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| ただし中国企業は「一種の不安定さ」をはらむことも事実である |
それでも中国企業に頼らざるを得ないのが中国市場である
さて、先日アウディは「中国企業と共同開発した」EVを発表していますが、現在中国市場にて存在感を強めようとなると、そのクルマの企画段階から中国企業に頼らなければならないのが実情で(中国市場の嗜好は非常に特殊であり、現地企業でしか把握できないトレンドがある)、さらには開発スピードや生産コストという点においてもそれは同様。
そして今回はフォルクスワーゲンが「シャオペン(Xpeng)とのさらなる協業範囲の拡大」をアナウンスしています。
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フォルクスワーゲンはシャオペンとの共同によって中国全土に2万台のEV用充電器を設置
なお、フォルクスワーゲンとシャオペンとは2023年から提携関係にあり、フォルクスワーゲンがシャオペンの株式4.99%を保有していることが伝えられていますが、すでに「共同開発したアーキテクチャを使用した新型EVが2026年に2車種発売予定」であることもアナウンスされていて、さらなる関係の強化が今回改めて確認されたわけですね。
そして今回発表された内容によれば、「両者が共同にて、中国全土へと高速充電ネットワークを構築するという覚書を締結し、このネットワークは420都市にわたり、20,000台以上の充電器を設置予定」。
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さらに将来的には、共同ブランドの充電ステーションが含まれる可能性も示唆されています。
ただ、今回両社は提携に関する覚書を締結したものの、新しいステーションがいつ展開されるかについてはまだ発表されておらず、この充電器は「液冷式の超高速高出力ユニット」を採用し、シャオペンとフォルクスワーゲンのオーナーのみが利用可能だというので、テスラのスーパーチャージャーのように、他社に開放することで収益を上げることは考えておらず、あくまでも自社ブランドの優位性拡大に活用するという計画なのだと思われます。
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今回の発表に際し、フォルクスワーゲングループ中国の副社長、オラフ・コルツィノフスキー氏が発信した声明は以下の通り。
「Xpengとの戦略的協力を通じ、中国で最大級の超高速充電ネットワークを形成し、人々が日常生活にシームレスに電動モビリティを取り入れることを可能にします。このネットワークは大都市圏だけでなく、遠隔地の都市でも利用可能です。」
フォルクスワーゲンとシャオペンは中国市場での存在感を拡大する
上述のとおり、VWはシャオペンの株式4.99%を保有していますが、この株式取得時には「両社にて、中国での将来のEVすべてに使用される新しい電気および電子(E&E)アーキテクチャの開発に取り組む」と発表し、両社のエンジニアが新システムを共同で開発するためのプロジェクトハウスを2つ設立するということもアナウンスされています。
この提携を通じて発売される最初の生産モデルは、VWのミッドレンジに属する2車種で、2026年に登場予定だとされ、第一弾はSUVとなり、ここで採用される新しいアーキテクチャの大きな利点は、必要なECU(電子制御ユニット)の数を30%削減できること。
加えて高度な自動運転機能の迅速な実装を可能にし、無線(OTA)アップデートにも対応している、と伝えられています。
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現在フォルクスワーゲンは(最大市場である)中国にて失地を回復すべく様々な手段を講じており、シャオペンとの協業のほか、これまでの継続的なパートナーであるSAIC(上海汽車)およびFAW(第一汽車)との合弁事業を通じて「中国メインプラットフォーム(CMP)」も開発中。
このアーキテクチャは、少なくとも4つのVW車を含む、より手頃な価格のモデルに使用される予定だといい、数年後には「フォルクスワーゲンの反撃」が期待できそうですね。
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