
| ランボルギーニ フェノメノ:唯一無二のハイパーカーがベールを脱ぐ |
ランボルギーニ・フェノメノのコンセプトは「ハイパーエレガント」
さて、モントレー・カーウィークにて公開された「限定29台の」ハイパーカー、ランボルギーニ・フェノメノ。
この「フェノメノ」とは伝説的な闘牛の名であるとともに「現象」を(イタリア語とスペイン語で)意味しており、これまでにないほど過激なデザインと性能をもって、まさにその名の通り”世界に衝撃を与える象徴的な存在”になると見られています。
そこでこのランボルギーニ・フェノメノの独占取材を許されたのが最も有名な自動車系ユーチューバーのひとり、Shmee150氏。
ここで同氏の動画からわかる「フェノメノの詳細」を見てみましょう。
デザイン哲学:カウンタックからの継承と「ハイパーエレガント」の追求
フェノメノのデザインは、ランボルギーニのデザインDNAの出発点である伝説的なカウンタックLP500(デザインスタジオ内にフェノメノと一緒に展示されている)から多大なインスピレーションを受けていますが、カウンタックの象徴的なシルエット、特にサイドビューの「シングルセンターライン」は、フェノメノにも受け継がれており、イタリアの伝統的な「パスタのレシピ」になぞらえられています。
チーフデザイナーであるミッチャ・ボルカート氏(Meteor Borcat)は、このクルマをして「ハイパーエレガント」と表現。
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これは、ただワイルドでアグレッシブなだけでなく、フォーマルな場にふさわしい「アスリートが最高のローブをまとったような」洗練された美しさを追求した結果であると説明されていますが、特に後部のショルダー部分の大きな表面からは「人間的な」印象を受けるようですね(ミッチャ・ボルカート氏時代のランボルギー二は、テメラリオしかり、有機的なリアフェンダーが特徴的である)。
そしてフェノメノの全長は5,014mmにも及び、テメラリオのような俊敏性を重視したモデルとは対照的に、あえて長く、ゆったりとしたプロポーションが与えられている、とのこと(たしかにスーパーカーで5メートルを超える例はかなり珍しい)。
これは、「コンクール・デレガンス」のようなイベントであっても、遠くからで一目でランボルギーニとわかる存在感を放つことを意図しているのだそう。
また、ランボルギーニのトレードマークであるダブルY字型ライトシグネチャーや、随所に散りばめられたヘキサゴン(六角形)モチーフも健在で、これらは単なるグラフィックではなく、空気の流れを考慮した空力的なコンセプトと統合されており、細部にわたって”発見の喜び”を提供。
アクティブエアロダイナミクスも完全にデザインへと統合され、ダウンフォースとスピードに応じた最適なポジションを提供することについても触れられています。
圧倒的性能:V12ハイブリッドと最先端テクノロジー
フェノメノの心臓部には、世界中のファンが愛してやまない6.5リッター自然吸気V12エンジンが搭載されていますが、このV12エンジンはレヴエルトからさらに10馬力向上し、単体でも強力無比な835馬力を発生。
これに3基のエレクトリックモーター(後部に1基のラジアルフラックスモーター、フロントアクスルに2基のアキシャルフラックスモーター)が組み合わされ、システム合計で驚異の1,080馬力を叩き出します。
なお、このハイブリッドシステムは、7kWhのバッテリーを搭載しており、レヴエルトでの3.8kWhバッテリーに比較して大幅に容量が増加していますが、これにより、エレクトリックシステム単体での出力も55馬力向上することに。
パフォーマンス面だと、このフェノメノはランボルギーニ史上最速の加速を誇り、0-100km/h加速はわずか2.4秒、さらには0-200km/h加速6.7秒、そして最高速度は350km/h以上。
8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)は、連続ダウンシフト機能(DCTでは難しいとされていた)も備え、完璧なギア選択とサウンドを実現するようですね。
車体総重量は約1,770kgとけして軽くはないものの、圧倒的な馬力をもってパワーウェイトレシオは1.64馬力/kgという驚異的な数値を達成しています。
走行テクノロジー面では、車体の重心に配置された新しい6Dセンサーが注目の装備であり、これは、縦方向、横方向、垂直方向のセンサーに加え、ピッチ、ヨー、ロールの情報を読み取ることで車両の挙動を最適化する最先端のコンピューターシステムです。
ブレーキには「SC63」LMDhハイパーカーから採用されたCCMRプラスブレーキを搭載し、タイヤはフロント21インチ、リア22インチのブリヂストン ポテンザスポーツが標準装備され、さらにサーキット走行に特化したロードホモロゲーションタイヤも選択可能。
サスペンションもレヴエルトに用いられる標準設定から再調整され、手動調整可能なレーシングショックが採用されています。
内部とカスタマイズ:パイロット感覚のコックピット
フェノメノのインテリアは、レヴエルトやテメラリオで導入された「パイロット感覚」の新しい哲学を継承するもので、シートはカーボンファイバー製、かつ人間工学に基づいた設計を採用しています(動画では内装そのものにつき見ることができない)。
ドアインナーパネルもカーボンファイバー製となるものの、特に注目すべきはカーボンファイバー製のセンターコンソールに組み込まれた「エイリアンの目」のようなアンビエントライトで、これは「今後の発表で詳細が明らかになる予定」だという”含み”が持たされています。
ランボルギーニ「ワンオフ/フューオフ」シリーズの歴史
フェノメノは、ランボルギーニが長年にわたり培ってきた「ワンオフ(一台限り)」や「フューオフ(数台限定)」シリーズの最新作で、それぞれがこれまでの同社における伝説的なモデルの系譜に連なる存在であり、各車がその時代のランボルギーニの技術とデザインの限界を押し広げてきた(新しいデザインや技術、コンセプトが率先して与えられた)という歴史を持っています。
ここでそれらを時系列にて見てみましょう。
• 2007年 レヴェントン(Reventón)
ムルシエラゴをベースに、戦闘機にインスパイアされたデザインで、この限定モデルシリーズの始まりを告げた存在。クーペ20台、ロードスター15台が生産されています。
「デジタルメーター」はアヴェンタドールに継承されていますね。
• 2010年 セスト・エレメント(Sesto Elemento)
ガヤルドをベースに、カーボンファイバーを駆使した999kgの超軽量モデル。サーキット走行専用モデルで、搭載されるのは5.2リッターV10エンジン。20台の生産予定であったものの、実際はそれ以下だったとされています(一説では9台)。
このモデルに採用されたカーボンファイバーを中心とした軽量化技術はのちのランボルギーニへと広く採用されています。
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• 2013年 ヴェネーノ(Veneno)
アヴェンタドールをベースとし、レーシングプロトタイプのようなエアロダイナミクスを追求したアグレッシブなスタイリングが特徴的。クーペ4台(うち工場プロトタイプ1台)、ロードスター9台が製造され、最も収集価値の高い現代ランボルギーニの一つとされています。
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• 2016年 チェンテナリオ(Centenario)
創業者フェルッチオ・ランボルギーニ生誕100周年を記念して製作。クーペ20台、ロードスター20台が生産され、その後の量産モデルのデザインのプレビューとなっており、レヴエルトにも一部その意匠が引き継がれています。
• 2019年 シアンFKP 37(Sián FKP 37)
スーパーキャパシタを搭載した初のハイブリッド・ランボルギーニ。1963年の創業年にちなみ、クーペ63台、ロードスター19台が製造されていますが、その後のカウンタックLPI800-4にも同じ技術が採用されています。
• 2020年 カウンタックLPI 800-4(Countach LPI 800-4)
オリジナルカウンタックの50周年を記念したハイブリッドモデル。112台が製造され、(テメラリオが登場するまで)フューオフシリーズの最後のクルマです。
そして今、この輝かしい系譜に、ランボルギーニ フェノメノが加わることとなり、それは単なるクルマの発表ではなく、新たな時代の幕開けを告げる「現象」だということになりそうですね。
Shmee150氏がランボルギーニ・フェノメノを紹介する動画はこちら
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参照:Shmee150(Youtube)