| 認識や環境の変化、技術の変化、そしてEVの普及によってマニュアル・トランスミッションの生息域が縮小している |
欧州のMT比率激減は衝撃的、そして韓国の「ゼロ」も衝撃的
さて、「マニュアル・トランスミッション車の登録状況」が公開に。
これはなかなかに面白い結果となっていて、まずは国と地域別の「新車におけるMT登録状況」を見てみると以下の通りとなっています。
国・地域別のマニュアル・トランスミッション登録状況
- 南アフリカ・・・42%
- ラテンアメリカ・・・36%
- ヨーロッパ・・・32%
- 東南アジア・・15%
- 中国・・・4%
- 日本・・・2%
- オセアニア・・・2%
- 北米(USA / カナダ)・・・1%
- 韓国・・・0%
国・地域による個別の事情はどうなっているのか?
この数字を見るといくつかの驚きがありますが、皆アフリカやラテンアメリカなど発展途上国におけるマニュアル・トランスミッション比率の高さについては以前からよく知られるところで、その理由としては「MT車のほうが安価」「マニュアルトランスミッションのほうが修理が容易で壊れにくい」といった理由があるもよう。
ただ、欧州の「32%」というのは予想外に低い数字だという認識であり、というのも欧州だとMTのほうが効率がよく環境にいいという「信仰」によって新車販売の殆どがMTだと聞いていたためで、実際に2015年のMT比率は「90%」という高い数字です。
ただし2017年には78%、2019年には75%、2020年には60%、2021年には40%、そして直近では32%となっていますが、ここまで急激にマニュアル・トランスミッション比率が下がった理由についても明確な理由付けがなされていて、「オートマチック・トランスミッション車のほうが燃費に優れるという認識が一般化してきたこと」「渋滞が酷くなりMT車の運転が敬遠されるようになったこと」「MT車とAT車との価格が接近したこと」「ハイブリッド / EV比率が高くなったこと」、そして「MT車を選べるクルマが少なくなったこと」。
それにしても”たった数年”でここまで比率が変わるということには驚かされ、ちょっと前まで「AT免許しか持っていない日本人が欧州に赴任となり、現地でAT車の中古を買おうとしたらMT車しか売ってなかった(免許制度的には現地でMT車に乗れるそうだが、スキル的に難しい)」「駐在員の妻がAT車(中古)を手に入れることが難しく、帰国する駐在妻から代々AT車(中古)が受け継がれている」と言われていたのがウソのような状態に。
北米では「AT人気」が高い状態が続く
なお、欧州とは反対に「トレンドが変わっていない」のが北米であり、こちらはもともと「世界で最もATが好きな地域」と言われただけあって2005年にはすでに80%がAT(欧州とはほぼ逆の比率)、そして緩やかにMTが減っていてって2022年には1%がMT、そして2023年の現時点ではMTを選ぶ人はわずか0.9%。
そしてちょっと面白いのは中国で、2017年のMT比率は50%であったものの、2020年には20%、そして2022年には4%へ。
これは「2017年に販売された多くのクルマが商用車であったものの、その後自家用車(AT)の販売比率が上昇した」こと、そして直近ではよく報じられるようにEVの販売比率が上昇したことが大きな理由だと言われています。
ちなみにですが、中国人の話だと「教習所では左足ブレーキをスタンダードとして教えている」とのことで、たとえガソリン車であっても「乗用車」ではもはやマニュアル・トランスミッション車が存在しないのかもしれません。
そしてもっと驚かされるのは韓国の「0%」ですが、韓国市場にて多くを占めるヒョンデとキアにおいては「MTの選択肢がない」ということなのでしょうね(ヒョンデ ”N”ではMTの選択肢があるが、統計にインパクトを与えるほどの数字ではないのかも)。
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参照:Motor1