| 今回のロシアによるウクライナ侵攻はあまりに自動車業界への打撃が大きかった |
ロシアへの依存度が高かった自動車メーカーは相当なダメージを受けることに
EU(欧州連合)がロシアへの制裁措置として「5万ユーロ(日本円で約650万円)以上の車両の輸出」を禁止するという措置を発表し、欧州の自動車メーカーは一部で打撃を受けるのでは、という報道。
この措置自体はロシアの高官や富裕層、オリガルヒを直接の対象としたもので、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長によれば「これによって、ウクライナの罪のない人々に爆弾を落とすことを支持している人々は、贅沢なライフスタイルを楽しむことができなくなるはずだ」とコメントしています。
多くのプレミアムカーメーカーが影響を受ける?
なお、今回のロシア・ウクライナ問題については多くの影響が出ており、先日フェラーリとランボルギーニはロシアとの取引を停止すると発表し、ウクライナへの金銭的・人道的支援を発表したばかり。
-
フェラーリがウクライナ情勢を憂慮し「100万ユーロを寄付する」と発表!ランボルギーニも難民への寄付を公表、そして両者ともにロシアでの事業を保留
| ウクライナ情勢は想像していたよりも大きな問題になってきた | おそらく今後は生産や輸送の問題も顕在化することになり、チップ不足に次ぐ悩みのタネとなりそうだ さて、先日開始されたロシアのウクライナ侵 ...
続きを見る
そのほか、ロシアやその周辺に工場を持つ自動車メーカーは操業停止を余儀なくされるなどその影響が拡大しつつある状況ですが、今回の制裁措置によってパガーニ、ケーニグセグといったハイパーカーのほか、マクラーレンやアストンマーティン、ロールスロイス、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW、アルファロメオといったプレミアムカーメーカーなどもロシアへの販売によって得られるはずだった利益を失うということになり、これはけっこうなダメージかもしれません。※パガーニはロシアに太客を持っている
ただ、一方では「もともとチップ不足によって、需要を満たすだけの生産ができなかった」状況ということもあり、ロシアで販売できなくなった分は他の市場に振り分けられるだけの話なので問題はないという見方もあるもよう。
実際のところ、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マイケル・ディーン氏は、「すべてのプレミアム・ブランドの強力な受注残を考えると、ロシアへの輸出の損失は他の市場に振り向けられると予想されます」と述べており、実際は影響がないのかもしれません。
ただし現場では大きな混乱も予想される
ただ、大局を見ると「バックオーダーを解消するいい機会」ではあるものの、現地のインポーターにとっては死活問題であり、当然ながら利益を失うことになるばかりか、顧客からは猛烈な突き上げを食らうことになりそう。
もちろん顧客は注文時にデポジットなりなんらかのお金を支払っているはずなので「納車できなくなった以上」その返却も必要だと思われ(戦争による損害は保証しないという文言が契約書にあるかもしれない)、現場としては大混乱なのかもしれません。
加えて、顧客の指定したスペックにて「すでに」作ってしまったクルマをどうするのかという問題もあり、そういった車両は(戦争が終わり、顧客に引き渡しができるようになるまで)保管しておくのか、それとも受注そのものをなかったことにし、キャンセル車としてどこか別の市場にて販売するのかも。
これについては、「大量生産メーカー」であればまだ影響は小さく、しかしフェラーリやランボルギーニ、ロールスロイスあたりだと処理に苦慮することになり、さらにケーニグセグやパガーニのレベルだと経営に影響が出そうです。
なお、受注済みであってもまだ生産していない車両であれば問題はなく、そのぶんの「生産予定」をほか市場向けに振り分けるだけとなるので、現在「納車待ち」の人にとってははやく順番が回ってくることになりそうですね。
合わせて読みたい、ロシア・ウクライナ関連投稿
-
中国のテスラオーナーが「バグによって」充電料金として7000万円を請求されるという事態が発生!一方ウクライナではテスラが充電器を無料開放し、現地テスラオーナーが車両を「家」として提供
| 災害時においては電気自動車が有用だとは言われるが | テスラオーナー同士の絆も強かった さて、テスラオーナーはテスラ専用の高電圧充電ネットワーク「スーパーチャージャー」を利用できますが、中国のテス ...
続きを見る
-
ウクライナ情勢に関連しポルシェ全モデルの生産が停止するとの報道。なおウクライナはチップの製造に必要なネオンの70%、ロシアは触媒に用いるパラジウムの40%を産出
| 販売のみではなく、確実に自動車産業の生産現場にまでダメージが及びそう | おそらくは自動車以外の家電やゲーム機の生産にも影響が出るのは間違いはない さて、ポルシェ内部にて共有されたメモとされる文書 ...
続きを見る