| 今後、レストモッドは大きく花を開かせるビジネスに? |
欧州車はレストモッドの素材としては事欠くことがない
さて、主にクラシックカーのレストアを手掛けるショップ、ソーンリー・ケルハムが新しくレストアビジネスを開始する、と発表。
このレストアビジネスとは、単なるレストアではなく「レストモッド」を指しており、欧州のクルマをベースとするため「ヨーロッパ」なるシリーズ名が与えられるようですね。
ちなみに同社は2021年11月にランチア・アウレリアのレストモッドを公開しており、このレストモッド「ランチア・アウレリア・アウトロー(後にヨーロピアンCSLエディションと改名)」が非常に高い評価を得たことから新規ビジネスをスタートさせたもよう。
なお、このヨーロピアンCSLエディションの制作には5000時間を要したそうですが、それでも「採算に乗る」ということになり、レストモッドビジネスの今後の可能性も同時に感じさせられるところです。※ブラバスも新規事業としてレストアとレストモッドに参入している
すでに3台のプロジェクトが進行中
なお、ソーンリー・ケルハムによると、すでに3台のプロジェクトが進行しているいい、これらは「廃車となった車両」をレストアする過程にてモディファイを行い、最終的にはコンクールコンディショにまで戻すことを目的としているようですね。
今回の3台については「どのモデル」をベースにするのかが明かされておらず、しかし公開された1枚の画像には(4台ある)ロールスロイスのクーペ、ジャガーXK120、ポルシェ356、ポルシェ911(ナナサンカレラ)ぽいシルエットが示されており、いずれの車種も精緻なデザイン、ディテール、走行性能を兼ね備えており、今後何十年も使えるように生まれ変わるとされ、その価格は25万ポンドから60万ポンド(日本円で約3800万円〜9100万円)になる、とアナウンスされています。
ちなみにこの「ヨーロピアン」とは、1950年のアメリカにて欧州車の輸入販売を行う先駆的存在であったマックス・ホフマンが自社の販売するクルマ(BMW、アルファロメオ、ポルシェなど)に装着していたバッジ「ヨーロピアン」にちなんでいるのだそう。
ソーンリー・ケルハムは「多くのアメリカ人が、マックス・ホフマンによってこれらのブランドに初めて出会い、新鮮でエキサイティングな新しいスポーツカーに触れることになりました。私たちは、この黄金時代を”ヨーロピアン”プログラムで再現し、現代のバイヤーに、新しいもの、美しいもの、洗練されたものを見つけるというスリルを提供したいのです」と語っています。
なぜ現代ではレストモッドが盛んに?
そこで気になるのが「なぜレストモッドが盛んになったのか」ということ。
ほんの数年前まではレストモッドという言葉にすら馴染みがなかったものの、近年ではそれが盛んに叫ばれるようになり、市民権を得たようにも感じます。
その理由としてはいくつかあり、ひとつはシンガー・ヴィークル・デザインの存在だと考えられ、それまではショップレベルの個人的嗜好によるカスタムだとして、「クルマの価値を下げる」として認知されていたレストモッドであっても、芸術レベルにまでその表現方法を高めれば「オリジナルを遥かに超える市場価値を発揮できる」と証明したこと。
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これによってユーザーは「レストモッドをしてもクルマの価値が下がらない、もしくはそれ以上になる」と認識し、カスタムするショップ側は「これは儲かる」と判断したんじゃないかと考えています。
そしてもう一つは「エレクトリック時代への移行」が考えられ、これは同時にガソリン車の終焉を意味しますが、もうガソリン車に乗ることができない、そして今後魅力的なガソリン車が発売されることはないという状況を鑑み、「じゃあ自分の好きなクルマを、好きなようにカスタムしてずっと乗ろう」と考える人が出てきた可能性もありそう。
いずれにせよ、好きなようにカスタムして好きなように乗るというのは自動車の歴史がはじまったその時の姿そのものであり、「一周回って」その原点に戻ったのかもしれませんね。
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