
| ブガッティ・ヴェイロンは「あまりに維持費が高い」ことで知られるハイパーカーである |
一説によると「シロン」よりも維持にお金がかかるもよう
世界でも指折りのハイパーカー「ブガッティ・ヴェイロン」。
その維持費は想像以上で、保証が切れた後の修理はまさに“沼”と言えるレベルだとされており、たとえばオイル交換に150万円、タイヤ交換に数百万円、そしてタイヤ交換2回に一回はホイールを交換する必要があって「ホイール代金1000万円オーバー」など。
冗談抜きで「プライベートジェットのほうがまだ維持費が安い」と言われるのがこのヴェイロンです。
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さらには「いくらかかるかわからない」維持費に上限を設け、オーナーに安心を与える(ブガッティ純正の)パッケージが登場していることからもその維持費の高額っぷりがわかりますね(ハイパーカーを購入できる財力を持つ人にとっても、ヴェイロンの維持費は恐怖なのだと思われる)。
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高級車の修理は“金食い虫”!?でも工夫次第で劇的に節約可能
なお、このヴェイロンの維持費やパーツ代金が高いのは「ほとんどが専用に開発されたものだから(ただしドアミラーは当時のアウディTTと共用である)」。
フォルクスワーゲングループとしては「全く前例のない」ハイパーカーであり、そして前人未到の出力と最高速に挑むために法外なコストをかけて開発に臨まねばならず、さらには上述のタイヤやホイールも当時はそのパワーとスピードに耐えることができるものが存在しなかったため、その構造から「新しく設計する」といった手法を採用しているわけですね。
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よって必然的に全てのパーツが高額になってしまっているのですが、現代においては「1000馬力」「時速400キロ」を超えるクルマも珍しくはなく、サプライヤーもそれらのパワーや速度域に対応できるパーツを開発するノウハウを積んでおり、もちろんブガッティ自身も経験値を増しているため、現代のハイパーカーは「ヴェイロンほど」維持費がかからないとも言われています。
ブガッティが出した修理見積もりはなんと約223万円
そして今回話題となっているのは、イギリスのスーパーカーディーラー「Tom Hartley Cars」の代表、カール・ハートリー氏が体験した一つの事例。
彼が所有していたブガッティ・ヴェイロンにてサイドミラーの調整スイッチにガタつきが発生し、ブガッティに修理見積もりを依頼したところ11,400ポンド(現在の為替レートでは223万円)を提示され、しかし実際には0.89ポンド(約174円)で修理できたという驚くべき体験を語っています。
このスイッチは「ドアミラーの角度を調整する」という、どのクルマにもよくあるスイッチで、ジョイスティックのようにグリグリ動かして鏡面を調整する「アレ」ですね。※画像はランボルギーニ・テメラリオ
しかしブガッティはこのパーツの「ガタツキ」の修理に際して「ドアアッセンブリ全体の交換(ドア内装一式、ミラーモーター、スイッチ本体)が必要」と主張し、なんと11,400ポンドの修理見積もりを提示してしまいます。
173円で修理完了!?F1関係者の知恵が光る
カール・ハートリー氏は「この(コンパクトカーの新車1台が買えるほどの)出費はさすがに納得できない」と感じてF1の整備に詳しい友人に相談することになるのですが、調査の結果、問題はわずか0.89ポンド(約173円)のスイッチパーツだったことが判明することに。
しかもこの部品、実はフォルクスワーゲンの商用バン「トランスポーター」などと共通の部品だったといい、修理にかかったコストは以下の通り。
修理の詳細:
- 使用パーツ:VWグループ共通のトグルスイッチ(5個入り173円)
- 修理時間:約20分
- 作業費:無料(友人による協力)
結果、ブガッティ正規ディーラーが要求した約223万円の修理が、ほぼタダ同然で完了したというわけですね。
正規ディーラー=安心ではない?セカンドオピニオンの重要性
カール・ハートリー氏が主張するのは、この経験を踏まえて「正規ディーラーが常に最善とは限らない」ということ。
特にブガッティのような超高級車では、ディーラーの言い値がそのまま莫大なコストになることも少なくはなく、同じ部品でも“知っているか知らないか”で数百万円の差が出ることが今回の例によって立証されています。
実際のところ、ブガッティが属するフォルクスワーゲングループは非常にコストに厳しい会社であり、同グループ内でのパーツ共有も比較的多く、ヴェイロンだと上述の「ドアミラー」、今回のスイッチ、そしてキーについてもフォルクスワーゲン内の各ブランドとの共有事例が報告されていて、ぼくの経験としても、ランボルギーニとアウディ/フォルクスワーゲンとの共通パーツも少なくはなく、たとえばキー、内装のスイッチ、カーテシーランプ、ルームランプ、ルームミラー、シート位置調整スイッチなど目につく部分でも例をあげると枚挙にいとまがないほど。
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ただしそういった「共通パーツ」があるからこそ、可能な限り車両全体でのコストを抑えることができているのもまた事実で、その反面でエンジンや足回りなど「そのクルマ特有のキャラクターを再現するためにコストをかけるべき」ところにお金を投じることができているのも偽らざる真実かと思います(必要がないものまで専用に開発していては、車両価格がとんでもなく高くなる)。
よって今回の一件から得られる教訓としては「まずは自分のクルマの構造や、使用されているパーツを調べ、自分なりの解決法を思い描いたうえでディーラーに行くべき」ということなのかもしれません。
ただ、ディーラーとしても「その部分だけを交換すれば済むことがわかっているのに」本社から「部分的な修理ではなくアッセンブリー交換を行うよう」指示されている例も少なくはなく、このブガッティ・ヴェイロンに関し、ディーラーにも悪意があったわけではないのだとも考えられます。
実際のところ、エンジンやギアボックスについては「(ディーラーでは)開けてはならない」例が大半で、よって「ちょっとした故障でも」アッセンブリー交換となってしまうのですが(これには様々な理由がある)、この場合は「エンジンやトランスミッションを開けることができる」プロショップなどに相談すると良いのかもしれません。
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