| 正直、日産としては「かなりコストをかけたクルマ」であり、日産の未来を示唆するクルマだと思う |
この新型エンジン、e-4ORCEは実体験として経験したい
さて、日産がフルモデルチェンジ版となる新型エクストレイルを発表(発売は7月25日、319万8800円~449万9000円)。
新型エクストレイルは4代目となり、海外市場では一部「ローグ」として販売されていますが、初代は「シンプルでタフなアウトドアギア」といった性格が支持されて人気モデルへと成長し、しかし3代目以降はやや高級志向が強まっていて、今回の4代目もその路線上にあるように思います。
実際のところ、日産は初代からのDNAである「タフギア」を継承しつつ新たに「上質さ」を加えたといい(タフギア✕上質)、第2世代の「e-POWER」と「VCターボ」、そして新たに電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載することによってさらに幅広いシーンで楽しめるようになったともコメントしています。
新型日産エクストレイルはこんなクルマ
そこで新型エクストレイルを見てみたいと思いますが、日本市場向けとしては、海外市場には設定がない「e-POWER」が搭載され、さらには「e-4ORCE」が組み合わせられていることも特徴です。
これは新型エクストレイルが日産の電動化戦略を牽引するということを意味しますが、e-POWERとVCターボ(可変圧縮比エンジン。日産が初めて量産化に成功)とが同時に採用されるのは「世界初」。
加えて新しい高剛性プラットフォームの採用によって高い遮音性能を誇ることになり、これによって走りの質が高まった、とも紹介されています。
さらにe-POWER車でははじめてブレーキ協調制御を採用し、これは回生ブレーキに加えて油圧ブレーキを作動させるもので、ストップ&ゴーの多いシーン、長い下り坂などで自然なフィーリングを実現できる、とのこと。
ぼくが注目したいのはやはり「e-4ORCE」ですが、日産によれば「タイヤのグリップを100%使い切る、意のままのコントロール」「減速時において前後モーターの回生料を調整して前後の揺れを最小限に収める」とのことで、これは以前に公開された「e-4ORCE搭載の台座にてラーメンをこぼれないように運ぶ」という動画が証明しているとおり。
ぼくは新しい技術には目がないので、新型エクストレイルに搭載される可変圧縮比エンジン、そしてe-4ORCEについてはぜひとも体感せねばなるまいとも考えており、試乗車が配備されたらぜひ乗ってこようと考えています。
新型エクストレイルのデザインは「ジューク」っぽく変化
新型エクストレイルのデザイン面に目を向けると、そのデザインはジュークっぽくなっていて、丸型ヘッドライトこそ採用されないものの、車体上部にデイタイムランイングランプやウインカーユニット、バンパー側にヘッドライトが内蔵される「スプリット構造」。
これは顔つきをシャープにそして未来的に見せる効果があり、シトロエン、三菱、BMWが採用し、そしてポルシェもこれに追随するとも言われます。
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全体的には高級感と上質さが強調され、「ギアっぽさ」がなくなってしまったのは残念ですが、かわりに「日本の伝統的な切子パターンからインスピレーションを得た」テールランプのインナーレンズなど、これまでにはない意匠も盛り込まれているようですね。
ボディーカラーは、2トーン5種類、モノトーン7色の全12色をラインアップしており、日本市場専用色として初代エクストレイルをイメージしたカーディナルレッドがラインナップされているのはファンにとっては朗報かも。
このほか単色だとダイヤモンドブラック、カスピアンブルー、ステルスグレー、ブリリアントシルバー、ダークメタルグレー、ブリリアントホワイトパールが揃います。
新型日産エクストレイルのインテリアはこうなっている
そして新型エクストレイルのインテリアも「タフさと上質さ」とを同居させたものとなっていて、デザイン上のハイライトはフローティング構造を持つセンターコンソール。
シート素材には、ブラックファブリックのほか、日産の独自開発、かつ初採用となる次世代シート素材「TailorFit(テーラーフィット)」、そしてタン色のナッパレザー、そしてスキーやマリンスポーツなどのアウトドアアクティビティにも対応する頑丈なセルクロスを使用した防水シートの合計4種類が揃い、様々な要望に対応することができるようですね。
ちなみにですが、現在の日産はお金があまりないので、「一車種入魂」の傾向があり、一車種ごとのモデルライフが長く、そしてそれをワールドワイドにて展開し、かつ各セグメントには最小限しか車種を投入しないという傾向があります。
つまり、いかにSUVが流行っているといえど、トヨタのように「ヤリスクロス、ライズ、カローラクロス、RAV4、ハリアー、ランドクルーザー、そしてクラウン」のようにSUVを大量投入せず、日産ではキックス、エクストレイル、アリアのみ。
ミニバンについても同様で、日産ではトヨタと異なってセレナとエルグランドのみ、コンパクトカーではノートとマーチのみ。
よって日産は「数少ないモデル」を大事にすべく、「1車種あたりのコスト」をたっぷりかける傾向があり、コンポーネントについても「全世界、全車種共通で」使い回すことを前提にしているので比較的お金をかけて開発することも。
そういった意味では、この新型エクストレイルは「けっこうお金がかかった」クルマであり、しかしこのコストはこれから他モデルで平準化してゆくためがさほど価格は高く設定されておらず、しかし新機軸がたっぷり盛り込まれたお買い得なクルマなのでは、とも考えています(内装の生地に多様性があるのも、この一台でより多くの需要を拾うことを目的としているからだと考えられる)。