メルセデス・ベンツが史上最大のスキャンダルに巻き込まれる。同社工場の購買担当者2名が収賄容疑で逮捕、わかっているだけでも数億円を着服していた疑いか持たれる

｜　メルセデス・ベンツは当然これに直接関与しておらず、”自身も被害者である”ことを主張　｜

まさかメルセデス・ベンツのような巨大企業でこんな「個人による巨額収賄事件」が起きようとは

さて、メルセデス・ベンツが史上最大のスキャンダルに巻き込まれているとの報道。

このスキャンダルとはすなわち収賄事件であり、そしてその規模がハンパなく、なんと数百万ユーロ（数億円）にものぼると見られています。

報道によると、ドイツ連邦刑事警察局（LKA）は、購買部門の従業員2名が賄賂を受け取っていたとの疑いにて現在メルセデス・ベンツの工場を捜索しているといい、メルセデス・ベンツ側は「この事件で損害を受けた当事者である」と主張し、従業員を告訴している、というのが現在の状況です。

まだまだ真相ははっきりしていない

つまり、この収賄事件に関しては、従業員2名が独断で行ったことであり、メルセデス・ベンツはこの従業員に騙されていたということになりそうですが、メルセデス・ベンツが組織ぐるみにてこういったことを行っていたとは考えにくく（金額に比してリスクが大きすぎる）、よってメルセデス・ベンツの言い分が正しいのだと理解しています。

現在まだまだ捜査は進行中だそうですが、ドイツの刑事捜査官は先週末にメルセデス・ベンツのジンデルフィンゲン工場に入り、そこで携帯電話やコンピューターなどを押収したとされ、しかし地元警察がLKA（ドイツ連邦刑事警察局）に協力を頼るあたり、いかにこの事件が大きいかを物語っていて、その規模のみではなく、その手口もまた非常に巧妙であり、地元警察の手に余るものなのかもしれません。

メルセデス・ベンツは「協力を惜しまない」

今回の事件発覚に際し、メルセデス・ベンツの広報担当者は「我々はこの事件でダメージを負い、苦情を申し立てているところだ。我々は当局の捜査をサポートする」という声明を出しており、そしておそらくはドイツ国民も「悪いのはメルセデス・ベンツではなく購買担当」だと理解するものと思われ、メルセデス・ベンツに対するダメージはそこまで致命的ではない可能性も。

まだまだ真相究明には時間がかかりそうではあるものの、簡単にいえば「購買担当者が、サプライヤーに対して賄賂を要求し、その見返りとしてパーツや素材をなどを仕入れるようにしていた」のだと思われますが、メルセデス・ベンツほどの企業であれば、まず汚職対策を講じているはずであり、しかしその目をかいくぐって「数億円」を懐に入れたということには驚くよりほかありません。

なお、このメルセデス・ベンツのジンデルフィンゲン工場は、ドイツのシュトゥットガルトの郊外にあり、ここではEクラスとSクラス、そしてEQSを製造しているそうですが、この工場は1915年から操業しており、現在約35,000人の従業員が働いている、とのこと。

加えて、メルセデス・ベンツによると、この施設は車両製造に加え、より広い範囲での生産、さらにメルセデス・ベンツにおける「計画エリア、中央購買およびサプライヤー管理」も担っているとのことなので、他工場におけるサプライヤーの選定、購買もこの工場が担当していたということになりそうですね。

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参照：Reuters