| その国や地域によってEV普及が進まない理由は様々である |
そしてシンガポールでは驚きの理由が隠されていた
さて、現在世界各地でEVの普及を進める政策が採用されていますが、その状況は世界各地で異なり、そしてそれぞれの事情があるもよう。
今回はシンガポールでの状況がレポートされているのですが、その事情が「ちょっと特殊すぎる」として話題となっています。
現在シンガポール政府は、2030年までに内燃機関(ガソリン・ディーゼル)の新車販売を終了させたいと考えていて、これを実現するためには、今後数年間で電気自動車の販売台数を急速に増やす必要があり、実際のところ過去2年間、シンガポール政府は電気自動車の普及を推進し、最大45,000シンガポールドル(約34,000米ドル相当)のインセンティブを提供し、充電ネットワークを拡大してきたとされています。
シンガポールの電気自動車普及率はまだまだ低い
2022年のシンガポールでは、新車販売台数に占める電気自動車の割合は12%で、2021年の4%から大幅に増加したものの、この数字はシンガポールの全登録車の1%に過ぎず、さらにはガソリンエンジンを搭載するスポーツカーの1.65%よりも少ないと指摘されています。
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シンガポールでは、自動車を所有し、運転することは「高い代償を支払うことをいとわない人だけに許された贅沢」だといい、たとえば自動車を運転するためには限られた数量しか発行されない証明書を取得する必要があって、この取得ためには入札に参加する必要があるのだそう。
もちろんこの価格は安くなく、たとえば小型車用の証明書は88,000シンガポールドル(約66,000米ドル)以上にも達しており、完全に自動車一台分の価格を越えています。
シンガポールの億万長者比率は世界一に
ただ、シンガポール(人口約560万人)には世界有数の富裕層が住んでおり、2030年までにシンガポール人の13%が億万長者になるという予測もあるそうで、これが実現すれば世界で最も高い比率となるもよう。
そしてすでにシンガポールは豊かな国であることは間違いなく、よってどれだけコストがかかろうとも高額なクルマを、しかも複数台所有する人々も多く存在し、2022年におけるシンガポールでのフェラーリの販売台数は過去10年間で67%、ランボルギーニの販売台数は38%増加しており、さらにポルシェの登録台数はテスラの5倍、BMWは27倍、メルセデスは40倍という統計も。
逆に「高いクルマしか売れない」のも事実であるようで、たとえばヒョンデはアイオニック5「メイド・イン・シンガポール」を100台発売したものの半分程度しか売れなかったといい、よくよく考えれば、小型車の登録証明書の入手に66,000ドル(現在の為替レートにて約880万円)も支払える人が、それより安価なクルマを購入するとは考えられず、よってシンガポールで「EVの普及が進まない」のは「シンガポールの富裕層をうならせるラグジュアリーなEVが少ない」せいかもしれません。
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そう考えると、今後登場するであろう「日常的に乗れるエレクトリックブガッティ」「ランボルギーニのピュアエレクトリックGT」「メルセデスEQG」「ポルシェの超高級エレクトリックSUV」といったクルマはシンガポールの富裕層に強くアピールできるものと思われ、これらの登場が期待できる3−4年後には、シンガポールのクルマ事情がずいぶん変わっているのかもしれません。
シンガポールはこんな国だった
なお、ぼくが以前シンガポールに行った際のクルマ事情としては、今回の報道のとおり「高級車だらけ」。
こちらは「クルマの自動販売機」。※何億円もするクルマが入っている
そのほか改造車や・・・。
クラシックモデルも数多く走っており、カーエンスージアストが多く住む、といった印象があります。
ちなみにカーシェアも多く、これらは住人の足となっているようですね。
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参照:Reuters