| フェラーリはそのモデルだけではなくプロモーションにおいても多様性を重視しているようだ |
ここまでマーケティングと製品とのバランスが取れている例も珍しいだろう
さて、フェラーリが韓国においても新型SUV「プロサングエ」を公開(公開そのものは少し前に行われているが、今回その公式画像がインスタグラム等で公開されている)。
このプロサングエは日本でお披露目されたものと同じ個体だと思われ、ホワイトのボディカラーにブルーのインテリアを持つ美しい個体です。※少量生産ブランドでは、日本と韓国をまとめて統括することが多い
フェラーリというと「レッド」というイメージがあり、実際にこれまでのニューモデルだとレッドのボディカラーとともに発表がなされることが多かったものの、「ホワイト」を使用する例はけっこう珍しく、これはフェラーリが「スポーツ系」「ライフスタイル系」の車両とでその方向性やイメージを分けているからなのかもしれません。
ホワイトのフェラーリ・プロサングエも悪くない
なお、フェラーリのラインアップは(株主向けの発表会では)「ICONA」「スぺシャルモデル」「スポーツ」「GT」に分類されていますが、ICONAはVIP顧客向けの超少量限定モデル、スペシャルモデルは812コンペティツォーネ系や488ピスタ系のようなハードコアバージョン、スポーツだとSF90ストラダーレ / SF90スパイダー、そして296GTB / 296GTS、GTだとローマにプロサングエ。
フェラーリは今後数年間で14モデルを公開してゆく計画を持っているので(プロサングエを含むと15車種)モデルラインアップが増加することになるかと思われますが、それらモデルラインアップ間においても「被らない」ようにするため各シリーズどうしの差別化を最大化するのではないかと考えています。
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フェラーリはそのプロモーションも多様化
そうすることで一人の顧客に複数のフェラーリを所有してもらえる可能性が高くなり、さらには新しい顧客を取り込むことも可能となるためですが、そのために今回のような「あえてレッドではない、そしてモータースポーツ色を感じさせない」プロモーションを行っているのかもしれません。
反面、デイトナSP3や296GTB / 296GTSだと過去のレーシングカーへのオマージュとなるデザインそしてボディカラーが採用されているので、フェラーリのプロモーションも多様化してきている、ということですね。
実際のところプロサングエでは他モデルに見られないような「ポップアップ式コマンダー」などの装備が見られ、これはもちろん「走り」に貢献するわけではないプレミアム系装備ということになり、ここにおいてもフェラーリは各シリーズにおける作り分けを行っていると考えて良さそう。※参考までに、GTC4ルッソあたりの時代では、各シリーズ間におけるデザイン的・パーツ的共通性が高かった
なお、現段階ではステアリングホイールやメーターなど一部パーツではシリーズ間において共通パーツが使用されるものの、もしかすると今後これらについてもシリーズ間で異なる仕様が与えられるのかもしれません。
ちなみにですが、F40やF50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリのような周年記念限定モデルはフェラーリのモータースポーツの歴史と直結しているのでホイールにセンターロックを採用するなど他シリーズとはまったく異なるアプローチが用いられ、ドアミラーも独自のものが与えられることが多いもよう。
加えてICONAシリーズのドアミラーもそのモデル専用設計となっていて、フェラーリとしては「差別化するところ」の基準をしっかり設けているようにも思われます(一方、ドアミラーにはあまり注意を払わないブランドもあり、ブガッティ・ヴェイロンはアウディTTと同じドアミラーを使用していた)。
フェラーリ・プロサングエのアジアパシフィック地域でのお披露目画像はこちら
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参照:Ferrari(Instagram)