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| 2つの理由は「解消可能」ではあるが、「1つ」だけはどうしようもない |
現時点では「今後のテスラの販売」については判断が難しい
さて、2025年1月の欧州市場において、テスラの販売が前年同月比で45%も減少したと報じられ、株価が一時10%も値下がりするという局面を迎えています(終値ベースでも8%下落)。
そしてこの下落については「数字以上の」大きな意味を持っていて、その理由としては「欧州全体のBEV(バッテリー式電気自動車)の販売は37%増加し、市場シェアは16.7%に達したにもかかわらず、テスラの販売が45%も減ったから」。
テスラの問題はすぐには解決できそうにない
つまり「EV市場が成長しているのにテスラの販売が減る」という現実に多くの人が失望売を浴びせているのだと考えてよく、テスラに特有の問題があるということを示しています。
テスラの販売台数は、EU市場で50.3%減、EU・EFTA(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)・英国を含む市場では45.2%減少し、たしかにこれは「ただごとではない」と考えていいのかも。
そしてこの「テスラの販売半減」の理由は大きく分けて3つあると分析されており、ひとつはかねてより報じられる「イーロン・マスクCEOの評判」。
同氏の政治的発言や論争が欧州でのブランドイメージに悪影響を与えているとされ、特にドイツの極右政党AfDへの支持や、英国で拘束された活動家への支援が物議を醸しているわけですね。
さらに2つ目は「モデルYのリニューアル」。
つい先日モデルYの新型が中国にて発表され、そして欧州で販売されるモデルYは「中国製」なので、これが近日中に欧州にも上陸することになるわけですが、多くの消費者が新型モデルYを待つために「従来型モデルY」の購入を控え、しかし新型モデルYのデリバリーがなされていないため、一時的に販売が減少したのでは、と見られています。
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そして3つ目の要因は「在庫不足」で、2024年12月に実施された年末販売促進のため、一部市場での在庫が不足している可能性が指摘されていて、つまり「1つ目はともかく、2つ目と3つ目の理由は問題がない」とも考えられます。
ただしこれは新型モデルYのデリバリーが開始される3月以降でなければ判断することは難しく、もうすこし時間を置いてみないと「ナントモ」いえないところかも。
なお、上述の通り、テスラの不振とは対照的に欧州のEV市場は成長を続けていて、2025年1月のEV販売台数はEUで124,341台、EU・EFTA・英国を含めると166,065台に達し、市場シェアは16.7%へ(2024年1月の11.9%から増加)。
自動車業界全体で見ると、最も人気のあるパワートレインはHEV(ハイブリッド車)で市場シェア34.9%、次いでガソリン車(29.2%)。
ディーゼル車(8.8%)とPHEV(プラグインハイブリッド車、7.6%)のシェアは前年より減少し、BEVを下回っています。
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