
| ポルシェ「一部の乗員は、トンネルを走行する際に発生する車両の特徴的な音を楽しむ傾向があります」 |
質実剛健なポルシェがこういった「感覚的な」装備を開発するとは
スポーツカー愛好家にとって、「トンネルを駆け抜ける瞬間」ほど心が震える体験はないかと思われ、トンネル突入と同時に「窓を下げ、ギアを落とし、エンジンの咆哮を壁に反響させながら駆け抜ける」──それこそがガソリンエンスージアストの至福の時間であるとも考えられます。
そして今回、ポルシェがその快感を“自動化”しようとしていることが明らかになり、CarBuzzが発見した最新の特許によれば、ポルシェは「トンネルモード(Tunnel Mode)」というシステムを開発中で、これはまさにドライバーの心をわかりすぎている発明だとして大きな話題に。
■ 「トンネルを走るとき、特有の音を楽しむ人がいる」
2025年10月23日に公開された特許の冒頭には、いかにもドイツらしい控えめな一文が並びます。
「一部の乗員は、トンネルを走行する際に発生する車両の特徴的な音を楽しむ傾向がある。」
このシステムはトンネルをカメラと画像認識によって検知することで作動を開始し、つまりGPSマップではなく、実際の映像解析で「トンネル突入」を判断します。
そして車両(たとえば911 GT3のようなモデル)がトンネルに近づくと、画面に通知が表示され、ドライバーは2種類の「トンネルモード」を選択できるように。
■ トンネルモード①:情熱の“サウンドモード”
このモードを選ぶと、車は自動的に次の動作を行います。
- 全てのウインドウを下げる
- スポーツモードをONにする
- アクティブエグゾーストを開放
- さらに1段ギアを落とし、レッドゾーン手前まで回転数を引き上げる
ポルシェはその目的をこう説明しています。
「フラップエグゾーストシステムのフラップを開くことで、トンネル通過中の走行体験をより感情的にする。」
つまり、「トンネル=エンジン音のステージ」として最適化されるということで、壁に反響し、増幅し、そして共鳴するフラットシックスの咆哮──。
それを自動で演出してくれるというわけですね。
■ トンネルモード②:静寂の“クワイエットモード”
一方でポルシェは、「騒音を好まない人」向けの第二モードも用意。
この場合、車両が自動的にウインドウを閉め、エグゾーストフラップを閉じ、アクティブノイズキャンセリングで静粛性を確保して車内を瞑想空間のように静かに保つことが可能となります。
■ オープンカー&EVにも対応
さらに特許文書では、オープンカーに対しては「トンネル手前で停車してルーフを開ける」よう通知する機能、またEV(たとえばタイカンなど)の場合には「合成サウンドをよりスポーティに変更する」仕組みも提案され、つまりこの特許は「内燃機だけでなくEVの“音体験」までをも包括するという内容を持っており、さすが“エモーションの設計者”ポルシェといえそうです(近年のポルシェは、サウンドやフィーリングといった感覚的要素に強い興味を示している)。
■ 将来のポルシェに搭載される日は来るのか?
もちろん現時点では特許段階のため、実際に採用されるかどうかは不明であり、しかし、もしこの「トンネルモード」が現実の911やケイマン、そしてボクスターやタイカンに搭載されたなら──
それは間違いなく、“感情で走るクルマ”というポルシェの哲学を体現する装備になりそうです。
【まとめ】
トンネルをただ通り抜けるだけの時間を、特別なドライビングイベントへと変える「ポルシェ・トンネルモード」。
単なる機能ではなく、クルマと人との関係を“音”でつなぐ哲学的提案なのかもしれません。「Verfahren Zum Betreiben Eines Kraftfahrzeugs Bei Einer Tunneldurchfahrt」──
特許出願におけるこの長いドイツ語タイトルが、近い将来にポルシェのオプションメニューで見られることを願いたいものですね。
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参照:Carbuzz

















