| ランボルギーニは自身のブランド内にて、顧客が持つ要望をすべて満たしたいと考えている |
「2+2のGTカー」はランボルギーニのルーツを考慮するとごく自然な流れでもある
さて、ランボルギーニはブランド初のプラグインハイブリッドスーパーカー「レヴエルト」を発表したところですが、2028年には初のピュアエレクトリックカー(BEV)を発売するという計画を持っています。
ただしその前にウルスがハイブリッド化され、ウラカン後継モデルがハイブリッドスポーツとして登場することもロードマップとして示されており、これらによってランボルギーニのすべてのラインアップが電動化されることに。
そして2028年には上述の「初の」ピュアエレクトリックカーの登場となり、二酸化炭素排出量を80%削減するという目標達成に向けて大きく前身するわけですね。
ランボルギーニ初のピュアエレクトリックカーは2+2のGTカー?
そして今回、このランボルギーニ初の純電動車についての新たな情報がもたらされており、同社CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏によれば「現在のランボルギーニの盲点をカバーするモデルとなるでしょう。現在のラインナップに欠けているのはGT 2+2であり、これは2台のスーパースポーツカーとSUV(ウルス)の良いアドオンとなると思うからです」。
つまりはこれまでにウワサされていたようなクロスオーバーではなく、(新型トヨタ・クラウンのような)車高の高い4ドアクーペでもないということになるのかもしれません。
なお、「クロスオーバー」という話が囁かれるようになったのは、ランボルギーニが以前「日常的な使い勝手のために地上高が高くなる」と語ったことに起因しているものと思われ、しかしランボルギーニのいう「車高が高くなる」というのは、悪路を走ったりするオフローダーという意味ではなく、北米でよく見られるスピードバンプを乗り越えたり、自走式立体駐車場のスロープを(底を擦ることを気にせず)走り抜けることができたり、タイヤ留めを気にせずに駐車することができるという意味であったもよう。
参考までにですが、ランボルギーニは過去に「イスレロ」「エスパーダ」といった2+2のGTカーをリリースしており、今回話題にのぼっている「第四のランボルギーニ」はこれらのリバイバルといったポジションとなるのかもしれません。
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もう一つ参考までに、ランボルギーニは2000年代後半に4ドアサルーンの「エストーケ」を発表したことがあり、しかしこちらは発売直前までプロジェクトが進みながらも当時発生したリーマンショックによって計画が凍結されていますが、ランボルギーニ初のピュアエレクトリックカーは「4ドア」ではなさそうなので、このエストーケが解凍されるわけではなさそうですね。
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ランボルギーニは「すべての富裕層の需要を満たすラインアップ」を目指す?
なお、今回のステファン・ヴィンケルマンCEOの発言で「ラインアップの盲点」という表現が用いられているのは非常に興味深いところであり、つまりランボルギーニはスーパーカー専業メーカーとしての成長ではなく「総合ラインアップを持つ自動車メーカー」としての成長を目指しているのかもしれません。
ただしランボルギーニはもともと「快適なGTカー」を作ろうとして創業された自動車メーカーで、これまでにも数多くの2+2含むGTカーをリリースしています(過去にはスーパーオフローダー、LM002も発売している)。
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しかしながら「ミウラ」「カウンタック」の登場によってその方向性が「スーパーカー」へと一気にシフトすることになり、そこで世間一般では「ランボルギーニ=スーパーカーメーカー」というイメージが定着してしまったものの、実際のルーツはもっと別のところにあったというのが真実で、そしてランボルギーニはそのルーツへと回帰するのかもしれませんね。
なお、ランボルギーニはかつて「ランボルギーニ各モデルのライフサイクルは5年(フェイスリフト後も含めると10年)なので、5つのモデルがあれば毎年ニューモデルを発売でき、話題を提供できる」と語ったことがあり、このコンセプトが今も生きているとすれば、そのラインアップは最大で5つまで拡大されるという可能性もありそうです。
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ちなみにですが、現在ランボルギーニはフォルクスワーゲン傘下に収まっており、同グループ内のブランドは「総合ラインアップメーカー」を目指す傾向が強く、つまりは「そのブランディングに沿った範囲で、欠けているラインアップを埋めてゆく」傾向が見られます。
そしてポルシェはこの考え方に従い、現在ラインアップにはない「3列シート」を持つSUVを投入する計画を発表していて、同じくVW傘下のブガッティもまた「毎日乗れる、車高の高いブガッティ」を発売する計画を持っている、とも。
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つまりポルシェ、ブガッティ、そしてランボルギーニとも、それぞれのブランドの顧客が求め、しかし現在自身のブランドが保有していない車種を投入してゆくのだと思われ、「顧客の流出(もしくは、自身の顧客がほかブランドのクルマを買い増しすること)」を防ぐことをビジネスの基本に置いているのかもしれませんね。
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参照:Motor1