
| ポルシェは昨年4月にも同様の問題でマカン エレクトリックを中心にリコール済み |
【この記事の要約】
- ポルシェが米国で173,538台のリコールを実施。対象は911、カイエン、タイカン、パナメーラの主要4車種
- 原因は制御ユニットとカメラ間の「一時的な信号ノイズ」により、後方映像が表示されなくなる不具合
- 対策は「自己修復機能」を備えた最新ソフトウェアへのアップデート。2月から順次案内開始
ポルシェの目が見えなくなる?「デジタルしゃっくり」の恐怖
ポルシェといえば、「やっぱり内燃機関(ガソリンエンジン)は必要だ」として電気自動車一辺倒戦略からの方針転換が注目されていますが、その一方で、すでに市場に出ている数万台のポルシェが「後方の視界を失う」というデジタル上のトラブルに見舞われているというニュース。
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今回のリコールはバックカメラ(サラウンドビューカメラ)の映像がセンターディスプレイに表示されなくなるというもので、昨今、アメリカで販売されるほぼすべての自動車メーカーが経験している「バックカメラの不具合」の列にポルシェも加わる形となっています。
参考までに、ポルシェは昨年4月にもマカン・エレクトリックを「バックカメラの不具合」にてリコールを実施しており(ただしこちらはカメラの取付に関わる物理的な問題)、バックカメラ関連の問題が相次いでいるようですね。
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詳細:原因はソフトウェアに紛れ込む「耳に聞こえないノイズ」
今回ポルシェが発表したリコール対象車は、モデルイヤー(MY)2019年から2025年までに製造された広範囲なモデルに及びます。
【リコール対象モデルの内訳】
- カイエン / カイエン Eハイブリッド: 計 88,810台 (MY19-25)
- 911: 44,128台 (MY20-25)
- タイカン: 34,148台 (MY20-25)
- パナメーラ / パナメーラ・ハイブリッド: 計 6,452台 (MY21-25)
今回の原因につき、ポルシェは「制御ユニットとサラウンドビューカメラ間の過渡的な信号ノイズ」が映像信号を遮断するためだと説明していて、つまりカメラのレンズが曇ったり物理的に断線したりといった故障ではなく、デジタル信号の中に発生する、いわば「映像のしゃっくり」のような現象というわけですね。
対策:アップデートで手に入れる「自己修復(セルフヒーリング)」
この問題に対するポルシェの回答は、ソフトウェアの抜本的な改善です。
【対策ソフトウェアの特徴】
- ノイズ耐性の強化: 信号間の干渉(ノイズ)に対してより強力な耐性を持たせる
- 自己修復機能: 万が一信号が途切れた場合でも、システムを即座に復旧させる機能を搭載。これにより、何度もディーラーに足を運ぶ必要がなくなる
リコール作業自体はソフトウェアの書き換えというシンプルなもので、対象のオーナーには2026年2月頃から正式な案内が届く予定だとアナウンスされています。
結論:ハイテク化が進むスポーツカーの「代償」
ポルシェは現在、次期型718ボクスター/ケイマンのEV化を進めつつ、ファンの要望に応えて「ハイエンドなガソリンモデル」を並行して存続させる決定を下しており、また新型マカンやフラッグシップSUVの「K1」も内燃機関やハイブリッドを維持する方向性を提示済み。
しかしパワーユニットがガソリンであれ電気であれ、現代のクルマは高度なコンピューターの塊ともいうべき存在であり、今回のリコールは、どれほど優れた走行性能を持つスポーツカーであっても「目に見えないデジタル・ノイズ」一つでその利便性が損なわれてしまうという現代の自動車開発の難しさを浮き彫りにしています。
実際のところ、昨今の自動車業界ではリコールが増加傾向にあるとされ、しかしその内容は「走る・曲がる・停まる」というクルマの基本性能に関するものではなく「インフォテイメントシステムはじめデジタル関係」が中心であるとも報じられるので、「自動車」の性質そのものが近代では大きく変化しているということになりますね。
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