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「ワイルド・スピード」に登場し話題となったライカン・ハイパースポーツとはいったい何だったのか?3.7億、限定7台にて発売されるも「1台も生産されていない」「壮大な詐欺だった」説

「ワイルド・スピード」に登場し話題となったライカン・ハイパースポーツとはいったい何だったのか?

| やはりスーパーカー/ハイパーカービジネスは難しい |

さて、映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」に登場したことで一躍有名になった”中東初の”スーパーカー、ライカン・ハイパースポーツ。

しかしその後大きな話題となることもなく、著名コレクターが購入したという話も、ドラッグレースやサーキットにてほかを圧倒するタイムを出したという話も聞かず、「あれはいったい何だったのか」という動画が公開に。

ライカン・ハイパースポーツはこんなクルマ

ライカン・ハイパースポーツはドバイ拠点の「Wモータース」が発売するクルマですが、もともとは「ピュアエレクトリックスーパーカー」として9台の限定生産として計画されるも、結局はガソリンエンジン搭載車として7台のみが販売されています。

なお、その価格は340万ドルつまり日本円にするとおおよそ3億7000万円ほどという高額車両。

デザイナーはフランス人の「アントニ・ジャナルリ」氏だと言われていますね。

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ライカン・ハイパースポーツのデザイナーが立ち上げた新ブランド「Jannarelly」。日産の3.5L/V6エンジンを搭載し、重量760kgでデビュー

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搭載されるエンジンは4リッター・フラットシックス・ツインターボ、出力は780馬力、0−100km/h加速は3秒以下、最高時速395キロだというのが公式なスペックで、しかし高価な理由としてはそのエンジニアリングの他にもいくつか理由があり、「ヘッドライト内にダイヤモンドを仕込んでいる」「シートなど内装のステッチにゴールドの糸を使用している」といったものも。

その他の特徴としては「インフォテイメントシステムにホログラムを使用している」「ユニーク・リバース・ディヘドラルドア(バンザイドア)採用」等があり、とにかくあらゆる方面において世界を驚かせたのがライカン・ハイパースポーツということになりますね。

ちなみにエンジンやトランスミッション含む車体の基本はRUFが製造し、内装や外装含む最終的な製造はオーストリアのマグナシュタイアが担当したとされ、中身はRUF CTR3だとも報じられています。※RUF CTR3の新車価格は75万ドル

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実際にライカン・ハイパースポーツは(関係者以外)誰も運転したことがない

そこで奇妙な事実として浮かび上がるのが、「ライカン・ハイパースポーツを運転したことがある人はだれもいないのでは」という疑惑。

Wモータースはユーチューバーに対しても、外観のレビューを許しこそすれ運転を許可しておらず、実際に走行する姿が公開されているのはオフィシャルビデオのみ。

いくつか「動く」個体があるものの(いずれも関係者によって運転されている)、その個体が「本来の性能を有しているとは思えず、他の車の車体を使用したレプリカ」なんじゃないかとも言われます(ワイルド・スピードに登場したのはポルシェ・ボクスターをベースにしたレプリカ)。

つまり、「市販スペック」を持つ個体は存在しないんじゃないかということですね。

そのスペックも二転三転

加えて、「780馬力、0−100km/h加速3秒以下」というスペックについても二転三転し、これまでのプレスリリース、プロモーションビデオでは「770馬力」「750馬力」という記載も見られ、加速についても公式資料にて「2.9秒」「2.8秒」という数字が混在することに(WモータースCEOは”2.6秒”と発言したことも)。

反面、こういった加速や最高速のほか、たとえば車体重量や重心、エアロダイナミクスふくむ空力性能等について語られることはなく、これもまた「実在し、本当にその数字にて走ることができるのかどうか」という疑問を感じさせるところです。

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なお、Wモータースの母体はコンサルティング業を行う中東の企業で、Wモータースを興したのは当時25歳のレバノン人ビジネスマン、ラルフ・デバス氏。

同氏は(そのSNSの投稿内容からして)カーガイというよりは、あくまでもラグジュアリーを提供するビジネスマンであり、ライカン・ハイパースポーツを「非常に裕福な人々に向けて販売することで」ビジネス的な成功を目論んだと考えるのが自然かもしれません(だからこそ、メカニカル的なことには一切言及しなかった)。

このあたりはクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏、オラチオ・パガーニ氏とは大きく異るところですね。

本当にライカン・ハイパースポーツは販売されたのか

Wモータースによると、ライカン・ハイパースポーツは2013年12月に「最初の1台」が中東のバイヤーに販売されたとのことで、7台の枠に対して100台の申し込みがあったと言われるものの、その後2018年にもまだ新車が販売されており、このあたりは「どうなっているのか」謎が謎を呼ぶところです。

ベースがルーフCTR3なのであれば、さほど労力をかけずとも生産できそうなものではありますが、これまで公開された車体は(ボディカラーが何度か変わっているものの)いずれも同じシリアルナンバーを持っており、実際にはプロトタイプ以外存在しないという憶測も出ている模様。

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こういったところからも「ライカン・ハイパースポーツは壮大な詐欺だったのでは」と言われているわけですが、詐欺といっても「代金を受け取って発売しなかった」という話は聞かず、単に「発売しようとしたができなかった」という類だと思われ、ここにスーパーカー/ハイパーカービジネスの難しさを見た思いです。

ライカン・ハイパースポーツ「詐欺説」を検証する動画はこちら

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参照:Donut Media

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