
Image:HWA Engineering
| AMG創業者が自らメルセデス・ベンツ190E Evo IIをレストモッド |
メルセデス・ベンツ190E Evo IIが「HWA EVO」として公道へ、そして再びサーキットへ
ドイツのエンジニアリング企業HWA(Hans-Werner Aufrecht)が開発中の「HWA EVO」はメルセデス・ベンツの伝説的モデル「190E Evo II」を現代風に再構築したレストモッド。
2026年のニュルブルクリンク24時間レースへの参戦が決定しており、ただのショーカーやコレクターズアイテムにとどまらない「本物の走り」を追求したレストモッドとして大きな話題となっています。
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「HWA」とは何なのか
かの「メルセデス・ベンツ190E Evo IIのレストモッド」だとしてもここまでの騒ぎにはならず、しかし今回大きな反響を呼んでいるのは、この車両を開発・製作するのが「HWAだから」。
そしてこのHWAとは、AMGの創業者の一人であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(AMGの”A”はこの人の名字)がメルセデス・ベンツにAMGを売却した後に自ら立ち上げたレーシングカーファクトリーで、現在もメルセデス・ベンツのモータースポーツ用車両の製作を手掛けるほか、パガーニ・ウアイラR、デ・トマソ P72、アポロ・インテンサ・エモツィオーネなどの開発や製造の受託を行うハードコア企業です。
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つまり、このHWA(正確にはHWAエンジニアリング)は「メルセデス・ベンツを知り尽くした人物が運営し、現代でも最高峰の技術が盛り込まれたクルマ」を作ることができる会社であり、ここが世に送り出す「メルセデス・ベンツ190E Evo IIのレストモッド」であれば、「どう考えても間違いのない存在」であると認識されているわけですね。
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メルセデス190E Evo IIが現代の技術で「再解釈」、モータースポーツ参戦も視野に
HWAはオリジナルの190Eの車体をベースとして極端なワイドフェンダー、エアロパーツ、ツーリングカー由来のサスペンション(KW製)などを盛り込み、現代の技術をもって細部を再設計。
エンジンはフロントアクスルより後方に配置され、ドライサンプ化されて重心も低く設計されています。
項目 | 内容 |
---|---|
エンジン | 3.0L V6ツインターボ(AMG製) |
最高出力 | 444ps(Affalterbachパッケージで493ps) |
トルク | 406 lb-ft |
トランスミッション | 6速MT(トランスアクスル) |
駆動方式 | 後輪駆動 |
車重 | 約1350kg |
価格 | 約1億3000万円(€780,000) |
生産台数 | 100台限定 |
ニュルブルクリンク24時間耐久レース SP-Xクラスでの24時間耐久参戦
この「HWA EVO」プロジェクト自体はしばらく前に開始がアナウンスされていたものの、その後しばらく音沙汰がなく、そして先月辺りから開発状況が頻繁に更新され、そして「実際に走行できる状態に仕上がり、走行テストを行っている」とリリースされたのがつい先日。
さらに間を置かずに(100台生産するうち、少なくとも)「2台をニュルブルクリンク24時間耐久レース(2026年)へ投入予定である」という驚きの発表を行っています。
なお、参戦予定のSP-Xクラスは、「どこにも当てはまらないが競技車両として適正なマシン」のためのカテゴリで、EVOはその最前線にて戦うこととなるわけですね。
HWA EVOは「ほぼレースカー」なロードカー
HWAによると、EVOには既にモータースポーツ技術が「全ての要素に注入」されており、レースカー化に必要な変更は「最小限」。
「パフォーマンスの向上」「軽量化」「安全装備(ロールケージ等)」が追加される予定だというので、レストモッドといえど、最初からレーシングカーとして設計されていると考えるのが妥当なのかもしれません。
さらにHWA EVOの開発にはDTMレジェンドのローランド・アッシュやクラウス・ルートヴィッヒが協力しており、名ドライバーの持つノウハウがいかんなく注ぎ込まれていると考えて良さそうです(この2名は70歳を超えているので、さすがに自身でステアリングホイールを握っての参戦は無いものと思われる)。
【まとめ】「見せかけ」ではない、走るために蘇った190E
現代のレストモッド市場では「見た目重視」のカスタムも多い中、HWA EVOは真の走行性能を追求したクルマ。
そのルーツであるDTM(ドイツツーリングカー選手権)精神を現代に甦らせ、さらに再びニュルブルクリンクを走ることで、その価値を証明してくれそうですね。
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参照:HWA