| ブガッティ・リマックではなにか「とんでもない」クルマが発売される可能性がありそうだ |
リマックはテスラとともに「ソフトウエア開発会社」型の考え方をする企業だと言える
さて、リマックばブガッティを事実上の配下に置き新会社「ブガッティ・リマック」を設立することになりますが、その新会社のCEOに就任するのがリマック創業者、メイト・リマック氏。
現在33歳の同氏は自動車業界において最も若いCEOの一人でもありますが、これまでにもチャレンジの連続によってリマックを成長に導いてきたということもあり、今後も「安全策を取るつもりはない」と明言しています。
なお、この「ブガッティ・リマック」の株式のうち55%はリマックが取得し、45%はポルシェが取得することになりますが、リマックの株式のうち24%はポルシェが所有しているというややこしい状況も。
よってブガッティ・リマックの監査役にはポルシェCEOであるオリバー・ブルーメ氏、そして財務担当役員のルッツ・メシュケ氏が就任する、とも報じられています。
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「私は安全策を取るような人間ではない」
かくしてメイト・リマック氏はフォルクスワーゲングループに関連する会社を経営する「最も若い」CEOとなるわけですが、ロイターのインタビューでは「ステークスはますます大きくなっています。しかし、私は安全策をとるような人間ではありません。決して。絶対にありえない。だから、もし株主や経験豊富な人たちとの間に摩擦が生じるとしたら、それは仕方のないことだと思う」と語っており、リスクを敬遠する役員とは正面からぶつかる覚悟を見せている模様。
メイト・リマック氏と自動車との関わりは、2006年(18歳のとき)に1984年製BMW 323i(E30)を購入し、ローカルレースへと参戦開始したときにまでさかのぼります。
ただしすぐにエンジンが壊れてしまったため、メイト・リマックはは600馬力のエレクトリックモーターを使って最初の競技用EVである「リマックe-M3」を試作しますが、これが彼にとっての最初に手掛けたEV。
なお、初めて作ったEVだけに、当初は思うような成績を残すことはできなかったものの、2010年にはガソリン車に勝るパフォーマンスを発揮するようになり、2011年にはFIAそしてギネス認定の記録を連発することとなっています。
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さらにメイト・リマック氏は「当初、この国(クロアチア)には自動車産業がなかったのだから、自分たちが何をしているのか、まったくわからなかった。しかし今、私たちの技術は多くの自動車に搭載されている」とも。
こういった発言を聞くといかにメイト・リマック氏が(現時点でも)いかに大きな事を成し遂げたのかがわかりますね。
企業には「ギャランティー型」と「ベストエフォート型」がある
なお、ダイヤモンド・オンラインによると、企業には「ギャランティー型」と「ベストエフォート型」があるといい、ギャランティー型は「完全な動作を保証する」企業風土を指し、よってそのサービスや製品はあらゆる状況を想定して設計され、テストを繰り返し、修正に修正を繰り返した後に「万全を期して」世に送り出されることに。
もちろんこれによって製品の信頼性が向上することになりますが、社員としては「失敗を恐れる」ようになって革新的な試みができなくなり、かつ安全を重視するために企業としての速度が遅くなる傾向があるといいます。
一方のベストエフォート型は「動作を保証せず」バグが出て当たり前で、バグが出たら直しながら前に進むという考え方。
自動車境界だとテスラがこのベストエフォート型を採用しているといい、色々と騒がれるバグや故障、品質問題はこれに起因する模様。
ベストエフォート型を採用すれば、常に革新的なアイデアが生まれる可能性があり、失敗を恐れない企業風土が育つともいわれ、これは一般にソフトウエア業界に多いと言われます。
反面、「動作を保証しない」このタイプは自動車業界にはあってはならない考え方ではありますが、イーロン・マスクCEOはあえてリスクを選択し、非難覚悟で企業の成長速度を早めるためにこの方法を採用したということになりますね。
そして、既存自動車メーカーがテスラに追いつくことができないのは、既存自動車メーカーが「ギャランティー型」、テスラが「ベストエフォート型」だからということになり、とくに新歩そして進化の速いエレクトリック分野においては大きな差となって現れる可能性も。
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リマックもやはり新しい時代に誕生した企業であり、「誰もやったことがない」ことを行おうとしているために「ベストエフォート型」を採用しているように思えますが、自動車自体がすでに「走るスマホ」になってしまう将来に向かうにあたり、そもそも「ギャランティー型」を採用するほうが(競争力を低下させるという意味で)リスキーなのかもしれません。
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参照:Reuters, Motor Trend