| 非常に残念な出来事ではあるが、この貴重なコンセプトカーを所有するショップは気を取り直している |
この「フォード・プローブ」コンセプトは合計で5シリーズが製作され、のちの市販車に結びつくことに
さて、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスに出展されたフォードのクラシックなコンセプトカーが(その帰り道に)火災よって完全に焼失。
このコンセプトカーは1979年にギアがデザインした「フォード プローブI コンセプト」で、カリフォルニア州のレストアショップ「スコット・グランドフォー・カンパニー」が所有しており、レストアの後にイベントへと出品し、その帰りに不幸な事故に巻き込まれ、積載していたトレーラーの中で(フレームを残して)完全に焼け落ちてしまっています。
この貴重なコンセプトカーの「損失」は計り知れない
このスコット・グランドフォー・カンパニーはその被害状況を自身の公式インスタグラムへと投稿しており、幸いにも人的被害がなかったこと、そしてこのクルマを修復する予定がないことに加え、以下のようにコメントしています。
「ペブルビーチ・コンクール・デレガンスでクルマを披露した後、日曜日の夕方遅くに高速道路で事故に遭い、1979年型フォード・ギア・プローブI プロトタイプを失ったことは、非常に悲しく、心が重く感じています。当社は家族重視の会社です。今日は家族の一員を失ったような気分です。
この事故がいかに悲劇的であったとしても、このクルマの歴史の一部になれたことは永遠に幸運です。クルマの残骸をアロヨグランデに持ち帰り、私たちのコレクションにあるギア/フォードのボディのプロトタイプの隣に残しておきます。」
カロッツェリア・ギアによってデザインされたフォード・プローブIは、1979年から1985年にかけて製造されたいくつかのプローブコンセプトの1つで(後にはマツダベースにて、同名の市販車も登場している)、燃費を重視した高度な空力設計を披露するために設計されたという背景を持っています。
そしてプローブIは単なるモックアップではなく、(当時最新であった)1979年型マスタングに使用されていたフォックスプラットフォームを使用して実際に走行でき、ボンネットの下に収められていたのはターボチャージャー付きの2.3リッター4気筒エンジン。
インテリアは当時のコンセプトカーの「お約束」であったデジタルメーターが採用されるなど、随所に未来を見据えた装備が散りばめられています。
フォードは最終的に5台のプローブ コンセプトを製造し、より空力重視の未来への道を示しますが、これらコンセプトはトーラス、そして上述の市販型プローブ(当時、このクルマは新型マスタングとして企画されたらしい)へとその成果が引き継がれるわけですね。
ペブルビーチ・コンクール・デレガンスでは「ウエッジシェイプ」のクルマが勢揃い
今年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスには「ウェッジシェイプ コンセプトカーとプロトタイプ」なるクラスが新設され、そこでは今回のフォード プローブI コンセプトのほかに様々なウェッジシェイプを持つクルマが出品されており(重ね重ねになるが、ぼくはウェッジシェイプのクルマが大好きである)、YouTube上に公開された動画を見ると、フェラーリ・モデューロ、メルセデス・ベンツC111、BMW E25ターボ、フェラーリ・レインボー(これは超レア)、コルベットのミッドエンジンプロトタイプ、もちろんランチア・ストラトス・ゼロに・・・
-
こんなコンセプトカーもあった。宇宙船がモチーフ、大阪万博にも展示された「フェラーリPF 512S モデューロ」
| フェラーリは1970年にこんな未来的な車を作っていた | 以前に「ストラトスHFゼロ」を紹介しましたが、ストラトスHFゼロと当時双璧をなしたコンセプトカー、「フェラーリ・モデューロ(Ferrari ...
続きを見る
ベクターW8、ホンダHPX、アストンマーティン・ブルドッグ、プリマスXKR、カナラ・ロードスター、メルセデス・ベンツC1000(過去、個人向けに製作されたもっとも高額なメルセデス・ベンツだと言われる)、アウディ・アッソ・ディ・ピッチェなど歴史の波にのまれてしまった数々のクルマも登場します。
-
ホンダが40年前の画期的なコンセプトカー「HP-X」をレストアし公開。デザインはピニンファリーナ、ここで得た知見はのちのNSXにも反映される
| さらにホンダはこのHP-Xコンセプトにて高度なエアロダイナミクス、先進的な運転支援デバイスを盛り込んでいた | ボクはこういった強烈なウェッジシェイプを持つクルマが大好きである さて、毎年夏の(ク ...
続きを見る
あわせて読みたい、関連投稿
-
フォードが過去のコンセプトカー378台の画像を公開。1950-60年代ですでに「空飛ぶクルマ」「カーナビ」「自動車電話」「電気自動車」などが考えられていた
| 中には後に「ブレードランナー」「ガンダム」をデザインすることになったシド・ミードの作品も | かつて、コンセプトカーは「デザイナーにとっての、自由なイマジネーションを表現する場」であったようだ さ ...
続きを見る
-
コルベットのミドシップ化に要したのは60年。途中で「ロータリエンジン搭載」モデル、「デロリアン」の元祖とも言えるモデルもあった!
| ここまで多くのプロトタイプが作られながらも「60年」かかったのは実に不思議 | さて、シボレーはミドシップレイアウトを採用した新型C8コルベット・スティングレイを発表しましたが、この「ミドシップ化 ...
続きを見る
-
こんなクルマ見たことない!制作費3.5億、アラブ石油王のオーダーによって作られたメルセデス・ベンツ製1,000馬力エンジン搭載、時速341km/hを謳うロテックC1000
| 実際にグループCレーシングカーを製作していた会社が設計・製造しただけあってなかなかに良くできている | このロテックはのちにパガーニと同じメルセデスAMG製6リッターV12エンジンを積んだ「シリウ ...
続きを見る
参照:Scott Grundfor Company(Instagram)