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1990年代から2000年代初期にかけて「世界一」とみなされた日産。それがなぜ今では倒産すら囁かれ、回復の見込みが立たないまでに追い込まれたのか

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| それは単純に日産が「前に進むことをやめたから」である |

日産は現状に満足し、小手先の変更によって消費者を欺こうとしてきたのかもしれない

さて、つい先日は日産が「倒産の危機にある」と報じられ大きな話題を呼んでいますが、直近だと25%も減少した中国での販売、パートナーであるルノーの日産株売却などがその遠因となっていると伝えられ、少し前の「技術提携を発表」を受けてホンダがかつてのルノーの役割を果たすとされているものの、それはホンダにとってもメリットのない話かもしれません。

かつての日産は数々の名車を生み出した「名門」ではあることは間違いなく、しかし今や死の淵に近づいており、これほどまでに成功したモデルを世に送り出した日産がなぜこういった状況に陥ったのか、日産の過去20年を振り返り、何がうまくいっていたのか、しかしどこで誤ったのかを探ってみたいと思います。

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日産はかつて「自動車業界の最先端」だった

まず2000年から2010年にかけてが日産の最盛期であり、優れたセダン、スポーツカー、トラック、SUVといった幅広いラインアップをもっていて、世界中にて多くの支持を集めていたというのが一つの事実です。

面白いことに、アメリカでは売れ行きが悪かったものの、他の地域では爆発的に人気を集めたモデルもあり、一部のモデルは一時期イギリスで最も売れた車の1つ2まで成長していて、それは当時大きな成果と見なされていたわけですね。

なお、この年代の日産車が優れていたのは、1980年代に日産が掲げた「901運動=1990年までに技術において世界一になる」の成果だと考えられ、実際に1989年には「R32 スカイラインGT-R」といった名車が誕生しています。

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そして上述の「黄金期」にはこのGT-Rのほか、初代エクストレイル(北米だとローグ)、初代キャシュカイ(日本だとデュアリス、北米ではローグスポーツとして二代目へ)、初代ムラーノ、フェアレディZといった人気モデルが存在しており、これらのクルマはそれぞれが独自の魅力をもって顧客の注目を集めることに成功し、とくにキャシュカイは「世界初の都市型クロスオーバー」として衝撃のデビューを果たし、多くの顧客を(VWゴルフやBMW 3シリーズのような)ハッチバックやセダンから「SUVへ」と移行させる足がかりになったクルマであると捉えられています。

さらにR35 GT-R(2007年)もまた衝撃的な存在で、販売台数こそは少ないものの、「スーパーカーの価格の3分の1で(スーパーカーを)圧倒し、ハイパフォーマンスカーメーカーにとって無視できない存在、あるいはベンチマークに。

これは北米で「レンタカーや法人向けのクルマばかりを作っている」というイメージがあった日産の印象をひっくり返すに十分であったといい、この存在がR32、R33、R34といった「スカイライン」GT-Rに目を向けさせ、神話レベルにまでその存在を高めさせることとなったひとつの象徴であるとも考えられます。

ただし日産はそこから大きな「過ち」を犯すことに

当時の日産はこれら素晴らしいラインアップによって栄華を極めるものの、その後「最も悪い選択」をしてしまい、それは、イノベーションを止め、成功したモデルに頼ってその後継モデルを販売してしまったこと。

たとえばGT-Rはいまだ「R35」のままですが、当時GT-Rに歯が立たなかったポルシェ911は997から991、992へとスイッチし、新たにハイブリッドシステムを導入しています。

そして日産が頼ったのは「成功したモデルのメカニズム」だけではなく「コンセプトやデザイン」についても同様で、これによってすべてのクルマが似たようなデザインとなり、独自の魅力がなくなってしまったわけですね。

よって、初代によって新しい市場を創出したキャシュカイ、エクストレイルの後継モデルは「もやは唯一無二の存在ではなくなり」、他のライバルはもちろん、日産のラインアップの中でも輝きを放つことができないモデルになってしまったと認識しています。

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参考までに、ホンダはこういった「陳腐化」を避けるため、ヒットしたモデルの後継車開発チームには「先代と異なるメンバー」を意図的に選出するといわれますが、日産はそういった変革を恐れ、あるいは嫌ったのだとも考えられます。

つまり日産は自ら「変わること」を拒み、実際にモデルラインアップのリフレッシュを放置してしまい、アルマダやムラーノ、フロンティア、フェアレディZはその代表的な例かもしれません(フェアレディZは見た目こそ変わったものの、中身はターボエンジンを除くと大きく進化していない。実際に形式も同じである)。

そして日産が先鞭をつけ、マーケットリーダーになるはずだったEV、つまり「リーフ」においても同じことが言え、リーフは世界初の「本格的な民生用EV」として登場したものの、その後の改良が不十分であり、「他社に主役の座を奪われた」と考えることも可能です(これはハイブリッド分野で先陣を切り、その後のたゆまぬ改良によっってその地位を強化したプリウス、そのノウハウを活用して優位性を築いたトヨタとの大きな違いである)。

このほか日産は「品質を下げた」ことで大きく消費者の信頼を損ねたことがあり、こういった様々な要因によって「没落」したのだとも考えられ、それは「前に進むことを拒み、現状に満足してしまった」「これくらいのもので消費者が満足するだろうという慢心」による、日産自らが招いた結果だとも考えられます。

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そして現時点ではこの状況を改善するための見込みは立たず、「新しく登場する30車種」についても期待はかかるものの、この状況でそれらを計画通り発売することができるかどうかには懸念が生じ、かつその内容が「(1990-2000年代初期の日産車のように)ゲームチェンジャー足りうるかどうか」にも確信が持てないというのが現在の状況であると思われます。※つい最近、中国市場向けに新型車を発表したが、中国の自動車メーカーに対して競争力を発揮するとは思えないデザインやスペックであり、日産は完全に「後追い」に回ってしまった

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