
| 日産、200万台規模のリコール危機を回避:NHTSAがサスペンション不具合の調査を終了 |
問題の発端:リアサスペンションの構造的欠陥
米国NHTSA(運輸省道路交通安全局)の欠陥調査局(ODI)は、2018年から日産アルティマ(2013~2018年式)およびマキシマ(2016~2018年式)のリアロアコントロールアームの破損に関する調査を行っていましたが、この調査の発端は「プレス鋼製アームの構造的弱さと寒冷地での塩害(融雪剤)による腐食が進行し、これが走行中のクラックや破断を引き起こす可能性がある」という懸念から。
しかし今回その調査が終了し、NHTSAが「リコールの必要なし」と判断したことで日産は「200万台」という大規模リコールの実施を免れることとなっています。
調査結果:不具合は“実在”するがリコールは不要との判断
まず、ODIの報告では以下のとおり。
- 消費者からの苦情件数:322件
- 日産が把握する破損事例:1,035件
- 多くのドライバーが異音や振動で前兆を察知可能
- ESP(横滑り防止装置)が破損後も走行安定性をある程度維持
- 実際の事故報告は1件のみ(しかも軽微な追突)
その結果、「安全上の懸念はあるが、大規模リコールは不要」との判断が下されることになり、日産はリコールを免れたというわけですね。※「ある程度前兆がわかる」「大きな事故が発生していない」ことが大きく影響したのだと思われる
Image:NISSAN
日産の対応:47,000台を無償修理+保証期間延長
さらに日産はNHTSAの調査終了前に以下の積極的な対策を講じており、この姿勢が高く評価され、そして対応の結果「(対応可視後の)事故報告件数が減少し」、今回の調査終了・リコール見送りもにつながっています。
- 対象地域での無償修理(サービスキャンペーン)
- 修理対象台数:47,000台
- 標準保証を3年→12年に延長(走行距離制限なし)
- 2018年以降、生産車では部品設計を改良
【まとめ】リコール回避でも不安の残るオーナー対応
日産は今回の「調査終了」によって大規模リコールを免れたものの、対象年式に該当するオーナーの不安が完全に払拭されたわけではなく、保証延長やサービスキャンペーンの対象外地域では未修理車が存在する可能性もあるため、以下のような対応が推奨される、とも報じられています。
- 異音や振動の兆候がある場合は即点検
- サービスキャンペーンの対象かどうかを日産ディーラーで確認
- 対象でない場合でも自己負担での対策を検討
参考までに、日産はこれまでにもCVTなどの耐久性が問題となったことがあり、一定走行距離や年数をすぎると急速に劣化が進むとされることから「日産タイマー」が仕込まれていると揶揄されたことも。
そして今後の業績回復にはその悪評を覆さねば前には進めず、ユーザーの安心感をさらに高めるアフターサポートが求められる状況です。
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