| ブラバスはもともと過激なチューンドカーをつくる会社だった |
4ドアなのに2シーター、リアトランク内にはオイルクーラー
さて、ブラバスによるワンオフのカスタムカー、「3.6Sライトウエイト」が中古市場に登場。
参考までに、ブラバスはメルセデス・ベンツを中心としたチューニングカー製作・コンプリートカー製造会社ですが、1977年にボード・ブッシュマンとクラウス・ブラクマンによって設立されています。
この「ブラクマン」の「ブラ」、「ブッシュマン」「の「ブッシュ」を表すアルファベット、「BRA」「BUS」が社名の由来となっているわけですが、もともと設立の目的が「すでにあるチューナーの製品では満足できない」というものであったことからもわかるとおり、そのレベル、品質ともに「最高」を目指した会社でもありますね。
こういった「メルセデス・ベンツ専門のチューナー」としての生い立ちはAMGとよく似ていますが、AMGはメルセデス・ベンツに買収されてその傘下に収まり、一方ブラバスは独立性を貫きながらもスマートのブラバスバージョンを手掛けるなど、メルセデス・ベンツとは良好な関係を保っているように見受けられます。
あまりにハードすぎて販売できず
そしてブラバスは1988年にこの3.6Sのプロトタイプを製作しますが、これは190Eをベースとしており、しかし4ドアモデルにもかかわらず「2シーター化」され、さらには快適装備のほとんどが取り除かれたモデル。
ただ、「あまりにスパルタン」だったため顧客の反応が芳しく無く、実際には発売することができなかったとされ、よって市販されたのは「エアコンなどの快適装備やリアシートが追加されて日和ったバージョン」となっています。
今回販売されるのは、当時製作したプロトタイプを(2008年に)正確に再現したモデルとなりますが、これはブラバスのPRディレクターであるスヴェン・グラム氏が発注したもの。
搭載されるエンジンは286馬力を発生する3.6リッター自然吸気直列6気筒で、ステンレス製のエキゾーストシステムとオリジナルのエキゾーストマニホールドも装着されています。
面白いのは、リアスポイラー中央にエンジンクーラー、トランスミッションオイルクーラー、ディファレンシャルオイルクーラーが装備されていること。
こんな感じでオイルが循環するようですね。
こういった数々の装備のおかげで0−100km/h加速6.3秒、最高速度254km/hを記録するそうですが、スヴェン・グラム氏はこのメルセデス・ベンツ3.6Sライトウエイトをしばらく所有したのちに現在のオーナーへと売却した、とのこと。
メルセデス・ベンツ3.6Sライトウエイトの内装はあまりにスパルタン
そしてこちらがメルセデス・ベンツ3.6Sライトウエイトの内装(ステアリングホイールのレッドのアクセントがオシャレ)。
サイドサポートが異常ゴツく、着座位置が極端に下げられていることがわかります。
なお、シートのシェルはカーボンケブラー製。
室内後部にはロールケージが張り巡らされ、当然リアシートは「レス」(これは売れんわ・・・)。
オーディオは「レス」、そしてそのDINスペースには3連メーターが入ります。
しかしながら内張りやカーペットはそのまま残されており、ある意味ではシックな高級さも感じさせる不思議な内装ですね。
もちろんこのメルセデス・ベンツ3.6Sライトウエイトは「安くはなく」、現在販売されている価格は99,995ポンド(約1530万円)。
ただし190E自体が今後値上がりする可能性が高いこと、ワンオフそしてブラバス製という希少価値や信頼性を考慮すると、「将来的に損はしない」買い物かもしれません。
参照:Fast Classics