| そもそも、自動運転ができると考えた時点で計画に無理があったとも思えてくる |
そして自動運転無くしては、アップルカーのコンセプトを実現できない
さて、ちょっと前から頻繁に話題が出るようになったアップルカー(もしくはiCar。もちろん電気自動車)ですが、アップルがその発売目標を2025年から2026年に後ろ倒しにしたとの報道。
これはアップルの「関係筋」からの情報だとして伝えられるもので、延期の理由としては、アップルが標榜していた「ハンドルもペダルもない完全自動運転」を実現することは現代の技術では不可能だと判断したからだとされています。
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アップルが求めるのは「レベル5」の自動運転
なお、アップルはこの電気自動車を「プロジェクト・タイタン」として進めていて、すでにフォードやランボルギーニはじめ多くの自動車メーカーから人材を獲得していることが報じられていますが、現在は1,000人程度のメンバーで構成され、その年間コストは10億ドル以上だと見積もられており、つまりはとんでもなくお金がかかっていいる計画です。
そしてその計画の中心にあるのは「ペダルもステアリングホイールもない」完全自動運転車で、クルマが走行中、その乗員は運転以外のことができる、というのがそのコンセプト。
プロジェクトのリーダーはケビン・リンチ氏だとされ、これまでずっと「レベル5」を目指していたものの、いったんは「不可能」という判断を下したということになりそうですね。
参考までに、自動運転に関わる各レベルの定義は以下の通り(国土交通省によるものだが、おおよそ世界で統一化される動きとなっている)。
自動運転レベルの定義
- レベル1:運転支援(自動ブレーキ、先行車追従機能=ACC、車線逸脱防止機能=LKASなど)。ドライバーによる監視が必要
- レベル2:特定状況下での自動運転機能(ACC+LKAS)。ドライバーによる監視が必要
- レベル3:条件付き自動運転(システムが全ての運転タスクを実行するが、ドライバーの適切な対応が必要)。高速道路など一定条件下での自動運転機能
- レベル4:特定条件下における完全自動運転(システムが特定条件下で全ての運転タスクを実行。ドライバーは関与しない)
- レベル5:完全自動運転(常にシステムが運転タスクを実行。条件が限定されない)
こういった自動運転については、多くの自動車メーカーが取り組んでいるものの、現時点ではレベル4を達成することが非常に難しく、一部自動車メーカーでは方針を再考するとも報じられていて、フォルクスワーゲングループについても「実現を疑問視し始めた」という報道がなされたばかり。
自動車メーカーとしては「自動運転こそが自動車の未来」だと信じて疑わない傾向にありますが、ソリッドステートバッテリー、そして空飛ぶクルマ同様に「実現するといわれつつ、いつまで経っても実現しない技術」という気がしないでもありません。
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アップルカーは実現したとしても1000万円以上
アップルに話を戻すと、この自律走行技術パッケージの中心にあるのは、コードネーム「Denali(デナリ)」と呼ばれる自社開発のオンボードコンピューターシステムだとされ、このプロセッサは、(これ一つで)アップルの最高級チップ4つを合わせた性能に匹敵すると言われており、すでに生産可能な段階にあるとも報じられています。
アップルはこのチップにカメラ、レーダー、LiDARを組み合わせることで自動運転を実現することを計画していますが、さらには人工知能処理を行うクラウドベースのコンポーネントも使用することになり、ホスティングにはAmazon ウエブサービスを使用するという具体的な情報も。
ただ、大きな問題として残っているのはその「車体」で、もちろんアップルはこれを製造する技術を持たないために提携先を探す必要があり、これが現在まだ決まっていないもよう(フォックスコンやマグナ・シュタイヤーが有力だとされている)。
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よってまだ車体デザインも確定しておらず、しかし非常に高レベルのテクノロジーが投入されることで高価なクルマとなるのは間違いなく、テスラ・モデルSUVやメルセデス・ベンツEQS同様と同じプライスゾーンへと投入されると言われ、その価格は1,000万円~1,500万円くらいになる、という報道も見られます。
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参照:Bloomberg