
| 「ドメイン・ドリーム」を狙うには相手が悪すぎた |
「一攫千金」の夢が「悪夢」に変わった瞬間
ドメイン売買の世界には、安く買ったアドレスが数億円で売れる「ドメイン・ドリーム」が存在します。
しかし、相手が世界最強クラスの法務部門を持つイタリアのスーパーカーメーカーだったら?というのが今回のニュース。
これはドメイン「Lambo.com」を巡る、ある男性の衝撃的な失敗談であり、2018年に1万ドル(約157万円)で購入したドメインをなんと7,500万ドル(約117億円)という法外な価格でランボルギーニ社に売りつけようとしたことに端を発しているのですが、結果として、彼は大金を手にするどころか、ドメインを無償で没収され、多額の弁護士費用だけが残るという、まさに「自業自得」な結末を迎えることに。
ここではなぜ彼は負けたのか? ネットビジネスに潜む恐ろしい罠と、法廷で語られた「苦しすぎる言い訳」を見てみましょう。
この記事の要約ポイント
- 強欲すぎる交渉: 1万ドルで買ったドメインを、市場最高額を超える117億円(7500万ドル)で売ろうとした
- 苦しすぎる言い訳: 「Lamboは子羊(Lamb)の愛称だ」と法廷で主張するも、完全に無視される
- 裁判所の判決: 行為が「間接的な恐喝」および「悪意のある占拠」と認定
- 手元に残ったのは「0」: ドメインは没収、投資額と弁護士費用を失う完全敗北
詳細:「Lambo.com」を巡る強欲と法廷バトルの全貌
事件の概要:157万円が117億円になるはずだった?
2018年、リチャード・ブレア氏はドメイン名「Lambo.com」を1万ドル(約157万円)で購入し、彼はこれを投資と考え、その数年後にランボルギーニ社へと売却を試みます。
当初は一般的な交渉になるかと思われましたが、ブレア氏の提示額は次第に吊り上がり、最終的には7,500万ドル(約117億円)という天文学的な数字に達しており、2023年に世界的に話題となった「Chat.com」の売却額が約1,550万ドル(約24億円)であったことを考えると、この要求がいかに異常であるかがわかります。
驚愕の弁明:「Lamboは子羊のことだ!」
なお、裁判や仲裁の場で、ブレア氏は(悪意ある転売ではないことを主張するためか)「Lambo」という言葉がランボルギーニを指すものではないと必死に主張するのですが、その内容があまりに滑稽(かつ無理がある)だったためネット上で失笑を買うことに。
| ブレア氏の主張 | 法廷・仲裁機関の判断 |
| 名前の由来 | 「Lambo」は子羊(Lamb)から来ている。 |
| 略称の定義 | 「Lamb of outlier generic aptitude and intelligence(並外れた知能を持つ子羊)」の略だ。 |
| 所有権の正当性 | 自身のニックネームとして正当に所有している。 |
結論:裁判所が下した「間接的恐喝」という烙印
結果的に米連邦地裁は、ブレア氏の段階的な価格の吊り上げ行為を「間接的な恐喝」と判断し商標権を侵害する悪意のある行為であると断じることとなり、最終的な判決によってブレア氏は以下のすべてを失う結果となったわけですね。
- ドメイン「Lambo.com」の所有権(ランボルギーニへ無償譲渡)
- 初期投資額の1万ドル(約157万円)
- 数年にわたる莫大な弁護士費用
結論:商標権を敵に回すと「夢」は「毒」になる
この事件は、ドメインスクワッター(ドメイン占拠者)たちにとっての強力な警告となったことは間違いなく、「Lambo」が羊を指す可能性があるという屁理屈は7,500万ドルという値札を付けた瞬間に通用しなくなり、もしかすると「適当な額で」ランボルギーニと交渉を行っていれば彼はすべてを失うことはなかったのかもしれません。
- 得るべき教訓
- 商標権の壁: 有名ブランドに関連する言葉でドメインを取っても、法的に勝てる見込みは極めて低い
- 交渉の限界: 相手の足元を見るにしても、市場相場を逸脱した要求は「恐喝」とみなされるリスクがある
- 企業法務の強さ: 大企業の法務部は、金銭で解決するよりも「判例」を作るために徹底抗戦してくる
参考:UDRP(統一ドメイン名紛争解決方針)
ドメイン名の所有権争いを解決するための国際的なルールであり、「商標と同一または混同を招くほど類似しているか」「所有に正当な利益があるか」「悪意で登録・使用されているか」が厳しく審査され、今回のケースは、これらすべてにおいて「アウト」と判定された典型例と言えそうですね。
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参照:jalopnik















