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調査会社「EV価格は新技術採用によって2027年にはガソリン車よりも安くなります。ただし修理が困難になってコストは30%上昇し、保険に入れなくなるかもしれません」

2024/03/10

Tesla

| たとえEVの車両価格が下がったとしても、それに付随する新たな問題が生じることに |

やはり新技術を「無理やり」普及させようとするのには課題が伴う

さて、現在EV市場の成長ペースには鈍化が見られる状態ですが、その理由は主に2つあると言われていて、ひとつが「車両価格の高さ」そしてもうひとつが「充電に関する不便さ」。

これらについては「徐々に」改善されてゆくとは思われるものの、依然としてEVの価格はガソリン車に比較して「非常に」高価にとどまるのが現実です。

ちなみにルノーはつい数年前に「2025年にはEVの製造コストとガソリン車の製造コストは逆転する」という見解を示していたものの、この状況だと2025年に入ったとしてもEVがガソリン車の製造コストを下回ることはないかもしれません。

ただし最新の調査では「2027年にEVとガソリン車の生産コストが逆転する」とも

ただ、調査会社ガートナーは「2027年にはEVの製造コストはガソリン車よりも低くなる」というコメントを発しており、その理由は「新しい製造技術の革新とEV設計の改善による」。

とくにこれらは新興EVメーカーによって達成されるといい、ガートナーのリサーチ担当副社長ペドロ・パチェコ氏によれば以下の通り。

彼らは、一元化された車両アーキテクチャや、製造コストと組み立て時間の削減に役立つギガキャスティングの導入など、生産コストを簡素化する新しいイノベーションをもたらしました。この方法がいかに革新的であったかについては、従来の自動車メーカーが生き残るために(新興メーカーが考案した方法を)採用する以外の選択肢がなかったことからもわかると思います。

つまり、テスラや吉利汽車の採用するギガキャストがトヨタなどほかの自動車メーカーにも波及することになり、その結果として市場へと供給されるEVの価格が引き下げられてゆくという現象を予測しているということになりますね。

テスラ
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ただしこれに起因した「問題」も

しかしながらペドロ・パチェコ氏は「こういった構造上の変化は、修理費や、ユーザーの支払う保険料といった形で新たな影響を市場に及ぼす」ともコメント。

もともとEVはバッテリーを車体内部に組み込むという構造、そしてバッテリーパックの性質上「車体構造を一部でも損傷すると、そこを部分的に修理をする」ことが難しく、よって”ちょっとした”事故でも廃車扱いとなる例が生じます。

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そして今回触れられている「ギガキャスト」については、これまでの自動車では「数十個」の細かい部品に分かれていた車体構造を「ひとつの大きな」部品として成形するという技術であり、これによって製造コストを飛躍的に短縮できる反面、既存技術を使用して製造されたクルマだと「部分的に行うことができていた」修理ができず、ほんのちょっとした凹みであっても「そこを含む大きなパーツ」を丸ごと交換する必要が生じるわけですね。※吉利汽車はこのギガキャストの欠点を克服する技術を開発したと発表している

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よって、今後ギガキャストによって製造されたパーツを採用するEVが主流となった場合、「価格的競争力を持つ一方」、車両の修理費が著しく高くなる可能性が予想され、ガートナーによると「車体やバッテリーの重大な損傷の修理にかかる平均費用は30%増加するでしょう」。

そうなるとユーザーの負担が増すばかりではなく、一部の保険会社が特定の車両に対する補償を拒否する可能性さえ考えられ、こういった現象が広く認知されるようになれば、EVの価格がガソリン車を下回ったとしてもEVの購入を敬遠する向きが出てこないとも限らず、となれば中古相場も大きく下がり、「買ってから売るまで」の得失を考慮した場合にはやはりガソリン車に劣ってしまうのかもしれません。

トヨタ
近年の新車は非常に高度化し修理コストが大幅上昇。あわせて保険料も17%高くなるなど負のスパイラルに。なおEVの修理費が高い理由についても究明される

| 規制強化はクルマのコストアップに繋がり、購入時の負担はもちろん、保険料の高騰、修理費の高額化など消費者にも大きな負担がかかる | そう考えると一体何が正解なのかがわからなくなってくる さて、新車の ...

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しかしそれでも(ガートナーは)EVの販売は今後数年間、世界的に成長を続けると予想しており、販売台数については2023年の1,540万台から2024年には約1,840万台、2025年には2,060万台に増加すると推測。

一方で新興EVメーカーの15%が倒産もしくは買収を経験するだろうという見方も示していて、ガートナーによると「EVビジネスはゴールドラッシュからサバイバルの様相を呈することになるでしょう。簡単に利益が得られるとの認識から、自動車メーカーからEV充電器に至るまで、多くの新興企業がEV分野に集まりましたが、一部は依然として外部資金に大きく依存しており、様々な課題にさらされています。さらに、EV関連の奨励金はさまざまな国で段階的に廃止されており、EV市場はさらに困難に直面しています」。

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