|今回の「欧州市場での販売減少」については補助金の廃止、新型モデルYの発売待ちなど様々な要因も |
実際のところ、イーロン・マスクが「優等生」になったほうがテスラにとってのダメージが大きいだろう
さて、ドナルド・トランプ政権の発足に関連して様々な話題を振りまいているテスラ。
2024年の登録台数が「はじめて」前年割れとなったことも大きく報じられていますが、今回は「ドイツ、フランス、英国など主要欧州市場で販売急落している」と報じられ、その理由について様々な考察がなされています。
テスラの販売減少は「この先も続く」?
報道によれば、テスラの販売台数が2025年1月、ドイツ、フランス、英国など欧州主要市場で大幅に減少したとのことで、「2023年には世界で178万台を販売したものの、10年以上ぶりに年間販売が減少した」その影響が続いていることが明らかに。
そしてこの販売不振の主な原因として推測されているのが「テスラCEO、イーロン・マスク氏の言動が購買意欲を削いでいる可能性」。
一方で、新型「モデルY」の発表を待つ消費者が多いことや、政府のEV補助金削減といった市場環境の変化も関係していると考えられており、一概に「どれが原因」だと断じることはできないようですね。
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地域別に見てみると、ドイツでは2025年1月の販売台数が1,277台にとどまり、前年同月比で59.5%の減少に。
ドイツ政府はEV販売を後押ししてきた補助金を撤廃していて、それが市場全体のEV販売減少につながっており、これは「テスラのみに影響する要因」ではなくEV業界全体に関連するもの。
ただ、イーロン・マスク氏がドナルド・トランプ元大統領の就任式を祝う際に行ったジェスチャーが「ナチス式敬礼」に似ていると批判を受けたことや、ドイツの極右政党への支持を示唆する発言などが、同国でのテスラ人気低迷に拍車をかけているという味方が濃厚です(とくにドイツではナチス式敬礼に対する反感は強いだろう)。
そしてこの影響はドイツにとどまらず、フランス(-63%)、英国(-12%)、スウェーデン(-44%)、ノルウェー(-38%)、オランダ(-42%)といった具合に、欧州各国での販売台数減少に大きく関連しているのかもしれません。
参考までに、英国のEV専門メディア「Electrifying」が1月に実施した調査では、EVオーナーおよび購入予定者の59%が「イーロン・マスク氏の行動が原因でテスラの購入を避ける」と回答し、スウェーデンの調査でも、テスラに対する否定的な印象を持つ人の割合が47%から63%に増加したうえ、ブランド好感度が19%から11%に低下したことが報告されています。※イーロン・マスクCEOの言動がテスラの販売に影を落としていることは以前から報じられており、しかしこれが話題になることでテスラに客を呼び込んでいることも事実である
モデルYの新型発表待ちも影響?
一方、販売低迷の要因として、新型「モデルY」の投入を待つ消費者が増えていることも指摘されていて、というのもモデルYは欧州で最も売れているEVの一つであり(世界でもっとも売れたクルマでもある)、新型モデルYはデザインの刷新、インテリアの向上、走行性能の改善が施された「魅力的な商品」に仕上がっているから。
そのため、多くの消費者が最新モデルの全グレードが出揃うまで購入を控えている可能性が指摘され、実際にテスラが旧モデル(現行モデルY)の在庫処分のために大幅な値引きを行っていることを考慮すると、やはり「新型モデルY待ち」が一定数存在するのだとも考えられます。
現時点では「補助金の削減、競争の激化、そしてCEOの言動によるブランドイメージの悪化」いずれも「決定的な」販売減少の理由として断じることは難しく、しかしある程度の関連性があることもまた否定はできず、今後他社がどんどん魅力的なEVを投入してくるであろうことを考慮するに、「ブランドイメージの回復」は急務なのかもしれませんね(ただ、イーロン・マスク氏が”黙れば”いいというわけではない)。
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