
| やはりスーパーカーといえば誰がなんと言おうと断然ウェッジシェイプである |
その流れはすでに1960年代からはじまっていた
さて、先に触れた通り、今年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスでは「ウェッジシェイプを持つコンセプトカー」なるカテゴリが新設され、そこでは1970-1980年代に全盛を極めたコンセプトカーがその美しさ(あるいは車高の低さ)を競っており、ウェッジシェイプ大好きなぼくとしてはこれを見逃せず、ここで一部を紹介してみたいと思います。
まずはフェラーリ・モデューロですが、これはピニンファリーナが「宇宙船」をイメージしてデザインしたクルマで、1970年に開催された大阪万博に展示され、それを見たケン・オクヤマ(奥山清行)氏が感銘を受けてカーデザイナーを目指したという一台です。
現在はフェラーリコレクターであるジェームズ・グリッケンハウス氏が所有し、レストアが行われて走行可能な状態であることが報じられていますね。
-
-
こんなコンセプトカーもあった。宇宙船がモチーフ、大阪万博にも展示された「フェラーリPF 512S モデューロ」
| フェラーリは1970年にこんな未来的な車を作っていた | 以前に「ストラトスHFゼロ」を紹介しましたが、ストラトスHFゼロと当時双璧をなしたコンセプトカー、「フェラーリ・モデューロ(Ferrari ...
続きを見る
そのほかにはこんな「ウェッジシェイプ」のクルマも
そのほか会場に展示されているクルマを見てみると、かの有名なメルセデス・ベンツC111に・・・。
-
-
1970年代に時速400キロを記録したメルセデス・ベンツC111。発売されていたら歴史が変わっていたであろう幻のクルマ
| 発売されていたらスーパーカーの歴史が変わっていたクルマ、メルセデスC111 | メルセデス・ベンツC111がおよそ50年の時を経て走行。 C111の第一世代は1969年のフランクフルト・モーターシ ...
続きを見る
BMWターボ(E25)。
-
-
BMWが46年前のスーパーカー「BMWターボ」再公開。M1、8シリーズにもつながる「ルーツ」がこれだ
| BMW M1、8シリーズ、Z1の元祖はコイツだった | BMWが100周年記念の一環として過去のコンセプトカー「BMWターボ」を紹介する動画を公開。 BMWとしては現在までで「唯一」のガルウイング ...
続きを見る
こちらは1976年に発表されたガンディーニによるデザインのフェラーリ308GTレインボー。
ベルトーネ(というよりもマルチェロ・ガンディーニ)らしいカクカクとしたボディを持ち、やはりベルトーネ特有のリアフェンダーの切り欠きを持っていて、つまりはランボルギーニ・カウンタックと共通するディティールを持っているという珍しいフェラーリです。
-
-
フェラーリがピニンファリーナ・デザインを振り返る。1951年から60年以上にわたる協業の歴史の中でとくに印象に残るモデル7選
| すでにパートナーシップは解除されているといえど、現代のフェラーリが持つ要素の多くはピニンファリーナが作り上げたものだった | ときどき、フェラーリのデザインがピニンファリーナでなかったら、と考える ...
続きを見る
ちなみにフェラーリは1951年からピニンファリーナとのデザイン契約を結んでいますが、その途中(1970年代)にはベルトーネがデザインを行った例が存在し、この308GTレインボーもそのひとつ。
なお、なぜフェラーリがピニンファリーナをさしおいてベルトーネを起用したのかはナゾですが(フェラーリに関しては多くの文献が存在するが、その多くはモータースポーツとエンジニアリングに焦点を当てたもので、デザイン的側面を述べたものは少ない)、ぼくが思うに、商業的側面からランボルギーニに対抗しようと考えたんじゃないかと推測しています(当時、クルマのデザインはカウンタックのようなウエッジシェイプに向かっており、ジウジアーロではマセラティ・ブーメラン、ベルトーネでもアルファロメオ・カラボをリリースしたほか、各スポーツカーメーカートレンドはウエッジシェイプに向かっており、優美な曲線を売り物とするピニンファリーナはその流れからやや外れていたのだと思われる)。
-
-
フェラーリの転換期に存在した「ディーノ208GT4」とはどんなクルマだったのか?「フェラーリ最小のV8搭載」「ディーノ初の2+2」「ベルトーネデザイン」
| フェラーリはすべてのモデルにおいて「成功」を記録したわけではない | ディーノブランドは予期したような成果を残せず、結果的に「廃止」となっている さて、フェラーリは自社にて「過去のアイコニックなモ ...
続きを見る
こちらはプリマスXKR。※ウェッジェシェイプではないが、当時はこんな流線型と”フィン”が流行っており、それは同じ時代のバットモービルのデザインからもうかがえる
ミッドエンジン版コルベットの試作車(XP-882、通称”エアロヴェット”)。
そしてこれらの中でもひときわ低いのがストラトス・ゼロ(当時、世界で最も車高の低いクルマを標榜しデザインされている)。
-
-
ランチア・ストラトスの「元祖」。今も多くの人に影響を与える「ストラトスHFゼロ・コンセプト」はこんな車だ
| ランチア・ストラトスはもともとこんな車だった | 「ニュー・ストラトス」の発売が巷を沸かせていますが、「元祖」ストラトスといえばこの「ランチア・ストラトスHFゼロ・コンセプト(1970)」。正 ...
続きを見る
ホンダが復刻作業を行ったHP-Xコンセプト(ホンダ・ピニンファリーナ・エクスペルメンタル)。
-
-
ホンダが40年前の画期的なコンセプトカー「HP-X」をレストアし公開。デザインはピニンファリーナ、ここで得た知見はのちのNSXにも反映される
| さらにホンダはこのHP-Xコンセプトにて高度なエアロダイナミクス、先進的な運転支援デバイスを盛り込んでいた | ボクはこういった強烈なウェッジシェイプを持つクルマが大好きである さて、毎年夏の(ク ...
続きを見る
これは2021年にファッションブランドのユナイテッド ヌードが発表した「Lo Res Car」。
サイバートラックの元ネタとも騒がれたクルマですね(もはやクルマというよりはオブジェである)。
イタルデザインの新旧「アッソ・ディ・ピッチェ(スペードのエース)」。
-
-
イタルデザインが50年前に「アウディの2ドアクーペ」として製作し、後にVWシロッコとして市販されたコンセプト「アッソ・ディ・ピッチェ」をデジタル復刻
| もちろん2023年版としてピュエレクトリックへ、そしてディティールもアップデートされている | ぜひ市販してほしいものだが、残念ながら「デジタルバージョンのみ」しか存在しないバーチャルコンセプト ...
続きを見る
ケン・オクヤマ「Kode 0」。
ランチア・ストラトス・ゼロを強く意識したことが本人の口から語られていますね。
-
-
奥山清行氏最新モデル「kode 0」公式公開。「ストラトス・ゼロ、フェラーリ・モデューロを現代に」
先日より画像がちょっとづつ出ていた、ケン・オクヤマ(奥山 清行:おくやま きよゆき)氏の最新作、「Kode0(コード・ゼロ)」が公式公開され、同時にスペシャルサイトもオープン。予想通りランボルギーニ・ ...
続きを見る
チゼータV16の姿も。
-
-
ボクが「もっともスーパーカーらしい」と考えるクルマ、チゼータV16T!ブルネイ王族所有の個体が売りに出される。こんなヘッドライトは他にない!
| さすがブルネイ王族、このクルマも所有していたとは | ブルネイの王族が所有していたチゼータV16が中古市場に登場してちょっとした話題に。正直言うと、ぼくが「スーパーカー」と聞いて連想するのはランボ ...
続きを見る
こちらはアストンマーティン・ブルドッグ。
-
-
ミシュラン一つ星、上海にて「成隆行蟹王府」にて上海ガニを食してきた。ぼくはこれまで上海蟹に対して否定的であったが
| ただし今ではすっかり上海蟹のファンである | 「成隆行蟹王府」では味のみではなく高いサービスの質も評価できる さて、上海を訪れたからには上海蟹をということで「成隆行蟹王府」へ。実のところこの時期( ...
続きを見る
このイベント終了後に燃えてしまったフォード プローブIコンセプト。
-
-
世界に1台のみが存在する「フォード プローブI コンセプト」がトレーラーごと全焼する事案が発生。ことしのペブルビーチ「ウェッジシェイプのクルマ」での展示を終えた帰りにて
| 非常に残念な出来事ではあるが、この貴重なコンセプトカーを所有するショップは気を取り直している | この「フォード・プローブ」コンセプトは合計で5シリーズが製作され、のちの市販車に結びつくことに さ ...
続きを見る
ベクターW8。
まず公の場に出てくることがないスーパーレアカー、メルセデス・ベンツC1000。
-
-
こんなクルマ見たことない!制作費3.5億、アラブ石油王のオーダーによって作られたメルセデス・ベンツ製1,000馬力エンジン搭載、時速341km/hを謳うロテックC1000
| 実際にグループCレーシングカーを製作していた会社が設計・製造しただけあってなかなかに良くできている | このロテックはのちにパガーニと同じメルセデスAMG製6リッターV12エンジンを積んだ「シリウ ...
続きを見る
世の中には知らないクルマが多数存在する
一方、まったく知らないクルマも多く、これはカロッツェリア・ギアによってデザインされたクルマだそうですが(車名を聞き取れない)ベルリナ・エアロダイナミカ・テクニカにも似たイメージですね(ベルトーネによるデザイン)。
こちらはランチアのプロトタイプなのだそう(この時代のクルマはウインドウ面積がかなり広い)。
このクルマはカナラ・ロードスターだと紹介されています(ホットウィールから発売されているミニカーのようだ)。
ちなみにリアオーバーハングは「ほぼゼロ」。
ペブルビーチ コンクール デレガンスに展示されたウエッジシェイプなクルマたちを収めた動画はこちら
参照:The Autopian(Youtube), Richard Michael Owen(Youtube)