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テスラが36万台超の大規模リコールを全車種に対して届け出!問題があるのはFSD(自動運転機能)、しかし例によって無線アップデートでアッサリ解決

テスラ

| テスラの無線アップデートによるリコール解決には恐れ入る |

テスラはそもそもハードよりも先にソフトを設計するという概念を持っており、クルマのほとんどはソフトによって動かされる

さて、久々にテスラの大規模リコールが実施されることになり、その内容が米国道路交通安全局(NHTSA)へと届け出られ、公式にリコール告知が開始されることに。

問題があるのは完全自動運転(FSD)ソフトウェアだとされ、対象となるのは2016年以降に製造されたモデルSとモデルX、2017年以降のモデル3、2020年以降のモデルYとなり、その総数は362,758台だと報じられています。

なお、リコールといえども、問題の修正については物理的になんらかの手を加える必要はなく、例によって無線(オーバー・ザ・エア=OTA)アップデートにて改善する、とのこと。

今回、FSDソフトウエアにはこういった問題が報じられている

そして今回問題となっているのは、特定の状況下におけるFSDの機能で、「車両が制限速度を超過したり、交差点を違法または予測不可能な方法で走行したりする」可能性があり、その結果、衝突の危険性が高まるというもの。

米国道路交通安全局(NHTSA)では、特に交差点での危険性について言及し、FSDを使用した車両が、旋回レーンにいるにもかかわらず直進してしまう可能性があることを指摘しています。

また、一時停止の標識がある交差点で完全に停止しなかったり、黄色信号を注意なく通過したりすることも潜在的な問題点として挙げており、リコール概要によると、FSDを使用している車は、制限速度の変更に「十分に反応しない」可能性があることについても言及しています。

なお、「一時停止で完全に停止しない」問題は以前にも指摘されたことがありますが、これはおそらく「完全停止すると、再スタートに電力を要するため」、一時停止が必要な場所においても完全停止せずに「ギリギリまで速度を落とすだけ」に意図的に調整され、航続距離の確保を行っているんじゃないかと推測しています(つまり、これに関しては不具合というよりも、テスラが意図的にそういった設定としている)。

テスラ

テスラの無線(オーバー・ザ・エア=OTA)アップデートは非常に効率的

上述の通り、これらのアップデートは無線(オーバー・ザ・エア=OTA)にて行われますが、これによって「FSDベータが特定の運転操作によって引き起こす状況を改善する」ことになり、しかし関連文書には「テスラはこの潜在的な問題について、NHTSAの分析に同意しておらず、しかし慎重を期してリコールを発令した」と記されており、例によってテスラはこれを問題とは捉えていないようですね。

なお、テスラのオートパイロットとFSDシステムは、以前から連邦政府の調査を受けており、その中でNHTSAは今回のリコールにつながる懸念事項を特定したという流れとなっていて、NHTSAは1月25日にテスラへとリコール要請を出していますが、2月14日までに、テスラ社は特定の状況下におけるFSD機能に関連する可能性のあるクレームを18件認識していて、しかしこれらの問題に関連する負傷者や死亡者の発生を認識していない、とも報じられています。

オーナーへの通知書は4月15日に発行われる予定だとされ、ソフトウェア・アップデートの実施時期については現時点では不明だそうですが、こちらも追って公表されることになりそうですね。

ちなみにですが、テスラはほとんどの問題を無線アップデートにて改善してしまい、ちょっと前には「ウインドウの開閉機構について、モノが挟まったときにウインドウの上昇が停止しにくい」という問題があり、これについてもテスラは無線アップデートにて改善を行っています。

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通常の自動車の場合、ここは「センサーの交換」といった物理的な対応になるかと思いますが、テスラは「まずハードありき」という既存自動車メーカーの考え方ではなく、「まずソフトウエアを設計し、次にそれを動かすためのハードを設計・製造する」という手法にてクルマを開発しているとされ、よって”ほとんどの問題が”ソフトウエアの週背によって改善できるのかもしれません。

これはテスラが自社でソフトウエアの設計を行っていることに起因しており(殆どの自動車メーカーはソフトを外注に出している)、かつイーロン・マスクCEOの考え方が「我々が作るのは自動車ではなく、タイヤのついたPCである」というものであることに関連しているのだと思われ、しかし「まずハードありき」な既存自動車メーカーにはここはどうやっても(企業構造的に)真似することができず、仮にテスラと同じ問題が車両に発生したとしても「物理的なリコール」となってしまい、よって大きな経済的負担が生じると言われています(もちろん既存自動車メーカーもそれを理解しており、なんとかしたいとは考えているが、現時点ではなんともできない)。

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