできたのもわずか一人のみ。
なお、パワートレーンはコンチネンタルGTスピードに積まれるのと同じ626馬力のW12ツインターボ(2億2000万円もするので、ちょっとだけでも馬力を上げてほしかった・・・)。
ただし車体重量は30kgのダイエットに成功し、0-60マイル(96km/h)加速は3.5秒へと向上しています。
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参照:Bentley