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いま中国で何が起きているのか?「世界一未来的なEVメーカー」、HiPhiが工場を閉鎖し給与未払いと報じられる。EVの供給過剰による「倒産の嵐」が吹き荒れる予兆か

いま中国で何が起きているのか?「世界一未来的なEVメーカー」、HiPhiが工場を閉鎖し給与未払いと報じられる。EVの供給過剰による「倒産の嵐」が吹き荒れる予兆か
HiPhi

| 結局のところ、多くの中国の自動車メーカーにとって、EVは「目先のお金儲けのための道具」でしかなかったのかもしれない |

一波乱あったのち、「自動車メーカーとしての責任感」をもって活動する日米欧の自動車メーカーが見直されることになるのかも

さて、つい先日「1287馬力の」スーパーEV、「A」を発表したばかりの中国HiPhi(ハイファイ=高合汽車)。

このHiPhiはヒューマン・ホライゾン(華人運通)社の高級EVメーカーで、2017年に設立され201年に最初のモデルを納車し、現在は「Z」「X」「Y」そして「A」という車種構成を持っています。

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その独特のデザイン、ずば抜けたパフォーマンスによって「飛ぶ鳥を落とす勢い」であったと報じられていたものの、なんと今回「2月18日に工場を閉鎖して生産を停止し、従業員の(工場への)立ち入りを禁じた」もよう。

いったいなぜこんなことに?

報道は断片的ではありますが、「HiPhiは少なくとも6ヶ月の生産を停止する」「1月の給与がまだ従業員に支払われていない」「2/18-3/18の間に給与の70%を受け取ることができる」「それ以降は最低賃金のみが支払われる」「一部店舗が閉鎖されている」「一部サプライヤーに対しての支払いが遅れている」などが報じられ、しかしヒューマン・ホライゾン自身からは正式なコメントは出されておらず、そして同社はメディアの取材に対しても返答を行っていない、とのこと。

現在中国は世界ナンバーワンの自動車生産・輸出・販売国であり、全世界におけるEV販売の60%を占めますが、国策によってEVの生産を推奨しているため、EVを生産すれば「1台あたり相当額の(数十万円相当、一説では100万円以上の)補助金を受け取ることができるとされ、この補助金を目当てとして多くの振興EVメーカーが誕生している、と言われます。

これら新興EVメーカーの数はゆうに500を超え、しかしほとんどは補助金目当ての「作って終わり」の会社だといい、よってこういった会社が製造したEVが大量に打ち捨てられている様子も報じられているわけですね。

数千台のEVが打ち捨てられた「電気自動車の墓場」が報じられる。その様子はまさに衝撃的、中国のEVメーカーが補助金を受け取るため過剰に生産した成れの果て【動画】
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なお、原価の安い小型/低出力EVであれば、販売努力を行うよりは「補助金をもらってEVを捨てる」ほうが効率的なのかもしれませんが、ある程度コストの掛かったEVだと「捨てれば赤字が出るので」赤字を帳消しにできるよう値引きを行って安く販売する例が出ているとされ、この状況が中国市場での「EV競争激化」を加速させ、多くのEVメーカーを倒産に追いやる原因を作っている、とも。

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実際のところ、現地EVメーカーはこの競争に直面しているため、利益を出すことができているのはBYDはじめ2-3社しかないという状況も報じられていて、この状況は「まともに」事業を展開しようとしていたEVメーカーであってもチャンスが失われるということを意味します。

そして中国内で価格競争に巻き込まれてしまい、利益を出せなくなったEVメーカーは輸出に活路を見出し、これが昨今報じられる「中国製EVの世界での氾濫」につながるのですが、中国製EVが好まれるのは主に東南アジアだとされ、欧州では「常識的な判断ができる人は中国のEVメーカーのクルマを購入しない」という現状もあるもよう。

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さらに中国では景気が低迷しており、いかに値引きがなされようともまだ高価なEVよりも安価な「PHEV」を選ぶ人々が増えており(PHEVであれば、中国政府の定める新エネルギー車=NEVに該当するので減税措置を受けられる。一方でハイブリッドはこれに該当しない)、よりEVが売れない状況ができあがっている、とも報じられています。

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今回のハイファイの例は「氷山の一角」でしかなく、すでに15の(比較的大きな)EVブランドが消滅の危機にあるとされますが、これら15ブランドの生産能力を合計すると1,000万台にものぼり、しかし2023年における中国のEV販売台数は890万台。

そしてこの「15ブランド」には中国ナンバーワンのEVメーカーであるBYD、そしてテスラ、さらには倒産の危機に瀕していない数百のEVメーカーは含まれておらず、そう考えるならば現在の中国では「どう考えてもEVの供給が過剰」であると考えてよく、ハイファイが6ヶ月の生産停止に踏み切ったことにも納得がゆきますね。

ここから自動車業界では何が起きるのか

そこで気になるのが「生産や販売において世界の自動車業界でもっとも大きな影響力を持つ中国市場の動向」ですが、ぼくとしては第1段階として中国市場での(急激な成長への反動としての)EV販売減速、そして投げ売りによる市場の混乱、それによる倒産の続出が起き、第ニ段階として「安いから」と購入した中国製EVのトラブルが経年とともに多発し、これが外国にとって”非関税障壁”を設けるための口実となって中国製EVの輸出の道が絶たれ、第三段階において「品質に優れる、日米欧の自動車メーカーのEV」に再注目が集まるであろうと考えています。

いわば雨降って地固まる的な流れになると推測しているわけですが、そこに至るまでには大混乱があり、この混乱に「耐えることができない」既存自動車メーカーも多数出現するのかもしれません。

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参照:HiPhi

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