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さて、ちょっと衝撃のニュースではありますが、もとフェラーリCEO、アメデオ・フェリーザ氏が、紅旗(ホンチー)S9を開発製造するイタリアと中国との合弁企業、シルクFAWのエグゼクティブ・チェアマンおよびシニアアドバイザリーボードメンバー、さらに特別顧問として迎えられることに。
中国・紅旗は御存知の通り「中国の最上位自動車ブランド(完了御用達)」ですが、2019年には国家の威信をかけたハイパーカー「S9」を発表しています。
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しかし紅旗は単独ではこれを成し得ないと考えたのだと思われ、2021年2月にはイタリアはエミリア・ロマーニャ地方にて、現地のコーチビルダー「シルクEV社」との合弁という形で「シルクFAWオートモーティブ」を設立すると電撃発表。
創業は「スーパーカーの聖地」
なお、このエミリア・ロマーニャ地方はスーパーカーにとっての「聖地」であり、フェラーリとランボルギーニ、さらにはマセラティやパガーニの本社があり、「デ・トマソ・パンテーラ」を蘇らせたアレス・デザインもこの地に拠点を構えています。
そしてこの地で会社を興すことのメリットは、「スーパーカー製造・設計を経験した人材を確保しやすい」「スーパーカーメーカーへのサプライヤーが多いので、パーツやコンポーネントを調達しやすい」。
逆に考えれば「新しくスーパーカーを作るのであれば、エミリア・ロマーニャに拠点を構えるのが最善の選択」ということにもなりますね。
なお、シルクFAWの「FAW」のほうは中国の第一汽車(First Automobile Works=FAW)を指していますが、FAWは紅旗ブランドの親元そして中国の国営企業でもあります。
参考までに、イタリアは中国の掲げる新シルクロード計画、一帯一路に最初に署名した国だとされ、そのため中国から多額の投資を受けているともいわれるので、この「シルクFAW」は中国政府も絡んだプロジェクトだと考えて良いのかもしれません。
シルクFAWオートモーティブは中枢をスーパーカーメーカー出身者で固める
そのシルクFAWについて、設立時にワルター・デ・シルヴァ氏をスタイリング・デザイン担当副社長として迎え入れたと発表したばかり。
同氏はアルファロメオでは156、フォルクスワーゲングループだとアウディR8、フォルクスワーゲン・シロッコ等を手掛け、その後にVWグループのデザインを統括する立場へと昇進したほか、ランボルギーニにおいては「ミウラ・コンセプト」、そして「エゴイスタ」をデザインしています。
そして今回の「元フェラーリ」アメデオ・フェリーザ氏について、「26年のフェラーリでの経験を活かしながら「グローバル戦略に関与し、会社のビジネスプラン実行に関するすべての要素を監督する」とアナウンスされており、今後の紅旗S9開発・製造のみではなく、この(世界中への)輸出、さらには他社からのハイパーカー製造請負にも乗り出すことになりそうです。
加えて、現段階では紅旗S9は「プラグインハイブリッド」ではあるものの、もともとの2019年の計画のとおり「ピュアEV」版も発売する可能性もあるのでは、と考えています。
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紅旗S9を紹介する動画はこちら
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参照:Silk-FAW Automotive