| ニュルブルクリンクで「最速」を記録するには、自身でできることを極め、かつ自身でコントロールできない「運」にも左右される |
さすがにいかなるスーパーカーそしてハイパーカーであってもこの記録を更新することは難しいであろう
さて、メルセデスAMG Oneは昨日までも「ニュルブルクリンク最速の市販車」ではありましたが、自身の持つ記録を更新し、今日からも「最速」であり続けると自ら証明することに。
その新しいタイムは6分29秒090という「市販車ではじめて6分30秒を切る」数字となっていて、これは以前の6分35秒183を大きく更新する数字でもあり、今回のアタックにおいてステアリングホイールを握ったのはDTMドライバーのマロ・エンゲル、そして記録達成の様子が公式画像そして動画として公開されています。
-
【随時更新】ニュルブルクリンクのラップタイム最新版。ランキング100位まで、そして「SUV」「FF」「EV」「コンパクト」などカテゴリ別最速車を見てみよう
Mercedes-AMG この2年ほどでニュルブルクリンクのラップタイムは大きく短縮 ニュルブルクリンクにおける市販車のラップタイム「最新版」。 このランキングも当初「ベスト50」から始めるも、なんど ...
続きを見る
前回のメルセデスAMG Oneのアタック時は「路面がベストではない状態」
なお、2022年にメルセデスAMG Oneがニュルブルクリンクの記録更新に挑戦した際の路面コンディションは理想的ではなく(それでもサーキットを貸し切っているので走らざるをえない)、気温が低く一部のセクションが湿っていたものの、それでもAMG Oneはマンタイレーシングによってチューニングされたポルシェ911 GT2 RSを3.5秒上回るタイムを記録しています。
ただ、このタイムは「天候次第」によって大きく短縮される可能性があり、よってメルセデス・ベンツは「最適な条件」で走行できるよう様々な調査を行い、2024年9月24日に」気温は摂氏15度、路面(ドライ)温度は20度」という条件にてアタックを行うことに。
使用されたタイヤは、すべてのAMG Oneに装備されているミシュランパイロットスポーツカップ2 R MOで、レーススリックに非常に近いストリート用で、メルセデス・ベンツはAMG Oneが完璧にセットアップされていることを確認し、(調整できる範囲の)最大限のキャンバー角を確保し走行した、と説明されています。
なお、メルセデスAMG OneはF1由来のエンジンそしてハイブリッドシステムを持ちますが、このパワートレーンを最大限に活用するにはブレーキングによる回生を発生させることを意識しなくてはならず、通常のスポーツカーとは異なる操作を行う必要があるのだそう。
そのため、マロ・エンゲルはAMG Oneに備わる4段階エネルギーフローコントロール(EFC)システムを利用し、場合によっては通常よりも早めにアクセルを離す「リフト&コースト」ことを意図的に行い、この動作はアファルターバッハ(メルセデスAMGの本社)でのシミュレーターによって導き出された「最適な走行方法」であることにも触れられています。
ハイブリッドハイパーカーをドライブするには相応の知識と経験が必要
走行時に使用したドライブモードは「レースプラス」で、これによって可能な限りアクティブな最大の空力効果、厳密なシャーシ調整、フロントアクスルで37mm、リアアクスルで30mmの車高の低下、そしてもちろん全てのエレクトリックモーターからのフルパワーが得らることとなるほかドラッグリダクションシステム(DRS)は、ドライバーがステアリングホイールのボタンを押すことでアクティブ化され、前フェンダーのルーバーや2段階のリアウィングの上部空力要素が格納される設定へと移行する、とのこと。
この状況ではドラッグを減少させ、高速セクションでのスピードを向上させ、かつ曲がりくねったセクションではエアロデバイスが瞬時に再展開し、さらなるダウンフォースを提供することとなりますが、マロ・エンゲルはさらにDRSシステムを操作することで”より高い”最高速を引き出しています。
こうやって聞くと、単なる運転操作に加え、そのクルマの特性、そして備わる機能を最大限に、かつ積極的に利用することができなければニュルブルクリンクでの「最速タイム」を達成することができないのだということがわかりますが、動画を見るとその複雑な操作およびクルマの動作、素晴らしい挙動を見ることができ、フロントフェンダーのアクティブフラップが開閉する様子を確認することも可能。※メインストレートでは323km/hを超え、しかし、最も印象的なのはコーナリングスピードである
今回公開された動画では、もちろん走行の様子、そしてそれに加えてAMG Oneに不利な最近の(サーキットの)変更や、挑戦前のデータ収集方法、そしてラップ前の儀式についても語っていて、車両の準備をするチームの様子やAMGのCEOとのインタビュー、その他の興味深いコンテンツも含まれており、一見の価値がある仕上がりとなっています。
メルセデスAMG Oneがニュルブルクリンクに挑戦する様子を収めた動画はこちら
合わせて読みたい、メルセデスAMG One関連投稿
-
ほとんど売り物が出ないハイパーカー、メルセデスAMG Oneがドバイにて販売中。画像と動画にてその内外装が詳しく紹介される
| 今までこれほど仔細にメルセデスAMG Oneを紹介した例はなかったように思う | 発売までには色々あり、発売後も物議を醸したハイパーカーではあるが、高いコレクション価値を持つことは間違いない さて ...
続きを見る
-
元F1王者、ニコ・ロズベルグにメルセデスAMG Oneが納車、開発責任者とともに操作方法を紹介。「始動と停止は決められた手順で行う必要がある」「6回失敗すると動かなくなる」etc.【動画】
| メルセデス・ベンツは「開発があまりに困難であったため」同様のハイパーカーを二度と作りたがらないようである | その苦労の甲斐あってかメルセデスAMG Oneは現在「市販車ではニュルブルクリンク最速 ...
続きを見る
-
メルセデスAMG Oneでアウトバーンを走り350km/hを記録するオーナー現る。開発時に指摘された信頼性の低さとは裏腹に、製品版のクオリティは高そうだ【動画】
| 文字通りメルセデスAMG Oneの「350km/hまで」は一瞬である | アストンマーティン・ヴァルキリーに比較すると、その車内はまだ「静か」かも さて、メルセデスAMG Oneがアウトバーンにて ...
続きを見る
参照:Mercedes-Benz